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抜き書き帳『出発は遂におとずれず』(5)

2016年07月14日 | 小説・映画等に出てくる「たばこ」
「編集者の憂鬱」
【237ページ】
やがて酔いが廻って来て、すみっこに追いつめられたような気分がうすれると、もう明日の朝になってみなければどう考えたってどうなるものでもない、先ず眠ることだと自分に言いきかせ、思いつめると、へんになりそうだ、ぐっすり眠らなければ、など頭のすみで考えていると、そのうち眠りに落ちた。
【248ページ】
「おしっこ、するんだい」
子之吉は足ぶみしながら、廊下のガラス戸の鍵を外してあげて、そのまま外にとばしてやった。
「いやだねネノは。そこが臭くなって仕様がないのよ」
「だってむぐっちゃうんだもの」

[ken] 何はともあれ、どんな窮地にあっても、私は「眠れているうちは大丈夫だ」という基準で自分の調子を判断してきました。これからもそれは変わらないと思います。248ページの「むぐっちゃう」は、おしっこや大便を「もらしちゃう」ことですが、幼少時の私が生まれ育った町でも普通に使われていました。子どもたち同士で、相手に罵倒を浴びせるとき「バカ」「アホ」「うんこむぐし」と叫ぶことがよくありました。久しぶりに、この言葉を見て「ある意味では標準語だったのか!」と驚きました。(つづく)
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