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第一回・笹井宏之賞大賞受賞・作品集。
生活感のある歌が多く、僕、僕、と詠んでいたけど、
その生活は女性の世界の雰囲気、
途中まで、男か女か戸惑いながら読み進めていた。
気にいった歌は
ヌードルに潜んだヌーへ湯を注ぐ 三時間後に台風がくる
ずぶぬれの自転車こうこう光らせて待ってないのに恋人がきた
コロッケのたねをつくって揚げるのが面倒になり掬って食べる
縦長の紙がわたしを待っていてわたしの不在をお知らせします
水を買うその違和感で日々を買うわたしのすきなおにぎりはツナ
この靴はわたしじゃない誰かの物かもかもしれないな、 少しきつい
マーガリンも含めてバターと言う言うじゃんか、みたいに私を恋人と言う
霞草 おまえは主役になれないが生きているから大丈夫です
素麺に本気を出したい昼もあるガラスの器は去年の重み
いずれにも私の席は無いのだと四角から成るビル群を見る
外はもうただいちめんの蝉のこえ蝉が壊れるように鳴くこえ
それはうつくしいのですか格子格子の柄のカレンダーを捲るときの風
犬がゆくどこまでもゆくあの脚の筋いっぱいの地を蹴るちから
外食はおいしい だって産業になるほどおいしい 外食が好き
母さんのおもいで話を聞いている醤油こんなに干からびさせて
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