◇『ビリー・サマーズ(上)』(原題:BILY SUMMERS)
著者:スチーヴン・キング(STEPHEN KING)
訳者:白石 朗 2024.4 文芸春秋社 刊
スティーヴン・キング最新作。作家デビュー50周年記念出版 という。
主人公ビリー・サマーズは殺人請負業「殺し屋」である(但し標的は悪人のみ)。
特徴は一発で仕留める射 殺(スナイピング)、ビリーはスナイパー(狙撃手)であ
る。狙撃技術は米海軍海兵隊で みっちり訓練を受け、大隊で1,2を争う腕前だった。
使うのはレミントン7000。
請負の仲立ちジョージ・ビッグス(偽造屋)が持ってきた仕事の標的は裁判に出
廷する被告ジョエル・アレン。これが最後の仕事と思って受けた。こんどの成功報
酬は2百万ドル。手付金として50万ドルが先払いされた。
依頼人ニックと射撃用の部屋を用意する不動産業ホフには胡散臭さが漂い、ビリ
ーは全面的には信用していない。
ビリーは小説作家の職業デイヴィッド・ロックリッジという偽名でホテル投宿す
る。そこで小説執筆中の作家を姿を広く印象づける。一方ビリーは密かにドルトン
・スミス名義で遠く離れた場所に一軒家を借りる。
偽名で生活を始めたビリーは隣家の子供らとモノポリーに興じたり、近所の家族
とガーデンパーティーを開いたりし、本来の人付き合いの良さを発揮する。
ニックから仕事を終えたのビリーの逃走手段が提示されるが、ニック等を全面的
には信用していないビリーは秘密裏に独自の現場からの離脱方法を準備する。
一応作家を名乗っているので執筆中の作品の痕跡を残す必要があるだろうと、自
分の子供時代からの自叙伝風小説を書き始めるが、すっかり著作作業に楽しさに嵌
ってしまい海兵隊での思い出の数々にまで筆が進む。
やがて移送車が拘置所を出たという連絡が入る。護送警官に挟まれ裁判所の広階段
を上るアレンを射撃視野に入れたビリーはライフルを構え引き金を引く。
ビリーの仕事は終わった。
しかし、ビリーの不吉な予感は当たり報酬の1500万ドルの払い込みの知らせはいく
ら待っても届かない。依頼人ニックが横取りしたのか。
しかしビリーには著作という新しい時間つぶしの仕事があるのでたまにエクササイ
ズなどを挟みながら警察の検問などの収まるのを待った。
ところが4日目の深夜、とんでもない事態に見舞われる。家の前に止まった車の男
3人組が瀕死状態の若い女性を道路の側溝に投げ捨て走り去ったのだ。通りがかりの
誰かに見ナイフつかり警察に通報でもされたらビリーは一巻の終わりである。
女を家に運び込み介抱する。男らに手ひどい性的暴行を加えられたようだ。
着替えやマッサージで漸く落ち着いて寝入った女の姿を見て、今後のことは後で考え
よう、少しだけとソファでまどろんだビリーは目覚めた目の前に立っている女に気付
く。
その女の手にはナイフが…。(この先は下巻で)
(以上この項終わり)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます