友だちに頼んで通販で買ってもらった本を読み始めた。明石市の前市長、泉房穂氏をインタビューした鮫島浩氏との対話集『政治はカンカだ!』である。泉前市長のことは新聞などで、暴言市長と取り上げられていた。また、人口増加と税収増加を成し遂げた市長とも言われていた。
本の新聞広告には「腐った組織は変えられないとあきらめている全日本人必読」のコピーが大きく目立つ。本の帯には「議会、政党、宗教団体、市役所職員、マスコミ‥、私が闘ってきた相手の正体をすべて明かそう」とある。風貌から歳のいった人だと思っていたが、1963年生まれの60歳と若かった。
「『四面楚歌』とか、『絶体絶命』という言葉が好きだ」とか、「『人から嫌われたくない』なんて思ったことは無い」と話す、実に変わった人である。明石市長になりたくて、そのためにだけ生きてきた。その原点は、障害を持って生まれて来た弟に対する理不尽な政治にあった。
「故郷の明石を誰よりも愛し、誰よりも憎んでいた」10歳の少年は明石市長になることを決意して東大に進み、学生寮の寮費値上げ反対の全学ストを決行、敗退した責任を取ると退学届けを出したが、学部長に説得されて復学する。1980年代でも学生運動は続いていたのだ。けれど、泉氏の目は東欧で生まれた「民衆の力」による国家の変革に向かっていた。
「誰一人見捨てない」政治を目指し、「市民の応援だけを味方にして勝たないと意味が無い」と政党や団体の応援を拒否して市長選に臨んだ。「私たちの明石を私たちの手に取り戻そう」「私たちの社会を諦めてはいけない」と訴えて回った。69票差で当然したが、これまで通りの風習にとらわれない新市長は、議会・職員・マスコミからの総攻撃を受けた。
我が北名古屋市の太田市長にも、ぜひ読んで欲しいと思った。