鼎子堂(Teishi-Do)

三毛猫堂 改め 『鼎子堂(ていしどう)』に屋号を変更しました。

『サド侯爵夫人』③---どうしようか・・・と思っちゃった舞台の総括

2008-10-21 20:35:04 | Weblog
二晩に渡って、サド侯爵夫人の舞台について、綴ってきたけれど、本日で、ファイナルとしよう。

三島由紀夫の戯曲は、『黒蜥蜴』、『近代能楽集/葵上・卒塔婆小町』などを見てきたけれど、いづれも、セリフが長く、かなり難しい戯曲だと思う。

美輪明宏さん、麻実れいさんなどのかなり力量のある役者さんが演じてきている。
今回の篠井・加納コンビも、その顔合わせだけでも、『見たい!』と思わせるし、セリフの罠に絡め取られた感は、なきにしもあらずだったけれども、今回の舞台、それなりに楽しめたことは、事実。

ワタシの後方に男性二人連れのお客さんがいて、一幕後の幕間に、
『・・・で、アルフォンス(サド侯爵)は、誰がやるの・・・?』
なんていう会話が聞こえてきた。
・・・この芝居、セリフの中の『アルフォンス』を観客に想像させるのが、醍醐味なんですがね・・・。
実体をもつ、アルフォンス役は、出てきません。

金髪で、美しいサディストの『アルフォンス』を、想像するだけで、楽しい。そのあたりが、三島マジックなんですよ!

さて、今回、セットは、殆ど無い・・・。
現代女形(女方)ふたりと登場する男優さんたちの女性の衣装、そして、セリフ・・・それだけである。
衣装も綺麗だった。
とくに三幕のアンヌが、着ていたあの衣装の生地で、私はジャケットを作って、着てみたい。
黒いベルベット状の生地に、赤・紫・朱色の紅葉(だと思う)の刺繍が極めて美しい。
篠井さんのドレスも綺麗だった。
一幕・三幕の加納さんの衣装もとても良かった。
三幕全部で、衣装替えが行われて、透けるような薄い手袋やアクセサリー(男性用に作るの大変だったんじゃないかと思えるほど・・・)もキラキラで、セリフの輝きを助ける小物としても充分効果を発揮していたと思う。

ほんとに(役者さんにとっては)大変なお芝居は、始まったばかりである。

もし、叶うのなら、こんなキャストで実現したらいいな・・・と思うところを書いておこう。
三島由紀夫の言うとおり(チラシにあったのだが)、モントルイユ夫人役を女形でやらせるということも考えたのだが、新劇における女形文化の無伝統を考えるとやはり女優でやることにした・・・ということなので、女優でやるなら、モントルイユ夫人を、白石加代子さんか或いは、高畑敦子さんなんか適役じゃないかと思う。
女形でやるならサド侯爵夫人ルネ:坂東玉三郎さん、モントルイユ夫人:美輪明宏さんで、やってくれたら最高なんだけれど・・・。松竹さんあたりで、やりませんかね?

篠井・加納コンビもそれなりによかったんですけどね。

ちなみにサド侯爵については、拙ブログ2008年6月21日あたりの『SとM』あたりをご参照下さい。