志の輔旅まくら (新潮文庫)立川 志の輔新潮社このアイテムの詳細を見る |
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志の輔さんの、落語会で、旅をまくらにしたのを集めたもの。
ただ行き先が、ただものではない、・・・・マニアックな、国々ばかりで、
キューバ、インド、トルコ、エジプトにメキシコ、極めつけは、北朝鮮・・・。
そのなかで、ガイドさんとホテルの女性従業員相手に通訳を通じて小噺をする。
言葉のゴロ合せは通用しないので、分りやすい「右足と左足が同い年」の噺を。
思いの外、受けたので、
続いて、「また忘れたのか、おまえは!、学校に鉛筆を忘れてくるとは何事だ。
鉛筆を忘れた生徒というのは、戦場で鉄砲を忘れた兵士と同じじゃないか。
馬鹿者!!おまえは、戦場で鉄砲を持っていない兵士をみたら、なんだと思う?」
「ええっと、・・・・・・、大将だと思います」・・・・と訳された瞬間大受けとか。
実は、私も、上海で、中国人10名を相手に小噺をした経験があります、
分り易くと思いながら、いっそ日本人でも分り難い噺でもと、
選んだのは、枝雀師匠の緊張と緩和の極意「流れ星」を・・やはり、通訳を挟んで、
「これは、日本でも全員笑う噺ではありません。なぜなら、IQ150以上
すなわち、賢い人しか理解できないからです、でも、解らないとしても、
無理やり、笑う事はありません。」・・・なんと、この部分だけでくすくす笑い。
お母さんと娘の会話、「あっ、流れ星だ」、「消えないうちにお願い事を言いなさい」
「はやく、お父様に会えますように・・・・」、「まあ、ばかな事を言うんじゃないの。・・
お父様には、私たちの分まで、長生きしてもらわなくっちゃ・・・。」
予想どおり、シーン、では、もういちどだけ言いますと・・・。
「あっ、流れ星だ」、「消えないうちにお願い事を言いなさい」
「はやく、お父様に会えますように・・・・」、「まあ、ばかな事を言うんじゃないの。・・
お父様には、私たちの分まで、長生きしてもらわなくっちゃ・・・。」
この緊張・・・心地良いですな・・・。
「これは、この世の噺ではないんです。・・・・・訳あって、夫より先に亡くなった
妻とその娘の、あの世での会話なんです。
単にはやくお父さんにに会いたいという幼子と、
会いたいのは娘以上だが、・・・・この世に呼んではいけないと、
女性のいじらしい、揺れ動く気持と、無邪気な子供の心を描いた超大作
・いやいや・・・・・・そんな大層な噺ではないですが・・・」で、納得の笑い。
俗にいう、緩和の笑い。・・・笑いは最初と最後のみで、肝心の中身ではシーン。
でも、それを覚悟で、選んだのですが・・・
でも笑いは、万国共通であると確信したのを思い出しましたな。
あまり行くこともない国々で、おもしろごとを探す名人、志の輔が、自ら最高の語りべとなる。
その本が、おもしろくないはずがない・・・。
発刊してもう七年、是非、続編を聴きたいものですな。
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