読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

大沢在昌『語りつづけろ、届くまで』を読む

2016年02月19日 | 読書

◇『語りつづけろ、届くまで』 著者:大沢 在昌 東京下町城東地区の2012.4 講談社 刊

  

  ハードボイルドのエース大沢在昌の「坂田勇吉シリーズ」第3作。多作な作家で、シリーズ
 ものが多い。
 デビュー作で第1回推理小説新人賞受賞の『感傷の街角』が佐久間公シリーズの第1作で
 あるが、有名な『新宿鮫』シリーズなどシリーズ物は11を数える。

  坂田勇吉は著名な製菓会社の営業部勤務のサラリーマン。老人ホームや老人会を回って、
 交流を図りながら新製品の浸透を図るという草の根作戦の一員として東京下町城東地区を
 回っている。おじいさんに教わった将棋などを手掛かりに、そこに入っているNPO法人のメン
 バーらと親しくなった坂田は男勝りの小川咲子に秘かに思いを寄せている。
  
  ボランティアの一人玉井というオカマっぽい男が坂田を販促員の講習会の講師に誘う。こ
 の玉井、実は常習の詐欺師。脱税で稼いだ3億円という金をだまし取って、暴力団に追われ
 ていることを知る。かつて大阪や北海道でも暴力団やロシアマフィアと悶着があった坂田は
 「どうして僕はこんな羽目にばかり会うのか・・・」と思う。
 ところが講習会の打ち合わせに出掛けた会場には死体が・・・。

  坂田の行く先々で暴力団員、偽刑事、ハンパやくざ、本物の刑事などが立ち現れる。脅迫
 や懐柔などに遭いながらも、「一人ですべてができるとは思えない。でも僕が何もしなかった
 らきっと何もかわらない」とまさにハードボイルドの神髄ともいうべきやさしさを発揮しながら、
 追われている玉井を助けるために奔走する。
  そんな坂田を咲子は「ほんとの男だ」と支えようとする。
  
  肩の凝らない本で2日で読み終わった。

                                                     (以上この項終わり)

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