◇椅子に座る女
久しぶりの人物画。先週はその前哨戦として、巨匠の絵を臨画しました。
臨画がうまくいかないことの言い訳になりますが、やはり対象が目の前
にあって、自分の見た感じを表現することには敵いません。
外見からは見えない骨格を見定めて、そこに肉付きを、更に人体を覆う
着衣の微妙な線の流れ・陰影を描く。
顔・首の位置と傾き。肩の線との角度。上腕の曲がり具合と肘の位置。
手と指の形、大きさ。腰の位置と大きさ。大腿部、膝、脛、脚と足の長さ・
大きさ。それらすべてが均整が取れていないとなんとなく不自然で人体ら
しくなくなるのが不思議です。
「手と足は実際見えていると思う以上に大きめに描いて、丁度いいバラ
ンスが生まれます。」といつも先生に指摘されます。頭もそうです。つい
大きく描いてしまいます。
モディリアニのように細長い卵形の顔、極端に長い首、瞳のない目などは
写実的にちゃんと描けるようになってから、その先にある姿なのでしょう。
われわれは先ず目の前にある人物をあるがままに、というか自分が見
たように描くことが先決です。それでさえままならないのが現実ですから。
今回のモデルさんは齢のころなら25・6の学生さんでした。冬の時期だけ
に衣装が厚く、坐像だと骨格や肉体の全体像を想像することが難しく、
バランスをとるのが一苦労です。
手はかなり意識して大きく描いたのですが、まだ小さめではないかという
のが先生の評価でした。
頭は気をつけたのですが、案の定大きめになってしまいました。
「見た目以上に美人に描いてくださいね。」と言ったのは、ご本人ではなく
て先生でした。
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