こんにちは「中川ひろじ」です。

みんなのお困りごとが私のしごと

20200624 一般質問その3「地域防災計画の運用につて」

2020-07-05 21:24:41 | 脱原発・危機管理

【中川】次に、地域防災計画原子力編の運用についてお伺いします。

昨年6月18日夜に山形県沖を震源とする地震発生直後、柏崎刈羽原発に異常がないのに「異常あり」とする誤ったファックスが地元自治体等に送信されたことがありました。柏崎市長は「緊急時に最も大切な基本的データーを誤るのは、あまりにもお粗末」と指摘し、東電に説明を求めました。また、地元でも事の重大さを重視し、「柏崎刈羽原発の透明性を確保する地域の会」においても2回にわたって議論が行われ、東京電力は8月に「誤記についての原因と改善策について」地元自治体などに対して説明を行っています。今回は、異常がなかったのに異常ありという誤報でしたが、その逆であれば大事です。

長野県における当時の時系列の経過はどうであったか。また、誤報について東京電力に対し説明を求めたかお伺いします。

【危機管理部長】柏崎刈羽原子力発電所の誤報に対する長野県における当時の時系列の経過についてのご質問です。

山形県沖を震源とし、新潟県で最大震度6強を観測した昨年6月18日の地震の際、柏崎刈羽原子力発電所から、午後10時59分に使用済み燃料プールを冷却する電源に異常がなかったにも関わらず、全7基で「異常あり」とする誤ったファックスが、その後、午後11時24分に、「異常ない」旨の訂正のファックスが本県を含む地元自治体等に送付されました。

また、別途、午後11時5分、原子力規制委員会から配信される緊急情報メールサービスにより、異常がない旨、連絡されました。

その後、8月1日、東京電力は、地元自治体等に対し「誤認しやすい通報連絡用紙の表記」が直接的な原因であったと報告したところです。

続いて、誤報について、東京電力に対し説明を求めたのかとのご質問です。

県では、6月21日、こうした誤りが起こらないよう、柏崎刈羽原子力発電所へ原因等の問い合わせを行い、更に、6月24日には、立地県である新潟県にも状況確認を行いましたが、柏崎刈羽原子力発電所からの明確な回答はありませんでした。

その後、先ほど申し上げましたとおり、8月1日に東京電力が、原因と改善策を報道発表し、本県に対しても情報提供があったところです。

【中川】次に、平成24年6月に福島第一原発事故の教訓を踏まえた原子炉等規制法の改正が行われ、人の安全に加え、環境を守ることを目的に追加するとともに、シビアアクシデントを規制対象とすること、新基準を既設の原発にさかのぼって適用する制度などが規定されました。この法に基づいて原子力規制員会は、新規制基準を定め、この新規制基準の中で「原子力発電所の半径160km圏内の火山を調査し、火砕流や火山灰の到達の可能性、 到達した場合の影響を評価し、予め防護措置を講じること」が要求されています。これまでに、県内の火山の160km圏内にある3つの原発を管理する発電会社から火山に関するデータなどを求められているでしょうか。3つの原発のうち柏崎刈羽原発と浜岡原発とは通報協定を結んでいるところですが、この際、石川県とも協議し志賀原発との通報協定を結ぶべきではないか。

【危機管理部長】原子力事業者から火山に関するデータなどを求められているかのご質問です。

原子力事業者は、原子力規制委員会の原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合資料として、火山の噴火履歴等の調査結果を提示することとされています。

柏崎刈羽、浜岡及び志賀(しか)の原子力事業者から、現在のところ、県に対し火山の噴火履歴等の資料提供の求めはありませんが、今後、文献等の提供依頼があった場合は、可能な限り協力をしてまいりたいと考えています。

次に、通報協定のご質問です。

柏崎刈羽、浜岡両原子力発電所とは通報連絡体制を整備しており、通報訓練を定期的に実施しておりますが、志賀原子力発電所との通報協定は、現在未締結です。

福島第一原子力発電所の事故の際には、相当距離が離れている本県においても、放射性物質の飛来や風評被害が発生したところであり、こうした通報連絡体制の整備は大変重要であると認識しております。

今後、立地県である石川県とも連携しながら、北陸電力に対して、通報連絡体制の整備に向けて、改めて働きかけてまいりたいと考えています。

【中川】最後に、安心・安全な信州を目指して知事にお伺いします。

東日本大震災・東京電力福島第一原発事故から9年余が経過しました。福島などから長野県に移住・避難している皆さんは、258世帯700人いると危機管理部からお聞きしました。信州が感染症にも対応する医療の充実、放射能など化学物質の影響を低く抑えていること、地産地消の推進、有機農業への取組み支援なども、移住の重要な選択肢としている方もいます。

また知事は議案説明で、人々の価値観の転換や時代の変化について「持続可能性」や「分散型社会」という言葉を使っています。私は、加えて「競争型社会」から「共生型社会」への転換が求められていると思います。Afterコロナ時代を見据え、安心・安全な社会の実現に向けた知事の認識を伺います。

【知事】Afterコロナ時代を見据えた、安心・安全な社会の実現に向けての認識について、ご質問をいただきました。

今回の新型コロナウイルス感染症対応に取り組む中で、改めて県民の皆様方の安心・安全を守ることが極めて重要だと思っております。この安心・安全がなければ地域や産業の活力が全く失われてしまうということを、今回の対応の中で改めて明らかになり認識しました。

今後の対応ですが、まずは喫緊の課題として、新型コロナウイルスへの備えを万全なものにしていかなければならないと考えています。

医療・検査体制をしっかり充実させ、特措法のみでは十分対応しきれない課題に対して的確に対応するためにも、ご提案している条例を整備することをはじめ、様々な対応をしていかなければならないと思っています。

また、昨年の東日本台風災害の振り返り等を踏まえて、自然災害に対する対応であったり、先ほどご質問いただきました、原子力防災対策を含めた様々な危機事象に対しましても、被害の最小化に向けて、ハード・ソフト両面で対策を行っていく必要があると考えています。

特に、「共生社会」というご指摘をいただきました。今回の新型コロナウイルス対応でも、県民の皆様方の真摯なご協力の中で、この第一波に何とか対応をしてくることが出来たという風に思っておりますし、今現在では、県民の皆様方に支えあいによる地域経済を応援していただきたいとお願いをさせていただいています。

まさにこれは「共生社会」、人と人との支えあいの中でこういった危機にも乗り切っていかなければならない、あるいは向き合っていかなければいけないことの証しの一つではないかと考えております。

危機管理にあたっての「共生社会」の理念ということもしっかり胸に刻みながら、今後とも時代の変化を的確にとらえて、命を守り育む安心安全な長野県づくりに全力を挙げていきたいと考えております。

【中川】「条例についてですが、特措法により都道府県知事には極めて大きな権限が付与されています。県議会として常にチェックすることが必要であり、それが県民の生活や経済活動を制限する際、抑制的になると思います。条例では議会に対しては「報告」にとどまっていますが、補償も含まれる要請については、議会の承認が必要なのではいかという観点からの議論も必要なのではないかということを申し上げて私の一切の質問を終わります。

 

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20200624 一般質問その2「新型コロナウイル感染症対策について」

2020-07-05 21:22:54 | 脱原発・危機管理

【中川】次に、中学・高校の本来あるべき大会に変えて、地区大会などが準備されていますが、安心して大会に臨むことができるように、子どもたちにPCR検査を受けることができるようにしていただけないかお伺いします。

【教育長】新型コロナウイルスの影響により中止となった全国大会の代替大会について、現在、県中体連、県高体連、県高野連において、7月中旬から8月上旬を目途に開催を計画しているところです。

これらの参加者は、選手だけでもおおむね1万8千人となるとお聞きしておりままして、県内における検査体制や費用等を踏まえると、これは非常に難しいことではないかというふうに認識しております。

なお、県教委では、生徒が安全かつ安心して大会に参加できるよう、代替大会の開催に当たっては、感染対策の徹底や、無理のない大会スケジュールの設定などの対策を講じるよう主催団体に通じしているところでございます。

【中川】次に、地域公共交通への支援についてお伺いします。観光・飲食・宿泊・交通などのサービス産業は、もっとも早く影響が出始め、最も遅くまで影響を受ける事業です。

 地域公共交通については、新型コロナの影響に限らず、福祉・環境・街づくりといった観点から行政・住民・事業者が三位一体で取り組むべき課題です。新型コロナウイルスの影響を踏まえ今後の地域公共交通対策をどう考えているか、また、飯田‐長野を結ぶ「みすずハイウェイ」など都市間交通も新型コロナウイルスの影響で減便を余儀なくされています。廃止とならないよう県としての独自支援が必要ではないかと考えますがいかがですか。

伊藤企画振興部長】県では、バス、タクシー事業者に対しまして、それぞれの協会のご要望を踏まえ、感染防止対策への直接支援のほか、地域における消費拡大や観光面での需要喚起など、地方創生臨時交付金を活用して様々な支援策を6月補正予算に計上しているところでございます。

この他、事業者に対しましては国の雇用調整助成金や持続化給付金、更には県の制度資金など、資金繰りの支援策も活用いただきながら、公共交通機関として機能を維持していただくようお願いしております。

今回のコロナ禍で、各地域でタクシーが飲食店とタイアップしてデリバリーサービスを行うといった、単なる旅客の輸送にとどまらない新しいサービスも芽生えてきておりますので、こういった新しいサービスの提供や、生活圏単位で、医療や教育、まちづくりなどの政策とセットで交通ネットワークを最適化していく必要があると考えております。

これまでも県では、路線バスによる貨客混載や定額タクシーによる新しい運賃制度の検討などの取組、地域公共交通最適化サポート事業による地域振興局単位での交通データの収集・検討を行っております。

また、現在関係者と検討しております交通系ICカードは「新しい生活様式」に対応するなど、様々な面でメリットもありますので、こういったものも導入に向け検討を進めてまいります。

こうした取組を、国、市町村や交通事業者と連携・協働しながら行うとともに、安全・安心かつ足腰の強い地域交通づくりに向けてその在り方を検討してまいります。

次に、みすずハイウェイバスなどの交通機関が廃止とならないよう県としての独自支援が必要ではないかということですけれども、南北に長い本県におきましては、都市間の円滑な交通を確保するため、高速乗合バス路線は、鉄道とともに重要な交通手段と認識しております。とりわけご指摘のみすずハイウェイバスは、県民の皆さんのビジネスや通学での利用ニーズが高く、比較的安定した利用実績を維持しておりましたけれども、今回のコロナ禍で一時的な需要減少が顕著な路線でもあります。

今回補正予算の審議をお願いしております、安全・安心なバス・タクシー支援事業では、一般路線バスだけでなく、貸切バスや高速バスも支援対象としているところです。

また、昨年度から実施しております地域公共交通最適化サポート事業において、県内の高速バス路線に関するデータの収集も行っているところです。

今後、各路線の状況に応じまして、利用実態や運賃体系、他の公共交通機関との競合等のデータを基に、国や交通事業者など関係者とともに路線のあり方を検討し支援策を探ってまいりたいと考えております。

【中川】次に、産業・雇用対策についてお伺いします。サプライチェーンのあり方が見直される中、県内に生産拠点を移動させ、正社員の雇用拡大を図るため積極的に動くときではないか。

【産業労働部長】グローバル化が進展する中で、コスト削減・効率化を追求して築かれたサプライチェーンは、新型コロナウイルス感染症や大規模災害におけるリスク低減の観点から、生産拠点の分散化や再構築が加速していくものと受け止めております。

 県では現在、産業界や市町村代表などとともに、今後の産業立地政策のあり方について協議を重ねており、例えば地域未来投資促進法の承認企業である「高付加価値型企業」や医療用機器関連製造業等の「成長期待分野企業」の立地促進に、生産拠点の分散・県内回帰などの観点も加えて、課税免除や助成金などの支援策のあり方について検討してまいります。

 合わせて、テレワークやイーコマースが新常態となる中、都市一極集中是正の動きも捉えつつ、本社機能や研究施設に対する誘致活動も強化し、魅力ある職場、良質の場の確保に努めてまいります。

【中川】また、今後雇用情勢が逼迫し、失業者が増える状況に備え、失業者の雇用の受け皿づくりが必要ではないか。

産業労働部長】4月の県内有効求人倍率は1.29倍で、引き続き求人が求職を上回っているものの、雇用情勢は厳しさを増しております。

 雇用の維持・確保は、大変重要な課題と認識しており、雇用調整助成金をはじめとする支援策を確実に利用できるよう、「産業・雇用総合サポートセンター」において、社会保険労務士等による申請事務のサポートを実施しております。

 また、コロナの影響で離職を余儀なくされた方等に対しては、丁寧なマッチングや職業訓練の提案など、一人ひとりに寄り添った支援を行うべく、地域振興局に設置している「就業支援デスク」の強化事業費を本定例会に提案させていただいております。

 経済活動の本格的な回復が見られるまでの間は、雇用情勢の推移に十分注意を払うことが必要ですが、現在、人手不足分野もあることから、業種や職種によるミスマッチの解消や、訓練による人材育成の充実等により、一人でも多くの皆様を良質な雇用に結びつけられるよう支援に努めてまいります。

【中川】今回の緊急事態宣言においては、日本全国一律総自粛となりました。しかし、実際には感染者が出なかった岩手県や、県内においても感染者が出ていない市町村があるはずです。第2波においては地域の実情に合わせた自粛要請が求められるため、要請単位を「保健所管内」ではなく「市町村」単位に変えるべきではないか。

危機管理部長】第1波への対応では、全国に緊急事態宣言が発令されたため、自粛要請は全県一律でございました。しかしながら、本県において独自に定めた「感染警戒レベル」では、県内の感染状況を二次医療圏ごとに正確に見定め、感染拡大の兆しが見られた場合には、圏域ごとに対策の強化を行っていくことを基本としているところでございます。

南北に長く広大な本県におきましては、県民の生活圏や移動の実情から、基本的に二次医療圏を単位として、自粛要請を行うことが適当と考えているところでございます。

ただし、自粛要請は必要最小限の措置とする観点から、感染状況によっては、対象を市町村単位に限定することが適切と認められる場合もあると考えており、学識経験者等の意見を聴いて、柔軟に対応してまいります。

【中川】第1波に対して地域振興局での検体や患者の輸送など、部局を超えた応援体制が組まれたと聞いています。農政部からのPPEの融通などもありました。対策本部において全庁的な新型コロナへの対応対策が行われてきたと思いますが、第1波を振り返り、第2波に向けての庁内体制の強化への課題は何か。

知事】新型コロナウイルス感染症に関連して、第2波に向けての庁内体制の強化への課題について、御質問をいただきました。

これまで、県の組織を新型コロナウイルスに対応する上で、いろいろな対策を講じてきました。危機管理部に新型コロナウイルス感染症対策室を設置したり、また、危機管理部、健康福祉部、産業労働部には兼務職員を配置して、業務が多忙化するものに対応してまいりましたし、広報をはじめとする部局横断的な専門チームの設置、こうしたことで対応してまいりました。

今後の課題は様々ございますが、大きく2つあるかなと思っております。

今、県内における感染状況は落ち着いている状況でありますけれども、しかし、またいつ感染が拡大してくるか分からないということでありますので、そういう意味では、感染状況のフェーズに応じた対応ができるような体制を講じていくということが必要だと思っております。災害対応等でも、災害の規模に応じて動員する職員も規模が変わってくるわけでありますので、そうしたことを念頭に置きながら、フェーズに応じた県組織の体制を構築できるように、検討していきたいと思っております。

もう一点は、中川議員のご質問にもありましたように、例えば検査体制であったり、医療提供体制について、まだまだ充実の検討を行っていかなければいけないわけであります。そうしたことを考えますと、健康福祉部あるいは保健所の機能強化ということについても、しっかり検討していかなければいけないと思っております。   本庁においては、専門的な課の設置も含めて検討を行っていきたいと考えておりますし、保健所においても、必要な職員数を算出した上で、しっかりとした対応が図られるように、計画を作って対応していきたいと思っております。

新型コロナウイルス感染症への対応、県の組織においてもしっかりとした対応を行うことで、県民の皆様方に安全・安心を感じていただけるように取り組んでいきたいと考えております。

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20200624 一般質問その1「新型コロナウイルス感染症対策について」健康福祉部関係

2020-07-05 21:19:50 | 長野県議会

最初に、新型コロナウイルス感染症対策についてお伺いします。まずは、新型コロナウイルスに感染された皆様にお見舞いを申し上げますとともに、最前線で相談や医療に従事されてこられた皆様に感謝と敬意を申し上げます。

 振り返ってみれば、中国武漢で大発生している時点から、PCR検査体制の拡大強化や、N95マスクや防護服などPPEの準備などを始めていればよかったなど、課題が残る対応もあったように思います。

 過日、感染症指定医療機関の一つを訪れ、最前線で働いている皆さんのお話を聞く機会を得ました。これまで感染症管理認定看護師のもとで訓練を重ねてきましたが、いざ初めて感染者を受けいれることになり「あるのは箱だけ、人も、物もない」状態からスタート、外来・病棟からスタッフを集め、教育・訓練、事務方や清掃などの業者の皆さんへの指導をしながら、患者の受け入れを行ってきたそうです。ガウンの在庫が切れかかったこともありました。

 感染症病棟では、とにかく自分が感染をしないことに最大限の注意を払い、万が一自分が感染すれば病院内の濃厚接触者は全員14日間の観察となり、病院機能が制約されることになります。放射線科やリハビリ科でも、感染者への対応とともに他の入院患者への対応もあり、感染させてはならないという緊張感の中で仕事をしています。

 この他、防護服は1,2時間着ているだけでシャワーを浴びたほど汗びっしょりになります。そのうえ脱ぐときにはウイルスに触れないよう最大の注意が必要です。限られた人数の中で、感染症病棟へスタッフを出すことで他の病棟では夜勤回数が増えました。風評被害もありました。子どもを保育園に預けられない、他の医療機関で受診を拒否されたなどの話もあり、働いている場所を話せないなどの精神的ストレスも相当なものがあったようです。

 お話をお聞きして、第2波に備えて医療現場の人員の体制整備は大きな課題だと感じました。

 また、県民の皆さんにとっても様々考えさせられることがあったと思います。一つの例ですが、今回の新型コロナウイルス感染症の中で、親が病院に入院されていて危篤となりましたが、面会できずに死に目に会うこともできなかったというお話を聞きました。また基礎疾患をもっているご家族の方からの問い合わせで、もし家族が感染して重篤な状態になったときに、「家族が防護服を着て看病をすることが可能か」ということを聞かれました。現状では、感染症対策の観点からも、また防護服も足りずそれは難しいというお話でした。しかし、これで本当にいいのか。感染症対策を万全にしたうえで家族が面会できる体制をつくるということが目指すべき姿なのではないかと思うのです。

 また、高校球児が目指してきた甲子園での大会やインターハイが中止となりました。文科系も例外ではありません。3年間練習を積み重ねてきたその結果を出す大会がなくなったことを、だれの責任も問えないだけに、そのやり場のない思いに、どれだけ私たちが寄り沿うことができるのか考えさせられます。

現状は、新型コロナウイルスの正体がはっきりしない、確かな治療薬やワクチンがないという中では、やむを得ない対応ということになることは承知していますが、しかし「できるならば」あるいは「本来ならば」という、人の心に寄り添う対策を念頭におきながら、第2波に備えていく必要があると思います。

そこで、これまでの対応などを振り返りながら質問をいたします。

【中川】感染者の所属する企業名については、県としては発表をしていませんが、企業側が自主的な判断のなかで発表をしています。県としては、企業が公表することのメリット・デメリットをどのように考えていますか。

【健康福祉部長】感染者に係る情報の公表については、これまで感染の拡大防止や県民の不安解消といった観点とともに、感染者のプライバシー保護にも配慮して判断してきたところです。

 特に、不特定多数に感染する恐れがある場合は、感染拡大防止の観点から、関係する施設名について当該施設の同意を得た上で積極的に公表してまいりました。

 感染者の勤務先の企業名については、保健所の疫学調査により濃厚接触者が特定されている場合には、そこから不特定多数に感染する恐れがなく、県としては公表していませんが、各企業の判断により、従業員の感染について公表される事例があるというふうに承知しております。

 社名を公表した企業においては、感染の拡大防止に対する姿勢を自ら社内外に示すことにより、従業員に対する健康観察はもちろん、取引先等関係者も含めた感染防止対策の一層の徹底が図られることが期待されるものです。

 その一方で、公表にあたっては、感染者が特定され、誹謗中傷などの人権侵害につながることがないよう、各企業において十分な配慮をしていただくことが重要と認識しております。

【中川】次に、感染者の公表単位を「保健所管内」から「市町村」に途中で変更しましたが、この判断に至る考え方と今後の方針についてどのように考えているのか伺います。

【健康福祉部長】ウイルス感染症を身近な危機と捉えていただき、一丸となって行動変容や感染防止の取組を進めるため、4月24日の公表分から、従来の保健所単位を見直し、市町村単位で公表することとしたものです。

 なお、この変更に際しては、市町村長の皆様にも事前に状況をご説明し、ご理解いただいた上で対応したところです。

 今後とも、感染者に係る情報の公表につきましては、感染の拡大防止と感染者のプライバシー保護の双方に十分配慮しつつ、適切に判断してまいります。

【中川】次に検査体制等についてお伺いします。

検体を採取する場所の数、検査可能数は目標に対してどこまで整ったか。また、検体を採取する場所で検査を実施できるところはどこか。

【健康福祉部長】

 検体を採取する場所として、29箇所の帰国者・接触者外来に加え、6月末までにすべての医療圏において外来検査センターを設置することに取り組んでまいりました。6月24日現在、9医療圏に計10箇所設置しており、現在未設置の諏訪医療圏におきましても、6月30日には開設する予定になっております。

 次に、検査可能数につきましては、6月末までに一日あたり300検体以上を目標に取り組んでまいりました。

 6月24日現在、県環境保全研究所の他、県内医療機関、県内民間検査機関の合計14箇所において、309検体の検査が可能となっております。この他、県外の民間検査機関とも契約を締結しており、一定数の検査を行える体制を構築しております。

 また、検体採取場所において検査が実施可能な施設につきましては、帰国者・接触者外来のうち9箇所となっております。

【中川】今回、妊産婦については希望者にPCR検査を行うことができるようになりました。PCR検査が陽性であることを明らかにする検査であり、陰性であることを証明するものではないことは承知していますが、県民が求めているのは安全と安心です。今後、PCR検査体制等を拡充していくことについての考え方を伺います。

【健康福祉部長】

Withコロナの中で、県民の皆様が安心して日々の生活を送るためには、検査体制が整備されているということが非常に重要であると認識しております。まずは、検査が必要な方が確実かつ迅速に検査が受けられるよう、相談から検査への円滑な流れを徹底してまいります。

 また、今後の第2波、第3波に備えて、検査体制をさらに拡充していくことも必要であり、各医療圏における外来・検査センターの複数配置や、検査可能件数の拡充についても、検討してまいります。

 検査を巡っては、唾液を用いた検査や抗原検査など新たな手法の保険適用や、感染拡大リスク・重症化リスクのある施設等に戦略的・重点的に検査を実施していくという動きもございます。

今後、こうした情勢の変化を的確に捉え、専門家のご意見を伺いつつ、検査体制の拡充・整備に努めてまいります。

【中川】

今回の対応で農政部から防護服やマスクの融通を受けましたが、同部のPCR検査機器も活用することはできないでしょうか。

【健康福祉部長】

 農政部所有の検査機器については、その活用方法を検討してきたところ、県環境保全研究所において使用している検査試薬と検査機器との適合性や、その機器を扱う人員体制等の課題により、現在のところ、活用には至っておりません。

 今後、検査体制の拡充を検討する中で、必要に応じて、どのように活用できるかを含め研究してまいります。

【中川】次に保健所の対応強化についてお伺いします。保健所では精神の通報にも必ず対応しなければなりません。年々増加するなかで、今回の新型コロナウイルスへの対応となりました。臨床検査技師や保健師は充足していると言い難い状況だと思いますが、第2波に備え、増強する必要があるのではないか、

【健康福祉部長】

3月から4月にかけての第1波では、感染者が発生した保健所において、相談件数が急増するとともに、疫学調査の業務が新たに生じたことにより、保健師を中心に多忙を極めました。

そこで、この非常事態に対応して保健師や臨床検査技師を臨時的に任用する手続きを迅速にとったところでございます。本庁や近隣の保険福祉事務所、更には市町村から保健師の派遣、退職した保健師や看護師の雇上げ、地域振興局の事務職員の応援などにより、各保健福祉事務所の体制強化を図ったところです。

これによって、本県においては、大規模なクラスターの発生や、クラスターからクラスターへの連鎖といったことを起こすことなく、感染の拡大に一定の歯止めをかけることができたものと認識しており、業務にあたった職員にあらためて感謝するところです。

今後は第2波に向けて、これまでになかった事態も想定し、クラスター対策チームを設置するなど、体制についての計画をあらためて策定し、さらなる体制の強化に取り組んでまいります。

【中川】また、今回協力いただいた県職OBの保健師の皆さんに引き続き協力いただける連絡体制を準備しておくことが必要ではないかと思いますが、あわせてお考えをお聞かせください。

【健康福祉部長】県を退職された保健師のうち、これまでに23名の方と連絡をとってまいりました。中には、体調や家庭の事情等により就業が困難な方もおられ、結果そのうちの9名の皆様に、保健福祉事務所における相談電話対応等においてご協力いただいているところです。

今回、ご協力いただいていない方も含めて、引き続き連絡をとってまいりたいと考えております。

【中川】今回生活困窮者への対応について、厚生労働省から「新型コロナウイルス感染防止に関連した生活保護業務及び生活困窮者自立支援制度における留意点について」「保護の申請権が侵害されないことはもとより、侵害していると疑われるような行為も現に慎むべきであることに留意」するよう事務連絡が出されています。県のホームページから生活保護の申請書をダウンロードできるようにするなど、生活保護を必要とする者がためらわずに相談・申請できるよう、県としてどのように取り組むのか。

【土屋健康福祉部長】生活保護は最後のセーフティーネットであり、保護を必要とする方がためらわずに相談・申請いただけることが極めて重要であります。

先般、政策パッケージとしてまとめた「コロナの影響から県民の命とくらしを守る長野県の取組」においても、そのための広報、発信を重要課題として掲げ、取り組んでいるところでございます。

ご提案の申請書のダウンロードについて、一つの方策と考えられますが、過去に、居住実態のない方から福祉事務所の申請書が郵送され、調査に難航し、結果として決定に至らなかった事例もあり、慎重な対応が必要なことから、現場の状況や意見を十分に聞きながら検討してまいります。

何よりも相談をしていただくこと、そして相談を受ける中で寄り添った対応をすることが大切であります。

負担を感じずに窓口で相談していただくための「相談シート」をホームページ等で提供するなどの工夫も含め、丁寧に対応してまいります。

 

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