良く晴れて、4月下旬並みの陽気。
春一色です。
正統な真珠のネックレスと言えば、やはり真円の巻きの厚い和珠(アコヤ貝)ということになるかと思います。
母の形見となってしまったこの真珠。
母は、一時期、狂ったように?真珠ばかり買い求めていたのだけれど、いつしか、その熱も冷め、晩年には、
『宝石では、暖まらないから・・・。』
と言い出し、一切見向きもしなくなりました。
それでも、公務員を定年退職した少しあと、最後の真珠を買いました。
やはり、コレ迄のものは、珠が小さく貧相だったし、母最初の真珠は、もう真珠層が、剥がれ落ちた連で、やはり安価なものだったようです。
冠婚葬祭には、やはり良いものをひとつ持っていないと・・・と思ったのでしょうか。
値段を聞いて、びっくりしたことを覚えています・・・もちろん、この真珠のネックレスの他に、10mm越えの和珠とダイヤモンドのついたリングのセットジュエリーだったのですが、リングは、葬儀の日に、父親の違う姉(私は、過去に一度チラっと会っただけという)に、形見分けとして、手渡しました。
彼女も母の娘だし、母親から、たぶん、私の知らない宝飾品を譲り受けていたであろうかと思うのですが・・・詳細は知りません。
両方で、100万円くらいだったと聞いていますが、本当にその価値があったのかどうかは・・・?
ただ、親戚筋からの購入だから、悪いものではないだろう・・・みたいな。
母にとって、最後の宝石となりました。
この真珠のネックレスは、45cmあって、私には、ちょっと長すぎる感じなので、少し短くしてもらおうかと考えています。
糸替えもしなくてはならない時期であろうし。
葬儀の朝。
3月のまだ寒い朝、喪服に着替え、このネックレスをつけたとき、首筋に、ヒンヤリと冷たい真珠の感触。
今日は、お骨になってしまう母を送る悲しい日なのに、空は、真っ青に晴れ上がり。
この真珠を見るたびに、葬儀の朝を思い出してしまいます。