長山靖生著『日露戦争』(新潮社)を読み終え、司馬遼太郎さんの歴史観では見えない時代の雰囲気や昭和の馬鹿げた戦争への認識について、自分が信頼していただけに、必ずしもそうではないというセカンドオピニオンとなりました。
明治も昭和も、国民意識としては変わっていなかったのですね。
また、昭和30年代からの谷崎潤一郎著「瘋癲老人日記」は、カタカナと漢字の文体で、しかも1ページの文字数が多く、濃密で読みづらいのですが、老人の域に達してる身としては、とても面白く読めています。
慣れるまで、もうひと辛抱です。
それから、いよいよ永井荷風著「断腸亭日乗(下)」が佳境に入り、昭和20年3月、東京大空襲で焼け出されたのは、私と同じ年齢の著者67歳のときであり、以降の疎開、食糧難を生き延びた日々を想うと、ただただ敬服するばかりです。これを今のコロナ禍を生きる現在に置き換えながら、世相や自分の振る舞いの参考にしていければと思っています。