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島田雅彦さんの『夢使い』から~その4

2015年05月16日 | 小説・映画等に出てくる「たばこ」
今回の『夢使い』では、たばこの消費時間で物事の進行具合を対比させたり、全然知らない人と話すきっかけとして「たばこを一本どうですか」と勧める手法が描かれています。

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千人を数えるのはそう大変なことではなかった。煙草を1箱を吸い切る前にカウンターは千を越える。日によっては交通量調査のアルバイト学生がクビタケと殆ど同じスタイルでカウンターのボタンを押している光景が見られた。

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類は友を呼ぶわけでもないだろうが、スペイン語でブツブツ独り言をいう量産絵画売りと目が合い、クビタケは彼の脇にしばらく黙って立っていた。煙草を勧めながら英語で何処から来たかたずねると、日本語で「メヒコ」と、答えた。彼は愛想が良く、いつも笑顔を絶やさなかったが、縁なし眼鏡の向こう側の目は相手の顔の表情の変化を消して見逃すまいとしていた。慢性の鼻炎らしく、いつも鼻声で、鼻の下は荒れていた。
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