---2023年2月27日(月)---
数多くの傑作を残した宮沢賢治。その父・政次郎との究極の親子愛を描いた第158回直木賞受賞作。
政次郎の長男・賢治は、適当な理由をつけては金の無心をするような困った息子。
政次郎は厳格な父親であろうと努めるも、賢治のためなら、とつい甘やかしてしまう。
やがて妹・トシの病気を機に、賢治は筆を執るも――。(講談社BOOK倶楽部より)
2023年5月に公開される映画『銀河鉄道の父』の原作です。
宮沢賢治の父を役所広司が、宮沢賢治を菅田将暉が演じます。
映画を楽しみにしているのですが、その前に読んでみました。
読み始めたときは映画の予告に出てくる二人の顔がちらつき、もはや映画の世界です(笑)。
しかし、だんだん教科書に出てくるあの宮沢賢治の顔になり、賢治の父(顔は知りませんが)になり、雨ニモマケズ 風ニモマケズ 雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ 丈夫ナカラダヲモチ
が重なってきます。
壮絶な作家の人生が迫り来るのです。
しかし、この時代にこんな息子に甘い父親がいたことに驚きました。
著者はその驚きで書いた本だとか。。。
我が家の親戚で、この賢治と同じ時代に生きた人が自宅で結核療養してた話を聞いたことがあります。妹のトシが自宅の別棟で病気と闘う姿があまりに同じようだったので、心が締め付けられました。
妹のトシは、若い頃活発で自分の意見をきちんと言える女性だったのに、本当に惜しいことでした。
始めは菅田将暉がどんな風に演じるのかな、という興味で読んだのですが最後はしっかり賢治とその父の世界に浸かっていました。
この著者の本、もう少し読みたい、と思ったところです。