◆ 『今夜全てのバーで』について 水元 正介
◎ 中島らも氏のエッセイ3冊を買い、「カンサイ帝国の……」という本を読み終え、次に「今夜全てのバーで」を半分近く読みました。スイスイと入ってくるので、かなり自分と相性の良い作家だと感じています。中島さんは、宝塚在住なので、地震は大丈夫だったのかな?
「今夜全てのバーで」は、年末年始のドラマで見たことがあり、中島らも氏のことを記憶していたのです。主人公が柴田恭平、天童寺の妹が浅野ゆう子、医者は根津甚八……とても面白く、若干状況設定に差異はあるものの、ドラマに出てくるセリフにも馴染みがありました。
ところで、昨年末にナルコレプシーという奇病とのつき合いから、内蔵疾患による入院生活をたんねんに綴った色川武大さんの「狂人日記」を読み、それは幻想や妄想のオンパレードであり、ものスゴイ迫力でしたから、「今夜全てのバーで」もそのラインで読みました。
◎ 僕は、中島さんと山田風太郎さんとの対談を読み、笑ってしまいました。山田さんの本は、高校生の時に文庫本(隠密ものだったと思う)を1冊読みましたが、胸がどきどきするような忍法にビックリした記憶があり、改めて、僕たちにとってまだまだ読むべきテキストは多いのだ、と実感させられました(ちなみに、中島さんも山田さんも大のたばこ好きです)。
色川さんの「狂人日記」には、老人医療や病院の実相が克明に描かれおり、その上に患者としての意思(生と死への対峙、そして覚悟や後悔とあがき)がリアルに伝わってくるので、これから親や身近な方々をみとり、自らも老後を迎える自分にとって、かなり参考になりました。
◎ 夢見には良くないけどね……、それから様々な過去のことが、グワーッと想起されたりするしね。昨日の夜中、「今夜全てのバーで」の文庫本を閉じて、一服しながら余韻が楽しめるというのは、文章が一流だと納得できました。まぁ、それにしても人生にはいろいろなことがあって、これからはアルコール中毒患者の気持ちにも同化できるようになると、人を観る目に変化が起きるし、飲むことの奥深さを実践したくなり、とめどなく忙しい精神生活になるなぁ、と思ったりしています。
病気(病院)、老後というのが気にかかる年代になったのだろうし、駄目人間とされる生き方も一つの素晴らしい現実なのだ、ということですね。それに、みんな不安定な土台に生きているし、生も死も紙一重という状況の認識が大事なのだと思いました。(1995.1)
◎ 中島らも氏のエッセイ3冊を買い、「カンサイ帝国の……」という本を読み終え、次に「今夜全てのバーで」を半分近く読みました。スイスイと入ってくるので、かなり自分と相性の良い作家だと感じています。中島さんは、宝塚在住なので、地震は大丈夫だったのかな?
「今夜全てのバーで」は、年末年始のドラマで見たことがあり、中島らも氏のことを記憶していたのです。主人公が柴田恭平、天童寺の妹が浅野ゆう子、医者は根津甚八……とても面白く、若干状況設定に差異はあるものの、ドラマに出てくるセリフにも馴染みがありました。
ところで、昨年末にナルコレプシーという奇病とのつき合いから、内蔵疾患による入院生活をたんねんに綴った色川武大さんの「狂人日記」を読み、それは幻想や妄想のオンパレードであり、ものスゴイ迫力でしたから、「今夜全てのバーで」もそのラインで読みました。
◎ 僕は、中島さんと山田風太郎さんとの対談を読み、笑ってしまいました。山田さんの本は、高校生の時に文庫本(隠密ものだったと思う)を1冊読みましたが、胸がどきどきするような忍法にビックリした記憶があり、改めて、僕たちにとってまだまだ読むべきテキストは多いのだ、と実感させられました(ちなみに、中島さんも山田さんも大のたばこ好きです)。
色川さんの「狂人日記」には、老人医療や病院の実相が克明に描かれおり、その上に患者としての意思(生と死への対峙、そして覚悟や後悔とあがき)がリアルに伝わってくるので、これから親や身近な方々をみとり、自らも老後を迎える自分にとって、かなり参考になりました。
◎ 夢見には良くないけどね……、それから様々な過去のことが、グワーッと想起されたりするしね。昨日の夜中、「今夜全てのバーで」の文庫本を閉じて、一服しながら余韻が楽しめるというのは、文章が一流だと納得できました。まぁ、それにしても人生にはいろいろなことがあって、これからはアルコール中毒患者の気持ちにも同化できるようになると、人を観る目に変化が起きるし、飲むことの奥深さを実践したくなり、とめどなく忙しい精神生活になるなぁ、と思ったりしています。
病気(病院)、老後というのが気にかかる年代になったのだろうし、駄目人間とされる生き方も一つの素晴らしい現実なのだ、ということですね。それに、みんな不安定な土台に生きているし、生も死も紙一重という状況の認識が大事なのだと思いました。(1995.1)
About "At All the Bars Tonight" (Shosuke Mizumoto)
◎I bought three books of essays by Ramo Nakajima, finished reading a book called "The Kansai Empire's ......" and then read almost half of "In All the Bars Tonight".
I feel that he is an author who is quite compatible with me, as he comes in at a swifter pace.
I wonder if Mr. Nakajima was okay with the earthquake, since he lives in Takarazuka.
I had seen "Tonight at All Bars" in a TV drama during the year-end and New Year holidays, and I remembered Mr. Ramo Nakajima.
The main character was Kyohei Shibata, Tendouji's sister was Yuko Asano, and the doctor was Jinpachi Nezu ...... very interesting, and I was familiar with the lines in the drama, although there were some differences in the situation settings.
By the way, at the end of last year, I read "Diary of a Madman" by Takehiro Irokawa, which describes his experiences with narcolepsy, a strange disease, and his time in the hospital due to internal diseases.
It was a parade of fantasies and delusions, and it was very powerful, so I read "Tonight at All the Bars" along those lines.
I read the interview between Mr. Nakajima and Futaro Yamada and laughed. I read one of Mr. Yamada's books when I was in high school, a paperback (I think it was a covert one), and I remember being surprised by his heart-throbbing ninja techniques, which made me realize once again that there are still many texts for us to read.
Incidentally, both Mr. Nakajima and Mr. Yamada are big cigarette lovers.
In his "Diary of a Madman," Mr. Irokawa clearly describes the realities of medical care for the aged and hospitals, and on top of that, he realistically conveys the will of a patient (facing life and death, determination, regret, and struggling).
It's not good for dreaming, though. ......, and then various things from the past are recalled with a whimper.
Last night at midnight I closed my paperback copy of "Tonight at All the Bars" and was convinced that the writing was top-notch, that I could enjoy the aftermath while having a smoke.
Well, then again, there are many things in life, and from now on I will be able to assimilate the feelings of an alcoholic.
I will change the way I look at people, I will want to practice the profundity of drinking, and I will be busy with my spiritual life.
I am now at an age where I am concerned about illness (hospital) and old age, and I think it is a wonderful reality that the way of life that is considered useless is one way to live.
Besides, everyone is living on an unstable foundation, and it is important to recognize that there is a fine line between life and death. (1995.1)