【永田満徳(みつのり)】 日本俳句協会会長代行 俳人協会幹事 俳人協会熊本県支部長 「文学の森」ZOOM俳句教室講師

「火神」主宰 「俳句大学」学長 「Haïku Column」代表 「秋麗」同人 未来図賞/文學の森大賞/中村青史賞

〜Facebook「Haiku Column」〜 ☆【俳句界】2023年10月号☆

2023年10月02日 21時27分33秒 | 「俳句界」今月の秀句
俳句大学国際俳句学部よりお知らせ!
 
〜Facebook「Haiku Column」〜
☆【俳句界】2023年10月号☆
 
◆俳句総合誌『俳句界』2023年10月号が発行されました。
◆俳句大学 〔Haiku Column〕のHAIKUから選句・選評した句を掲載しています。また、「俳句界」2019年1月号から毎月連載しています。
※ 2021年の『俳句界』10月号から、優秀な作品が揃って来ましたので、1ページ増えて、3ページに渡って掲載しました。
◆R 2・12月号から作者の国名を入れています。
◆どうぞご理解ご支援をお願いします。
 
The October issue of 「HAIKUKAI俳句界」!
〜Haiku Colum of Haiku University [Monthly best Haikus]〜
◆the October issue of HAIKUKAI俳句界 has just been published.
◆It contains the best haikus of the month selected by M. Nagata.
◆according to the plan, we will continue to publish 2 lines haikus with kire and toriawase.
 
Octobre aout de 「HAIKUKAI俳句界」!
〜Haikus du mois de Haiku Colum de Haiku Universite〜
◆ Octobre aout de HAIKUKAI俳句界 vient d'etre publie.
◆il contient les meilleurs haikus du mois selectionnes par M. Nagata.
◆Selon ce plan nous allons continuer a publier des haikus en deux lignes avec kire et toriawase.
 
Haiku Column(俳句大学)(「俳句界」R5年10月号)
永田満徳選評・向瀬美音選訳(仏・伊)・中野千秋訳(英)
 
【今月の秀句(monthly excellent Haikus)】  
(Facebook「Haiku Column」より)
 
Kim Olmtak Gomes (Holland)
bubbly summer excitement
a glass of sparkling water
〔Commented by Mitsunori Nagata〕
Drinking "carbonated water" raises body temperature and increases heart rate, which in turn promotes metabolism. Chilled carbonated water is a great way to rehydrate in the summer when there is a risk of heat stroke. The best part of a carbonated beverage is the "sizzling" sensation. The personification of "summer" being "excited" by the bubbles of popping soda water is a clever expression.
キム オルムタック ゴメス(オランダ)
炭酸水しゆわしゆわ夏の興奮して 
〔永田満徳評〕
「炭酸水」を飲むと、体温が上昇し、心拍数が増加するため、新陳代謝を促進するという。冷えた炭酸水は熱中症のリスクがある夏の水分補給にぴったりである。炭酸飲料の醍醐味ともいえるのは「しゆわしゆわ」とした刺激である。炭酸水が弾ける泡に対して、「夏」が「興奮」するという擬人化が巧みな表現である。
Gabriella De Masi(Italy)
notte d'estate-
il vento agita anche i miei sogni
〔Commented by Mitsunori Nagata〕
Dopo il picco di calore del giorno, le "notti d'estate" diventano un po' più piacevoli. Tuttavia, spesso la notte è tropicale e ci si sveglia con difficoltà, il che può rendere difficile il riposo notturno e provocare malessere. A volte dormo con le finestre aperte. Più la notte si fa tarda, più spesso percepisco una piacevole "brezza" che entra, come se "scuotesse" i miei "sogni" dopo l'ora di andare a letto.
ガブリエラ デ マシ (イタリア)
夏の夜や風は夢まで揺らしたる
〔永田満徳評〕
日中の暑さがピークを越して、「夏の夜」はやや過ごし易くなる。それでも、熱帯夜となることもしばしばで、寝苦しく目が覚めてしまい、ぐっすり眠れず体調を崩すことになる。窓を開けて寝ることもある。夜も更ければ更けるほど、就寝後の「夢」も「揺らしたる」ように、心地よい「風」が入ってくることをよく捉えている。
Refika Dedić(Romania)
summer heat
only the air walks through the city
ljetne vrućine
samo zrak šeta gradom
〔Commented by Mitsunori Nagata〕
Extremely hot" refers to the height of summer heat. When extremely hot days continue, people feel that they are too tired to go outside and that their bodies cannot stand the heat. Due in part to the heat island phenomenon, in which the temperature in urban areas is higher than the surrounding temperature, people are only conscious of the heat. I can sympathize with the description of the extremely hot atmosphere in the city as "walking around the city with only the air in my body.
レフィカ デディック(ルーマニア)
空気だけ街を歩いてゐる極暑 
〔永田満徳評〕
「極暑」はきわめて暑く、夏の暑さの盛りのこと。猛暑日が続くと、「外に出るのがおっくうだ」「体がもたない」という気持になる。都市部の気温が周囲の気温よりも高いヒートアイランド現象もあって、暑さだけが意識される。街中の極暑の雰囲気を「空気だけ街を歩いている」と表現しているところが共感できる。
 
今月の季語(Kigo of this month) 
(Facebook「Haiku Column」より)
 
【 夏 なつ natsu / summer / été 】
Zana Coven(Romania)
dancing on the rain
beginning of the summer
plešući na kiši
početak ljeta
ザナ コヴェン(ルーマニア)
雨の上に踊りて夏がやつて来る
Tounès Thabet (Tunisia)
'été moment des retrouvailles
l'union des cœurs
トゥネス タベ(チュニジア)
再会の夏よ心の絆なり 
 
【 夏の月 なつのつき natsunotsuki / summer moon / lune d’été 】
Olfa Kchouk Bouhadida(Tunisia)
lune d'été ~
elle attend son amoureux à la plage
オルファ クチュク ブハディダ(チュニジア)
夏の月浜で恋人待ちにけり 
Agnese Giallongo(Italy)
on the red roofs two cats in love
summer moon
sui tetti rossi due gatti in amore
luna estiva
アグネーゼ ジアロンゴ(イタリア)
赤屋根に猫のカップル夏の月 
 
【 夕凪 ゆうなぎ yuunagi / quiet evening sea / mer calme du soir 】
Arnata Pakangraras(Indonesia)
quiet evening sea
a ship keeps moving away
アルナタ パカングララス(インドネシア)
夕凪や船は遠のくばかりなる
barbara olmtak(Holland)
quiet evening sea
the distant wailing of a flute
バーバラ オルムタック(オランダ)
夕凪やフルートの音の遠くより 
 
【 緑蔭 りょくいん ryokuin / the shade of a tree / ombrage des feuillages 】
Ariani Yuhana(Indonesia)
shade of tree
gently wind makes him sleepy
アリアニ ユハナ(インドネシア)
緑蔭や静かな風に眠くなる
Christina Chin(Malaysia)
moving closer—
the cool shade of a tree
クリスティーナ チン(マレーシア)
近づいて来て緑蔭の涼しさよ 
 
【 猛暑 もうしょ mousho / scorching / canicule 】
Dennys Cambarau(Italy)
la canicola -
è dolce e fresca al tocco l'acqua dei monti
デニス カンバロ(イタリア)
山の水手に新鮮や猛暑の日
Ouechtati Faiza(Tunisia)
Chaleur infernale~
sur le gazon arrosé s'endort le chien de garde.
ウエクタティ ファイザ (チュニジア)
水撒きし草に犬寝る猛暑かな
 
【 水着 みずぎ mizugi / swimwear, swimsuit / maillot de bain 】
Florence Mühlebach(France)
maillot de bain ~
sur ses épaules, elle déplace les bretelles
swimsuit~
on her shoulders, she moves the straps
フロランス ミュールバッハ(フランス)
肩紐を動かしてゐる水着かな 
Rufliyandhi Rambe
swimsuit
her curves resemble a Spanish guitar
ルフリヤンディ ランベ(インドネシア)
そのくびれギターのごとき水着かな 
 
【 夏帽子 なつぼうし natsuboushi / summer hat, straw hat / chapeau d’été, chapeau de paille 】
タンポポ  亜仁寿(Indonesia)
summer hat
my heart is already in the sea
タンポポ  亜仁寿(Indonesia)
夏帽子心はすでに海にあり 
Nuky Kristijno(Indonesia)
white ribbon around her summer hat
chic lady on the beach
ナッキー クリスティジーノ(インドネシア)
浜をゆく白きリボンの夏帽子 
 
【 サンドレス さんどれす sanndoresu / sun dress / robe d’été 】
Angela Giordano(Italy)  
abito estivo...
si vede e non si vede il nuovo tatuaggio
アンジェラ ジオルダーノ(イタリア)
サンドレス刺青見え隠れしたる
Sylvie - Raymonde Theraulaz(France)
des fleurs fraîches en souvenir d'Elle -
robe d'été
シルヴィ - レイモンド テロラス(フランス)
サンドレスエルを偲びし生花かな
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Facebook「華文俳句社」 〜【俳句界】2023.10月号〜

2023年10月02日 21時08分19秒 | 「俳句界」華文俳句
俳句大学国際俳句学部!
 
Facebook「華文俳句社」
〜【俳句界】2023.10月号〜
 
◆2023年『俳句界』10月号が発行されました。
◆華文圏に俳句の本質かつ型である「切れ」と「取り合わせ」を取り入れた二行俳句を提唱して行きます。
◆2020年1月からは月刊『俳句界』に「華文俳句」の秀句を連載しています。
◆どうぞご理解とご支援をお願いします。
俳句大學國際俳句學部的通知!
~Facebook 「華文俳句社」Kabun Haiku 2023・10〜
◆2023年『俳句界』10月號已出版。
◆於華文圏提倡包含俳句的基礎「一個切」和「兩項對照組合」的二行俳句。
◆請各位多多支持指教。
 
華文俳句【俳句界】2023,10月号
永田満徳選評・洪郁芬選訳
 
𣎴同人的汗味
日暮街
鄧紹佳
〔永田満徳評論〕
「汗」成了夏天炎熱的代名詞。溫度升高,汗水就從皮膚上源源不斷地湧出。在灼熱的夕陽照射下,人們不禁擦拭額頭和脖子上的汗珠,彷彿被烈日烤灼著一般。在街頭來往的人群中,似乎能嗅到濃郁的「汗味」飄散。這段文字以「不同人的汗味」來描繪正值盛夏的「街景」,引起強烈的共鳴。
 
日暮なる街それぞれの汗の匂ひ
鄧紹佳
〔永田満徳評〕
「汗」は夏の極暑の代名詞。暑くなればなるほど、汗が皮膚からだらだらと出てくる。焼けつくような「日暮」の日差しに照らされて、額や首筋の汗を拭いているのであろう。いかにも街中を行き交う人の「汗の匂ひ」が漂ってきそうである。暑さの真っ盛りの「街」の様子を「それぞれの汗の匂ひ」と表現しているところが共感できる。
 
 
上衣透明的繡花
水槍
丁口
〔永田満徳評論〕
「水槍」是一種玩具,它透過壓縮空氣來射出水。就像俳句中所說的〈呼喚爸媽/水槍的靶子 井沢正江〉,人們會以親近的人為目標,用水鉄砲來射擊。而「繡花」則是指具有花朵圖案的刺繡。句子中描述的「上衣透明的繡花」指的是透明材質且帶有花朵圖案的上衣,可能是在談論雨衣。這段文字成功地捕捉到了充滿活力和可愛的孩子們在水中嬉戲的場景。
 
水鉄砲クリアな服の花模様
丁口
〔永田満徳評〕
「水鉄砲(水槍)」は空気を圧縮して水を発射するおもちゃ。「ちちははを水鉄砲の的に呼ぶ 井沢正江」の句のように、親しい人を標的にして水鉄砲を撃っているのである。「繡花」とは花模様の刺繍のこと。「上衣透明的繡花」は花柄の透明な上着、つまりレインコートのことであろう。元気で可愛い子どもの水遊びの姿がよく捉えられている。
 
 
堂兄弟爭相偷吃喜餅
捕蠅籠
帥麗
〔永田満徳評論〕
「捕蠅籠」是指台灣夏季的季語,是一種用來捕捉蒼蠅的器具。這些蒼蠅會被引誘進入放有腐爛內臟等物的籠子,然後無法再自由出去。「喜餅」則是婚禮或慶祝場合中贈送的傳統糕點。擺在捕蠅籠附近的喜餅,或許會被表從舅的表兄妹們「偷偷品嚐」。這段描述成功地捕捉到了天真無邪的孩子們的舉動。
 
捕蠅籠いとこで喜餅盗み食ふ
帥麗
〔永田満徳評〕
「捕蠅籠{ほえいろう)」は台湾の夏の季語で、虫取り器具のこと。蠅は腐った内臓などのある籠の中に引かれて、出ることができなくなる。「喜餅(きびょう)」は結婚式やお祝い事などで贈られる伝統的な菓子。捕蠅籠の近くに置かれた喜餅をいとこ同士で「盗み食ふ」のであろう。無邪気な子どもの動作がうまく切り取られている。
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〜 季語で一句 (47)〜『くまがわ春秋』2023年10月号(第91号)

2023年10月02日 20時14分48秒 | 月刊誌「くまがわ春秋」
俳句大学投句欄よりお知らせ!
 
〜 季語で一句 (47)〜
◆『くまがわ春秋』2023年10月号(第91号)が発行されました。
 
◆Facebook「俳句大学投句欄」で、毎週の週末に募集しているページからの転載です。
◆お求めは下記までご連絡下さい。
・info@hitoyoshi.co.jp 
 ☎ 0966-23-3759
 
永田満徳:選評・野島正則:季語説明
季語で一句(R5.10月号)
 
二百十日(にひゃくとおか《にひやくとをか》)  「秋-時候」
大工原一彦
汚染から処理へと変はる水厄日
【永田満徳評】
稲の開花期に、台風が襲来することもあって、「厄日」とされている。原発事故による「汚染水」を処理して、「処理水」と呼んでいることへの違和感をうまく「厄日」という季語と取り合わせて詠んでいる。
【季語の説明】
立春から数えて二百十日目。日付ではおよそ9月1日ごろ。厳しい暑さも和らぎ、秋へ向けて過ごしやすくなる。しかし、台風の多い日、風の強い日といわれ、稲の開花期にもあたることから、この日を無事に過ぎてほしいという農家の願いから「厄日」ともいわれている。
別れ烏(わかれからす)    「秋―動物」
大工原一彦
子別れ烏相続税か贈与税
【永田満徳評】
「烏の子別れ」は 親との別れが遅く、秋に単独で飛んでいるのを「別れ烏」「烏の子別れ」とも言う。財産を相続、贈与することは「烏の子別れ」の儀式に似ていて、「別れ烏」とうまく取り合わせている。
【季語の説明】
一般的な鳥は巣立ちが親子の別れとされる。烏の子は巣立ちから群れで行動することが多く、親との別れが遅くなるという。秋に単独で飛んでいる烏に対して、「親や子と別れた烏」と見なし、「烏の子別れ」として季語にしている。烏は一夫一婦制の動物で、1度つがいになると、生涯そのペアが解消されることはない。
蜩(ひぐらし)        「秋―動物」
佐竹康志
蜩のやがて汀の音となる 
【永田満徳評】 
「蜩」は夕暮れ時に特によく鳴く。秋の夕方に鳴く蜩の声にはひときわ味わい深い。澄んだ鈴を振るような声でカナカナと鳴く「蜩」の特徴的な声が「汀の音」に重なるという表現に詩的な感性を感じる。
【季語の説明】
「蜩」という名の通り、夕暮れに特に鳴く蟬。日本ではその鳴き声から カナカナ 、 カナカナ蟬 などとも呼ばれる。すでに晩夏から鳴き出し、夕暮れに限らず、明け方に鳴くこともある。夏の終わり頃の朝夕に聞く蜩の声は、一種の哀調のある声が遠くまで響き、他の蟬とは違って、秋の気配を少しながら感じさせてくれる。
 
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