五代目米團冶襲名披露公演
ついに来ました、襲名披露の日。
華やかな襲名、そして米朝師匠のよもやま噺。
花禄、南光、仁鶴、ざこばさんの豪華な客演も楽しみ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
入場に時間がかかり、なかなか席が埋まらないかと
心配していると、2時丁度に開演。
一、桂団朝・・・・・・・・・・「寄合酒」
まずは、団朝さん。少し、紅顔での登場。
本日、国宝の米朝が来ておりますが、移動も桐の箱にいれてと
大変です。今日も少し乾燥気味なので、今少し霧を吹いたとこですと。
そして、その息子である小米朝さんが、
この度、大師匠の五代目米團冶の名跡を襲名いたしますと。
噺は「寄合酒」。20年選手がやる前座はそれなりの値打ちがある。
勢いがあって、噺の中で、噺自体のおもしろさが溢れる。
都んぼさんまん我さんを初め、米朝一門の寄合酒は
吟醸酒の味がする。・鯛は、犬に喰われたが、やはりめでたいですな。
二、柳家花緑・・・・・・・・「初天神」
「かかあ、羽織出せ」とは違う出だしで始まる、
上方とは、一味も二味も違う「初天神」
子供の泣き顔、駄々のこね具合は、上方の子供以上。
大阪の子は、言葉で親を困らすが、
向うの子は、泣きながら親の顔色を窺う。
こましゃくれ具合は、一枚も二枚も上手か。
花緑さん、子供の表情も豊かで、父親のみたらしの食べ方も
なかなかのもの。
江戸落語を聴く際、たらちねとか、酢豆腐、粗忽の釘、長屋の花見とか
上方ネタとダブルものを聴いて、違いを確かめるのも面白そうである。
三、桂南光・・・・・・・・・・「義眼」
なぜ、襲名披露に、「義眼」。選択した理由が解らぬ。
ちゃんと、見てませんと言う事か。
深い意味は無いのか・
でも、南光さんの代表作、「義眼」・・・・。
この噺、南光さん以外で、笑いをとるのは至難の業でしょう。
まあ、実力、腕があることは、よう解りました。
四、笑福亭仁鶴・・・・・・「壷算」
ああ、40年ぶりの仁鶴師匠の生落語。
私の落語歴をスタートさせた張本人。
梅が枝町の実験寄席で、ほぼ毎月、仁鶴さんを聴いた
「牛のがんぢ」、「向こ付け」、「延陽伯」、「借家怪談」、「七度狐」
「池田の猪買い」、「兵庫船」、「金の大黒」、「崇徳院」・・・。
その当時は、快速電車のごとく、勢いありましたな。
リズムが良く。言葉の遊びがありましたなぁ
今日の、「壷算」。各駅停車、それも信号待ちで途中で停まる。
次の台詞を、喜六、清八と私達も一緒になって待つ。
あまりのスローテンポに戸惑う私、「それがこっちの思う壷」と
逆にニンマリされている、仁鶴師匠の「壷算」でした。
五代目米團冶襲名披露口上
幕が上がると
左から南光、花緑、米朝、米團冶、仁鶴、ざこばの順に勢ぞろい
鳴りやまぬ拍手に、南光さん、制して、司会のスタート。
今回、10月4日の南座を皮きりに、40回の襲名披露公演。
私の南光の時は、4公演。
親のそれも人間国宝の七光りは凄いですな。
まずは、口上のご挨拶。東京からの柳家花緑さん。
米團冶さんは父親、私は祖父が、人間国宝で、
落語という世襲制でない世界で数少ない血縁関係をもつ。
実力優先の中で、米團冶という大きな名跡を継がれるのは大変。
今回だけではなく、春には春の噺、夏には夏の噺と、年四回。
この岸和田に続けて、お越しくださいと。
いや、こちらの台詞。まあこれからは、年一度か二度のペースで
是非、この浪切ホールに続けて来て、欲しいものですな。
桂米朝さん。
あえて褒めるとこは無いし。名前が変わったところで
中身はそう変わりませんで。
親として、遠慮して、よいしょは無い。
それが、米團冶への、期待の裏返しか。
でも、人間国宝米朝師匠の声が聴けただけで、
この襲名価値ありまっせ。
次は、ざこば師匠。
南光さんの、幼稚園児の小米朝をいじめ抜いたという
ざこばさんという紹介を踏まえて、
初めて米朝師匠の家へお伺いした時、奥さんが出て来られ
応接間に通されて、お饅頭とお茶が出てきたが
食べて良いものか思案していると、帰って来た明君(小米朝)が
顔を見るなり、これもうたろと、饅頭盗っていきよった、
そのあと、奥さんが入って来られて、自分は食べてないのに、
食べたと思われたみたいで、その時から・・・・多少苛めましたと。
でも、天国から枝雀兄ちゃんも喜んでいて、
この世では、米朝師匠に喜んでもろうて、こんなめでたいことはない。
米朝さんの嬉しそうな顔。
そして、仁鶴師匠の口上。
私は、今日が初めての披露公演参加ですが、
皆さんは、既に替わられながら、20日目みたいで、
祝いの口上も、こなれて、ネタになってますなと。
楽屋には、貯金箱があるのですが、
小米朝と呼ぶと罰金で500円いれることに。
皆様も、これから外で会われましても、必ず米團冶と
さもなければ、罰金1000円いただきます。
四角い顔で、「すみからすみまで、ずずずいーと
おん願いたてまつります。」・・・・・。
五、桂ざこば・・・・・・・・「青菜」
出て来るなり、嫁さんのはなし。
家でTⅤを見ていて、嫁さんがコップを落としたんで
びっくりして、「どないしてん」と聞くと、
「手がすべってん」・・・「(ゴメン)手がすべってん」となぜ言えん。
鯵の開きを焼くと真っ黒け、「真っ黒やんか」と言えば、
「焼きすぎたんや」、なぜ(ゴメン)の一言が無い。
ムカムカしますと・・・言いながら、奥さんと案外仲は良いらしい。
噺は、「植木屋はん、あんたもう仕事はすんでやったんかいな」と
もうすぐ冬と言うのに季節ハズレの、「青菜」。
今日は、出来は、荒れ気味。
ワサビを食べる前に、ムラサキで溶きやとか・・・・。
前にいったり、後ろにいったり・・・。
でも、笑いは雪だるま式に増える。
お咲きさんとの絡みからは全開。
落語と言うのは、きっちりしてなくても、
最後は、その人なりのセリフが出ていれば、それなりに、楽しめる。
気で喋るざこばさん本領発揮の「青菜」でした。
六、桂米團冶・・・・・・・・「七段目」
最後は、とりであり、本日の主役、米團冶さんの登場。
三階席まで満員のお客様への御礼。
南座の初日、松竹の方からいつから米團冶さんにと
「4日から」いや、幕が開いた時、楽屋入りした時、など
歌舞伎の世界では、人それぞれに違います。
いつにされます。「考えてない」・・・。
当日朝からTVの仕事があるので、朝起きた時、
いや大阪の日の出からにしようと調べると、なんと
午前5時55分で、そして5代目襲名と5並びで
縁起の好いことで。
噺は「七段目」。・・・・良かったですよ。
二ヶ月前の「はてなの茶碗」の時とは、別人。
若旦那の人柄そのものが、米團冶さんと重なる。
芝居の部分をきっちり演じることにより、主人公の若旦那と
親旦那、定吉、番頭などの脇役とかが明確になる。
笑いを取りにいくのではなく、噺を語る米團冶さんに期待。
やはり、襲名は、からだの心底より何かを変えてますな。
ああ、進化する米團冶さん、今しばらくは、目が離せませんな。
でも、襲名披露に立ち会えたこと、良かったです。
やはり、縁起もんですな。
五代目米團冶襲名披露公演
2008年11月8日(土)
岸和田・浪切ホール
ー出演ー
一、桂団朝・・・・・・・・・・「寄合酒」
二、柳家花緑・・・・・・・・「初天神」
三、桂南光・・・・・・・・・・「義眼」
四、笑福亭仁鶴・・・・・・「壷算」
ー中入ー
口上・・南光、花緑、米朝、米團冶、仁鶴、ざこば
五、桂ざこば・・・・・・・・「青菜」
六、桂米團冶・・・・・・・・「七段目」
08-62
ついに来ました、襲名披露の日。
華やかな襲名、そして米朝師匠のよもやま噺。
花禄、南光、仁鶴、ざこばさんの豪華な客演も楽しみ。
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入場に時間がかかり、なかなか席が埋まらないかと
心配していると、2時丁度に開演。
一、桂団朝・・・・・・・・・・「寄合酒」
まずは、団朝さん。少し、紅顔での登場。
本日、国宝の米朝が来ておりますが、移動も桐の箱にいれてと
大変です。今日も少し乾燥気味なので、今少し霧を吹いたとこですと。
そして、その息子である小米朝さんが、
この度、大師匠の五代目米團冶の名跡を襲名いたしますと。
噺は「寄合酒」。20年選手がやる前座はそれなりの値打ちがある。
勢いがあって、噺の中で、噺自体のおもしろさが溢れる。
都んぼさんまん我さんを初め、米朝一門の寄合酒は
吟醸酒の味がする。・鯛は、犬に喰われたが、やはりめでたいですな。
二、柳家花緑・・・・・・・・「初天神」
「かかあ、羽織出せ」とは違う出だしで始まる、
上方とは、一味も二味も違う「初天神」
子供の泣き顔、駄々のこね具合は、上方の子供以上。
大阪の子は、言葉で親を困らすが、
向うの子は、泣きながら親の顔色を窺う。
こましゃくれ具合は、一枚も二枚も上手か。
花緑さん、子供の表情も豊かで、父親のみたらしの食べ方も
なかなかのもの。
江戸落語を聴く際、たらちねとか、酢豆腐、粗忽の釘、長屋の花見とか
上方ネタとダブルものを聴いて、違いを確かめるのも面白そうである。
三、桂南光・・・・・・・・・・「義眼」
なぜ、襲名披露に、「義眼」。選択した理由が解らぬ。
ちゃんと、見てませんと言う事か。
深い意味は無いのか・
でも、南光さんの代表作、「義眼」・・・・。
この噺、南光さん以外で、笑いをとるのは至難の業でしょう。
まあ、実力、腕があることは、よう解りました。
四、笑福亭仁鶴・・・・・・「壷算」
ああ、40年ぶりの仁鶴師匠の生落語。
私の落語歴をスタートさせた張本人。
梅が枝町の実験寄席で、ほぼ毎月、仁鶴さんを聴いた
「牛のがんぢ」、「向こ付け」、「延陽伯」、「借家怪談」、「七度狐」
「池田の猪買い」、「兵庫船」、「金の大黒」、「崇徳院」・・・。
その当時は、快速電車のごとく、勢いありましたな。
リズムが良く。言葉の遊びがありましたなぁ
今日の、「壷算」。各駅停車、それも信号待ちで途中で停まる。
次の台詞を、喜六、清八と私達も一緒になって待つ。
あまりのスローテンポに戸惑う私、「それがこっちの思う壷」と
逆にニンマリされている、仁鶴師匠の「壷算」でした。
五代目米團冶襲名披露口上
幕が上がると
左から南光、花緑、米朝、米團冶、仁鶴、ざこばの順に勢ぞろい
鳴りやまぬ拍手に、南光さん、制して、司会のスタート。
今回、10月4日の南座を皮きりに、40回の襲名披露公演。
私の南光の時は、4公演。
親のそれも人間国宝の七光りは凄いですな。
まずは、口上のご挨拶。東京からの柳家花緑さん。
米團冶さんは父親、私は祖父が、人間国宝で、
落語という世襲制でない世界で数少ない血縁関係をもつ。
実力優先の中で、米團冶という大きな名跡を継がれるのは大変。
今回だけではなく、春には春の噺、夏には夏の噺と、年四回。
この岸和田に続けて、お越しくださいと。
いや、こちらの台詞。まあこれからは、年一度か二度のペースで
是非、この浪切ホールに続けて来て、欲しいものですな。
桂米朝さん。
あえて褒めるとこは無いし。名前が変わったところで
中身はそう変わりませんで。
親として、遠慮して、よいしょは無い。
それが、米團冶への、期待の裏返しか。
でも、人間国宝米朝師匠の声が聴けただけで、
この襲名価値ありまっせ。
次は、ざこば師匠。
南光さんの、幼稚園児の小米朝をいじめ抜いたという
ざこばさんという紹介を踏まえて、
初めて米朝師匠の家へお伺いした時、奥さんが出て来られ
応接間に通されて、お饅頭とお茶が出てきたが
食べて良いものか思案していると、帰って来た明君(小米朝)が
顔を見るなり、これもうたろと、饅頭盗っていきよった、
そのあと、奥さんが入って来られて、自分は食べてないのに、
食べたと思われたみたいで、その時から・・・・多少苛めましたと。
でも、天国から枝雀兄ちゃんも喜んでいて、
この世では、米朝師匠に喜んでもろうて、こんなめでたいことはない。
米朝さんの嬉しそうな顔。
そして、仁鶴師匠の口上。
私は、今日が初めての披露公演参加ですが、
皆さんは、既に替わられながら、20日目みたいで、
祝いの口上も、こなれて、ネタになってますなと。
楽屋には、貯金箱があるのですが、
小米朝と呼ぶと罰金で500円いれることに。
皆様も、これから外で会われましても、必ず米團冶と
さもなければ、罰金1000円いただきます。
四角い顔で、「すみからすみまで、ずずずいーと
おん願いたてまつります。」・・・・・。
五、桂ざこば・・・・・・・・「青菜」
出て来るなり、嫁さんのはなし。
家でTⅤを見ていて、嫁さんがコップを落としたんで
びっくりして、「どないしてん」と聞くと、
「手がすべってん」・・・「(ゴメン)手がすべってん」となぜ言えん。
鯵の開きを焼くと真っ黒け、「真っ黒やんか」と言えば、
「焼きすぎたんや」、なぜ(ゴメン)の一言が無い。
ムカムカしますと・・・言いながら、奥さんと案外仲は良いらしい。
噺は、「植木屋はん、あんたもう仕事はすんでやったんかいな」と
もうすぐ冬と言うのに季節ハズレの、「青菜」。
今日は、出来は、荒れ気味。
ワサビを食べる前に、ムラサキで溶きやとか・・・・。
前にいったり、後ろにいったり・・・。
でも、笑いは雪だるま式に増える。
お咲きさんとの絡みからは全開。
落語と言うのは、きっちりしてなくても、
最後は、その人なりのセリフが出ていれば、それなりに、楽しめる。
気で喋るざこばさん本領発揮の「青菜」でした。
六、桂米團冶・・・・・・・・「七段目」
最後は、とりであり、本日の主役、米團冶さんの登場。
三階席まで満員のお客様への御礼。
南座の初日、松竹の方からいつから米團冶さんにと
「4日から」いや、幕が開いた時、楽屋入りした時、など
歌舞伎の世界では、人それぞれに違います。
いつにされます。「考えてない」・・・。
当日朝からTVの仕事があるので、朝起きた時、
いや大阪の日の出からにしようと調べると、なんと
午前5時55分で、そして5代目襲名と5並びで
縁起の好いことで。
噺は「七段目」。・・・・良かったですよ。
二ヶ月前の「はてなの茶碗」の時とは、別人。
若旦那の人柄そのものが、米團冶さんと重なる。
芝居の部分をきっちり演じることにより、主人公の若旦那と
親旦那、定吉、番頭などの脇役とかが明確になる。
笑いを取りにいくのではなく、噺を語る米團冶さんに期待。
やはり、襲名は、からだの心底より何かを変えてますな。
ああ、進化する米團冶さん、今しばらくは、目が離せませんな。
でも、襲名披露に立ち会えたこと、良かったです。
やはり、縁起もんですな。
五代目米團冶襲名披露公演
2008年11月8日(土)
岸和田・浪切ホール
ー出演ー
一、桂団朝・・・・・・・・・・「寄合酒」
二、柳家花緑・・・・・・・・「初天神」
三、桂南光・・・・・・・・・・「義眼」
四、笑福亭仁鶴・・・・・・「壷算」
ー中入ー
口上・・南光、花緑、米朝、米團冶、仁鶴、ざこば
五、桂ざこば・・・・・・・・「青菜」
六、桂米團冶・・・・・・・・「七段目」
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