卒業生が岩倉市の生涯学習センターで、仲間とともに作品の展示をしている。同級生が見て来たことをFacebookに上げていた。岩倉に近い私も見に行こうと、ひとりで出かけた。電車を降りると、ムッとする暑さが襲って来た。
生涯学習センターは駅の目の前の建物である。展示場はすぐ分かったが、誰も居ない。円空仏は木切れを仏の形に彫っていったもので、仰々しい仏像というより、素朴で親しみやすい。手ごろな木片があれば、鉈や鑿、彫刻刀で仏像の形に仕上げていく。近藤廣彦君の作品を探す。
在学中の彼は、大人しくて目立たない生徒だった。今、私は彼に教わることが多い。植物にしても昆虫にしても、じつに博識であり、故事来歴にも通じている。古民家を手に入れ、野菜作りだけでなく、盆栽などにも精を出している、不思議な男だ。
円空仏を彫っていることは彼のFacebookで知っていたが、実物を見たのは今日が初めてだった。この地方には円空仏が多く存在し、この市にも円空仏の研究家がいて、地域新聞を作っていた時、その研究家に記事を書いてもらったことがあった。
生涯学習センターを出て、近くに喫茶店は無いかと探すが見つけられなかった。暑い、このままでは熱中症になってしまう。諦めて家に帰って来た。駅から我が家までそんなにある訳では無いのに、汗がにじみ出てくる。マンションのすぐ近くの喫茶店に入った。
先客がいて、喫茶店の女性と話していた。コロナの前までは客が途絶えることは無かったとその男性は言う。小牧市で飲み屋をやっていたようだが、腰を痛めて、コロナ禍でやっていけなくなったと話す。「コーヒーのような単価の低いものは儲からんでしょう」と言うのに、「酒なんか出すと、面倒が多くてかなわん」とも言う。
熱いコーヒーを飲み、冷たい水を飲み、男の自慢話を聞き、やっと元気が出たので、430円を支払い、「ごちそうさま」と言って店を出た。外はまだ熱せられた鍋底のように熱かった。
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