世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

オルフェウスとエウリュディケ

2014-03-16 03:37:12 | 虹のコレクション・本館
No,94
エドマンド・デュラック、「オルフェウスとエウリュディケ」、20世紀フランス、イラストレーション。

エウリュディケとオルフェウスの神話を扱った絵を探した。エドマンド・デュラックは、20世紀にイギリスで活躍したフランス出身の挿絵画家だ。美しくファンタジックなイラストレーションをたくさん描いている。これも童話的でかわいらしいね。オルフェウスの前から消えて行くエウリュディケの瞳が悲しい。

これと似た神話は日本神話にもあるね。イザナギがイザナミを裏切った話だ。夕鶴の話などもそうだが、要するに、男が女を裏切ったために、女を失ってしまうという話だ。こういう話は、世の中に掃いて捨てるほどある。

エウリュディケもつうもイザナミも、「見てはならないと言ったのに」と悲しげな顔をして消えていく。男と言うものはいつも、約束を破る。

見るなということは、やってはならないことはやるなということなのだ。そんなことをしてはおしまいだということを、やるなということなのだ。わかるね。だが男はいつも、そんなことばかりをする。

日本神話では、イザナミはイザナギを激しく恨み、呪いの言葉を吐く。それはそれは、男の裏切りが悲しかったからだ。イザナギは妻に引導を渡した後、みそぎをして三貴神を生むが、その長女であるアマテラスに一番高いものを与えた。それはイザナギの罪の意識が働いたともいえる。女を一番偉くして、自分の失敗を償おうとしたのかもしれない。

だがそのアマテラスも、弟であるスサノヲに約束を破られ、ひどいことをされて隠れてしまうのである。スサノヲはその罪により高天原を追われ、クシナダヒメを救うために戦うことになるのだが。

男はいつもこのように、自分のしたことを償うために、いろいろとやっている。

この絵には、そういう男と言うものの悲哀の影が読み取れる。事実男はずっと、女を裏切った罪を浄めるために、いろいろとあがいてきたんだよ。





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