◇ 示準化石とさりげない警句
(Wikipediaから)
日本経済新聞では、日曜日朝刊の文化欄に『芸術と科学のあいだ』というコラムがあって、
今日(8月31日)第29回の話題は「らせんの美しさ残す化石」と題して生物学者の福岡伸一氏
がアンモナイトのらせんの優雅さについて書いている。
「らせんの美しさを競うとき、アンモナイトの右に出るものはない」とある。アンモナイトは殻の
真珠層が失われることなくそのまま化石化すると、オパールの如き鉱物的な光沢と色を揺ら
めきたたせなあがら、らせん形の宝石となる。・・・
ドキッとしたのはこの後。
「示準石というものがある。それが見つかることによって地層の地質年代を特定することがで
きる化石のことである。たとえば、ある種のアンモナイトはジュラ紀の、三葉虫はカンブリア紀
の示準化石となりうる。
示準化石には条件がある。現生しない生物であること、分布領域が広く、あまねく、容易に多
数発見できること。短期間のみ栄えた生物であること。急速に拡大した種は、その急速さゆえに
どこかで破綻を来たし、急速に滅びに向かう。何億年か先、人類は示準化石となる可能性が高
い。
生物学者の目で見ると地球上で最高の知性を誇る生物とおごり高ぶるヒトも、すべての示準
化石要件を満たし、いずれ遠い将来においてより高度な生物(もしかして地球外生物かも)の
手で化石として発見され運命にあるということである。
何億年先ということであって、目先どうこうという話ではないが、宇宙・天文学などと同じように、
たまには日常のあくせくした時間感覚から逃れて、こうしたロングスパンの時間軸の中に置かれ
た自分を想像してみることも必要かもしれない。
(以上この項終わり)