![]() | 内儀さんだけはしくじるな―目白・柏木・黒門町 |
クリエーター情報なし | |
文藝春秋 |
☆☆☆
落語のお弟子さんとお内儀さんとの関係を綴った本。
東京の、目白・五代目柳家小さんの小林生代子さん、
柏木・六代目三遊亭圓生の山崎はなさん、黒門町・八代目桂文楽の並河寿恵さん。
名人とか人間国宝と言われても、家の中で一番偉いのは、お内儀さん。
一門の色があるとすれば、それは師匠のではなく、お内儀さんの色。
だから頭の上がらない師匠からは、
「俺のことはいいから、内儀さんだけはしくじるなよ」と。
三人三様だが、共通しているのは、男っぽいこと。
小さんのお内儀さんは、自分のことを「俺」と言い、
師匠を呼ぶときは「おいッ」で、師匠も「うん」って返事する。
圓生さんのお内儀さんは、風呂上がり、腰巻きだけで部屋の中を平気でうろうろしたり、
文楽さんのお内儀さんは、呂で背中を流させたりしたり、家族同様、いやそれ以上の関係。
芸は、師匠に教えて頂き、礼儀作法というか世の中の処世術はお内儀さんに教えて頂く。
でも、落語ファンの私、各師匠が芸についてのところを紹介しますと・・・
小さん師匠は、「落語は大衆のもんじゃねえ、マニアックで通人のものだ。
それが可笑しい、面白いと想う人間以外に聴かせて、笑わせようとすると落語が崩れる」
文楽師匠は、「笑わせるってことは大変なことなんだよ。泣かせるのなんか簡単だ。
筋通りしゃべってってりぁ客は泣くんだよ。客が泣かなかったら手前が泣け、
そうしたら客も泣く。ところが客が笑わねえからって、手間が笑っても客は笑わなえ」
円生師匠は、この本では、ご自身は艶っぽい噺ばかりで芸談はないでげす。
まあ、芸人さんの奥さん、ましてや内弟子と云って一緒に暮らす落語のお内儀さん
やんちゃな師匠だけではなく、それに惚れてきたクローンみたいな者に囲まれてりゃ
師匠の芸だけが、頼り、励みだったんでしょうな・・・。
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