『髑髏検校：横溝正史・著』② 美と醜の饗宴

冷たい秋雨の降る憂鬱な月曜日。

昨日の続き---。
徳間文庫から出版されている横溝正史さんの『髑髏検校』に収録されている『神変稲妻車』。

プロローグから綺麗なお侍さん本編の主人公・・・白鷺弦之丞が、目元涼しく、曙染めの大振袖、紫繻子の裃、袴といった色彩的にも美しく登場。

その双子の妹、お兄さんに瓜二つの美少女・小百合。

幕府の若年寄・田沼意知の策略により、財政難の新宮家を救わんがため、ご先祖様の埋蔵金百万両のありかをしめす笛の争奪戦が始まるんですが・・・。

いやぁ・・・出るわ、出るわ・・・あやかしの術を使う妖術師の対決、丹下左膳ばりの浪人、手妻使いの美女、謎の女軍団。
いろんなキャラクターが、これでもかって程・・・。

なかでも、極めつけなのが、新宮家に滅ぼされた大和氏の生き残り、御年１７０歳の妖姫・烏羽姫・・・怖い！

横溝作品に欠かせないのが、高貴な血筋の美青年・・・。
そして、過去には美青年だったのだけれど、顔を崩されたモト美青年・・・の対立の構図。

『犬神家の一族』なんかだと、犬神佐清さんと青沼静馬さんという構図ですかね・・・。

『神変稲妻車』が、書かれたのも前述の『髑髏検校』同様、太平洋戦争前だということなので、横溝作品の土台は、既に、ここで、出来上がっていたわけですね。

本編の主人公・美形侍の白鷺弦之丞も、策略により、毒を飲まされ、その白皙の美貌に翳りのでるあたり、まさしく、美と醜の饗宴にふさわしい物語。

時代ものならではの奇想天外な面白さ、勧善懲悪のスカっとするラスト。

久々に堪能・・・横溝ワールド。

『髑髏検校：横溝正史・著』

午前中は、よく晴れていましたが、夕方から雨になってきました。

本日は、久々の読書day・・・。

横溝正史さんの『髑髏検校』。
横溝先生といえば、名探偵・金田一耕介が、謎解きをする推理小説が有名ですが、こちらは、戦前の作品。
推理モノの横溝作品とは、ちょっと違って、ミステリー色のかなり濃い時代小説となっています。

和製ドラキュラ・・・ですね。
ブラム・ストーカーの『吸血鬼・ドラキュラ』を下敷きにした作品のようです。

時代小説でも、あの妖しい美しさは、健在です。
不気味な美しさ・・・。
髑髏検校の正体も・・・ああ・・・やっぱ、あの人だったのね・・・と思わせる伏線の張り方も、流石といえば、流石・・・。

解説にも記載されておりましたが、太平洋戦争前の世相の不安定な時期で、出版社の廃刊により、すこし物足りない展開となっているとのことですが、それを引き算しても、なかなか楽しめる作品でした。

プロローグは、『あらま。京極（京極夏彦）さんの「赤面ゑびす」っぽいシチュエーションですね・・・』ってカンジですが、もともと京極さんは、横溝先生を尊敬されているようですし、ご自分の作品に、横溝先生を登場させてしまっていますからね（陰摩羅鬼の瑕）。

横溝作品は、没落した名家、美しい人々、ミステリー、因縁といったモチーフが盛りだくさんで、現代の日本人の無くしてしまった？『貴族』と呼ばれる階級にいる人々が織りなす、普通のひとには、手の届かない世界を、垣間見せてくれる数少ない書き手のひとりだと思うのです・・・。

秋の夜長、ミステリーもまた楽し・・・。

今宵は、『髑髏検校』に収録されている『神変稲妻車』の続きでもよみましょうかね・・・。

Morning Pleasure

秋晴れ。
金木犀も香りが風にのって漂う・・・極上の秋の日。

今週は、月曜日からずぅ～っと残業続きで、かなりな疲労感。本日は、一日休養。

特に、忙しくて、休めないな・・・というプレッシャーのある時期（月末・月初の１週間くらい）の週末にちかい日（木曜日とか金曜日）の明け方に、現れる現象なんですが・・・。

『今日は、休みだったんだ。起きなくていいんだ・・・。』
・・・という、現実とは、少し違う思いが、半覚醒状態のワタシを騙すんですね。

この・・・『起きなくていい・・・』という凄く安心した、そして凄く嬉しい現実は、あと１日か２日頑張って、起きて、仕事をしないと、現実には、ならないので、実際には、やはり、起きなくては、いけないのだけれども、妙に嬉しいフェイント感といいますか・・・。
事実、完全に覚醒すると、
『あっ・・・と、休みじゃなかった・・・やっぱ起きねば・・・』
ということになるんですが・・・。

あまりにも、現実が厳しいので、きっと脳（・・・とか、潜在意識とか）が、
『コレジャ、ヤバイ・・・！イカレテシマウ・・・！！』
なんて危機感を感じて、少しでも、安らげるように、幻覚なWordで、ワタシの理性を騙すわけです・・・（ってホントかよ・・・）。

会社での仕事が楽しい人には、たぶん、現れることのない現象（・・・でいいのか？）だと思いますが、イヤイヤ？仕事をして、この仕事以外に他に収入のあてがなく、・・・毎日、きちんと出勤しないといけない会社員の宿命（・・・またオーバーな・・・）を背負った？ワタクシに、週末のささやかな喜び？？？

週末に、このフェイント感を味わっておくと、休日の明け方・・・
『今日は、本当に、本当に、本当に、起きなくていいんだ！』
と本当に・・・嬉しくなって、嬉しさ倍増・・・。
それでもって、
『今日は、好きなだけ、眠って、読みたかった本だって読んじゃうもんね・・・。』
なんて思うと、余計に楽しい訳です・・・と言っても、大体、１日中、うとうと眠っていて、あっという間に、休日は、終わる・・・といった、虚しいといえば、虚しい日々の繰り返しでもありますが・・・。

Morning Pleasure 現象と勝手に名前までつけて、最近では、結構、楽しんでおります？？？