朝、空を見上げると晴れ渡っていた。伊吹山の頂上が白く輝き、その北側の山々にも白いものが見える。しばらくすると、ピーピーと笛が鳴る音がして、子どもたちが登校して来た。寒いと思ったのに、子どもたちは元気に運動場を走り回っている。
韓国の戒厳令騒ぎは収まったが、権力が集中する大統領制の危なさが顕著になった。大統領を置く国は、なぜ国王の代わりを求めたのだろう。圧倒的に強い「人」をが必要だったのだろうか。民主主義の手本と言われるアメリカも、なぜ大統領を置いたのだろう。
運動場で遊ぶ子どもたちを見ていると、「はい、つぎ」と仕切る子がいる。確かにその方がスムーズにいくようだが、大人はそれに欲が加わるから、公平とか平等が無くなってしまう。民主主義の基本原則は、自由・平等・博愛であったはずなのに。
子どもたちの元気な様子に触発されて、昼の暖かい時間に散歩でも行こうと思った。「そんなに家に閉じ籠っていると、足腰が弱るわよ」とカミさんに注意されているから、「今日は散歩して来た」と自慢するつもりだった。
外は暖かいだろうとガラス戸を開けて、ルーフバルコニーに出てみた。身体が震えるほど寒い。ダメだ、これではヒートショックで倒れると、勝手な解釈をして外出を取りやめた。いつもなら高齢者が多い公園も、喫茶店やコンビニが並ぶ通りも、人影が無い。
いよいよ本格的な冬の到来か。小学生の頃、校舎の2階から御岳山が見えた。山頂が白くなるころは冷たい風が吹いて、凍えそうになる。陽が射す教室の南側が取り合いだった。どの子もしもやけとひび割れで、痛々しい手をしていた。
けれど、白くきれいな手をした女の子がふたりいた。ふたりとも病院の娘で、中学からは名古屋の私学へ行ってしまった。ふたりからよくからかわれたけど、どうしているのだろう。カミさんは明日ゴルフ、昼食をどうしようか。