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世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

草上の昼食

2014-03-01 04:15:21 | 虹のコレクション・本館
No,81
エドゥアール・マネ、「草上の昼食」、19世紀フランス、印象派。

これは世間に発表されるや否や物議を醸した絵だが、なぜ人々がこれに強く反発したかというと、これが忌まわしい罪を想起させるからだ。

人気のない森の奥で、裸の女と二人の紳士が昼食を取っているかのように見えるが。そしらぬ振りでそっぽをむいている男たちは、どことなく、あとでふたりでこの女を食ってやろうと、示し合わせているようにも見える。

モデルのヴィクトリーヌ・ムーランは、ベルト・モリゾ同様、マネの周囲を彩った才能ある女性だったが、ベルトと違い、男を馬鹿にするきらいがあった。男は、こういう女性にふれると、ある種の邪心を持つ。こういう女を黙らせてやるのに一番いい方法は、あれだと。

実際ね、男は、自分より強く優れている女を見ると、いつもその方法で殺してきたのだ。
この絵を見ると、男は、自分の奥に封じ込めて来た、その忌まわしい記憶を、思い出すのだよ。男はだれしも、そういうことをやったことがあるからだ。

女を黙らせるのに、一番いい方法を、使ったことがあるんだよ。

この絵の中から、ヴィクトリーヌは強い視線をこちらに投げかけてくる。それはまるで、男たちにこう問いかけてくるようだ。

わたしを覚えているわね。忘れたなんて、言わせないわよ。

こういう絵画表現が、才能ある画家によってなされたということは、その裏に、強い使命があったと言わざるを得ない。




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