樹木希林さんが亡くなって、淋しい気持ちが
抜けません。
名女優が一人いなくなったという以上に、
樹木希林さんという人がいない淋しさに
包まれています。
これほど見事に自分の人生を生ききった人も
少ないのではないでしょうか…
映像の中で「面倒くさいことが嫌い」とか
「すぐ飽きちゃうの」と言っていた樹木さんですが
人との関わりに丁寧な深い優しさを感じました。
信州の無言館で行われていた成人式には、
樹木さんが成人になる人のアンケートを読み
一人一人に手紙を書いて、その成人式で直接本人に
手渡すということをされていて、その手紙が
これから社会に出て行く人の一生の支えに
なるような文章なのです。
晩年、筆で手紙を沢山書かれていたそうです。
樹木さんの心を手紙という形で差し出していた
ような気がします。
精神が本当に自由な方だったんだな~と
思いました。
ハンセン病の療養所に正体も明かさず
訪れ面談を求めたり、沖縄の辺野古埋立てに
反対するおばあたちに交じり、座り込みに
参加したそうです。
ドリアン助川さんが泣き切るまで泣いたと
新聞に寄稿を寄せていました。
『樹木さんはよく「人間の裏まで見る悪い
性格なの」とご自身を評されていた。
だが、これほど細やかに、斬新なユーモアを
持って人々を包み込んだ女優を私は知らない。
いや、女優という枠を超えて、希林さんは
私達の心を温め続けてくれた人の世の華であった。
今、その大輪を失い、喪失感から天を仰ぎながらも
私は思う。
お会いできたことは、なんという
幸運だったののだろう。
ドリアン助川』