マンションの隣室は以前、長女の一家が住んでいた。隣人が引っ越した時、長女が「パパ買っておいてよ」というので、高校の後輩が支店長だった銀行で融通してもらって購入した。けれど、長女一家が引っ越していったが、荷物の多くが置いたままだった。結局、私のアトリエにはならずに、娘たちが帰ってきた時の部屋になっている。
電気はいつでも必要なのでそのままにしているが、水道とガスは事故が起きてはいけないので止めている。そこで、娘たちが帰ってくる度に弁を開けてもらう。水道はマンションの管理事務所で開けてもらえるが、ガスは東邦ガスに連絡しないといけない。いつも来てくれる下請けのガス屋は、既に盆休みに入っていた。
東邦ガスの本社から従業員が午前中にやって来て、汗をいっぱい流しながら開栓作業をしてくれた。午後、カミさんとふたりで、6人分のフトンを用意する。娘たちが泊まる度にフトンを揃えるのは結構大変な作業だ。カミさんは張り切っていろいろ考えを巡らしているが、果たしていつまで続けられるだろう。
午前中、友だちが花を持って見舞いに来てくれた。優しい心遣いに感謝する。彼女は夫に先立たれたが、夫との音楽活動は続けている。保育園や幼稚園あるいは老人ホームなどでの演奏活動も行っている。「忙しいですね」と言うと、「貧乏暇なし」と笑う顔が可愛い。盆休みは息子さんのところで、孫のお守りのようだ。
高校野球、昨年の優勝校の智辯和歌山が国学院栃木に5対3で敗れた。高校野球ではまさかと思うことが起きる。圧倒的に優勢だろうと思っていたのは私の勝手な思い込みだった。高校生ひとり一人にそれほど力の差は無い。思わぬ好プレイや珍プレイが飛び出すのも、高校野球の面白いところ。勝敗は時の運という。
日常は淡々と流れていく。何事も無いことが一番いい。けれど、いつか終止符が打たれる時がやってくる。ゲームセットである。