鼎子堂(Teishi-Do)

三毛猫堂 改め 『鼎子堂(ていしどう)』に屋号を変更しました。

『城=カステロフィリア:澁澤龍彦・著』~TASSO再び・・・。

2011-05-11 22:55:25 | Weblog
一日中雨。


少し古い本を読んでいる。
1988年出版。
著者は、22年前に既に、他界されている。

ディモニッシュ、スタイリッシュ・・・細身、アンモラル、博物学、サングラス、モト財閥の家系、東大卒、フランス文学・・・、マルキ・ド・サド・・・、鎌倉在住・・・。

この著者を表すキーワードは、そんなところか・・・。

評伝風のエッセイとご自分でもおっしゃっているので、そう言った著作が多いけれど、亡くなられる数年前には、小説も発表されている。

実際、この本は、私には、手に負えない・・・というか、分らない部類の本だった。
それで、読まずに、20年以上経って、再び、邂逅した。

『城』についてのエッセイである。
タイトルの『カステロフィリア』は、城壁愛好(者)という意味らしい。

この人の本だし、装丁からみても、欧羅巴の古城だとかそんなイメージだけれども、最初は、今は城跡のみが残る安土城と織田信長について、書かれている。

織田信長サンですか・・・ふうん・・・などと思いながらページを繰るたび、なんだか、随分と昔(20年くらい前)の自分に邂逅しているような気がしてきて、どうにも、なんとも、甘いような切ないような・・・そんな気持ちになったのである。
澁澤龍彦・・・TASSOと織田信長・・・ナニカ魅かれるものでもあったのだろうか・・・?
本の古さと当時のわりと気儘(本当は、いろいろ悩みもあったりして、それ程、気儘という訳でもなかったのだけれども、今より、仕事の重圧のない気楽と言えば気楽だし、まだまだ未来があると信じていた頃の・・・)自分が蘇ってきたのは、一重に、このひとの著書ばかり読んでいた時代を思い出したからに他ならない。

そんなワリと気楽な時代(何度も書くけれど、当時は、他にもいろいろと重圧は、あったんである)で、お気楽な分、カネは、なかったハズだし、厚さ20ミリもないにも関わらず、当時、2000円という価格は、私にとっては、かなり、痛手であっただろうと容易に推察できるのであるが・・・。
こんなに高い書物を今まで、読まずにいたのである。

因みに何故、高価なのかというと、金子國義氏のイラスト入りで、イラストの前ページは、和紙で装丁されている。
かなり手の込んだ本といえるかもしれない。