こんにちは「中川ひろじ」です。

みんなのお困りごとが私のしごと

20210301 一般質問「公立病院への支援について」

2021-03-11 12:50:41 | 長野県議会

4、公立病院への支援について

 

[中川(博)議員]次に、公立病院への支援について伺います。これまでも一般質問で触れられてきていますが、新型コロナウイルス感染症に多くの公立・公的病院が対応してきました。厚生労働省の公立・公的病院の再編・統合を含めた再検証は現在どのように進められていますか。救急医療病院の感染による救急患者の受け入れ制限ということもあり、感染症指定医療機関の配置や協力病院との連携などのあり方が十分検討される必要があると思いますが、地域医療構想の中で、今般の新型コロナを踏まえた感染症医療の位置づけについて、県としてはどのように考えていますか。  以上、2点、土屋健康福祉部長にお聞きします。

 

[土屋健康福祉部長] 次に、公立病院への支援について2点、お尋ねをいただきました。最初に公立・公的病院の再検証の進捗状況について、というお尋ねでございます。当初、厚生労働省は、公立・公的医療機関等の具体的対応方針の再検証等について、令和元年度中を基本として進めるよう示しておりましたが、昨年2月からの新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴って、その期限を先送りしております。その後、昨年12月の段階でも、具体的な工程について、新型コロナウイルス感染症への対応状況に配慮しつつ、都道府県等とも協議を行い、感染状況を見ながら改めて設定するとしているところであります。こうした状況を受け、本県においても、新型コロナウイルス感染症対策を優先する中で、各医療圏の地域医療構想調整会議については、開催を見送ってきているところであります。再検証は各地域における関係者の議論の中で、理解を得ながら丁寧に進めていくことが重要だと考えておりまして、今後、新型コロナウイルス感染症が終息した段階で議論を再開する方向で検討しているところです。

次に、地域医療構想の中での感染症医療の位置付けについてのお尋ねでございます。今般の新型コロナウイルス感染症での経験を踏まえますと、限られた医療資源を効率的に活用するためには、感染症患者を重点的に受け入れる医療機関と救急医療等感染症以外の一般医療を担う医療機関等との役割分担を明確にするとともに、相互の連携強化を図っていくことが肝要であると考えております。こうした体制の構築について、国では、「新興感染症等の感染拡大時における医療提供体制に関する計画」を地域医療構想とは別に、新たに検討していくという方針を示しております。県といたしましては、こうした国の方針を踏まえまして、新興感染症についての新たな計画については、次期医療計画の策定に併せて検討することとし、その一方で、平時の必要病床量を示した地域医療構想については、これまでの基本的な枠組みを維持しつつ、検討を進めていきまいりたいと考えているところであります。

 

[中川博司]今般の新型コロナに関しては、様々な財政支援が行われてきたが、感染症医療や二次救急医療など、県民の命を守るための政策医療を担っているこうした公立病院の経営基盤を強化するため、平時においても、より手厚い地方財政措置が講じられるべきと考えるが、いかがか。

[伊藤企画振興部長]公立病院は、民間では立地が困難であるへき地医療や、救急・周産期・小児・高度医療など、政策医療、不採算医療において重要な役割を担っています。地域の医療提供体制を確保するため、これまでも国に対し、自治体病院協議会や全国知事会をはじめとする地方6団体が一緒になって、地方財政措置の拡充を要望してきたところです。こうした地方の切実な声を受け、国は、公立病院に係る地方交付税措置について、対象範囲の拡大や措置額の拡充を順次講じてきました。しかしながら、公立病院の経営は依然として厳しい状況にあります。県としては、県民の皆様が良質な医療を継続的に受けられるよう、引き続き市町村と連携し、国に対し、機会をとらえて地方財政措置の拡充を要望してまいります。

[中川(博)議員]公立病院の支援について、ぜひ引き続きしっかり行っていただくよう、重ねて要望する。

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20210301 一般質問「新型コロナウイルスの振り返りについて」

2021-03-11 12:37:42 | 長野県議会

3、新型コロナウイルス感染症対策の振り返りについて

【中川(博)議員】先ごろ長野県の新型コロナウイルス感染症対策総合サイトに、「データでみる感染状況」や「感染事例」掲載されました。新型コロナウイルスが一体どんなウイルスなのか分からない1年前から比べれば、かなりのことがわかってきていると思います。「データでみる感染状況」などから、今後どのような対策を県民に促していくことが有効だと考えていますか。

【土屋健康福祉部長】「データでみる長野県の感染状況」についてのお尋ねでございます。 2月18日に公表いたしました「データでみる長野県の感染状況」は、これまで漠然としたイメージで捉えられていた感染状況を、本県の感染事例から収集したデータに基づき、10項目の観点で分析したものございます。一つ一つが重要な意味を持つデータ分析でございますが、例えば、陽性者は、発症2日前から他者に感染させてしまう可能性があること、また、陽性者の2割で、その濃厚接触者が陽性となっており、無症状病原体保有者からも感染した可能性のある事例があるといったことが明らかになったところであります。また、高齢の方ほど重症化しやすいといった点につきましても、あらためて具体的なデータで確認できたところです。 こうした具体的なデータをお示しすることによって、あらためてマスクの着用や手指消毒など、基本的な感染防止対策の徹底や、新しい生活様式の取組み、また早期の相談・受診などを呼び掛けてまいりたいと考えております。

[中川(博)議員]次に、新型コロナウイルス感染症対策の振り返りについて、最初に健康福祉部長にお伺いします。陽性者の受入病床を350床から434床に増やしましたが、専門医や感染管理認定看護師は配置されていたのでしょうか。また、陽性者の受入病床は陰圧管理がされている病床が確保されたのでしょうか。

[土屋健康福祉部長]次に、専門医等の配置と受入病床の陰圧管理状況についてのお尋ねでございます。患者受入医療機関50病院のうち、感染症専門医は11病院、感染管理認定看護師は36病院に配置をされています。専門医や認定看護師の配置に係わらず、コロナ患者受入医療機関においては、院内に感染対策チームを組織し、コロナ患者の対応マニュアルの作成やスタッフ教育を実施するとともに、病院内のゾーニングを行うなど、感染防止対策を整えたうえで患者の受け入れを行っているものと承知しております。また、受入病床の陰圧管理につきましては、行われていない病床もございますが、その場合は国立感染症研究所が定めた感染予防策を踏まえ、十分な換気により対応してものとお聞きをしております。

[中川博議員] 昨年9月県議会において健康福祉部長から、免疫力向上の視点からも県民に一層健康づくりに取り組んでいただけるよう働きかける旨の答弁がありましたが、今後どのような観点で取り組まれていくのでしょうか。

[土屋健康福祉部長]1年余りに及ぶコロナ禍の中で、外出自粛による運動不足や、テイクアウト、中食の利用の増加による食生活の変化など、県民の健康づくりへの課題が生じてきております。こうした状況を踏まえて、来年度、信州ACEプロジェクトの中でも、「コロナに負けない」という観点から取組を進めてまいります。例えば、運動不足になりがちな、働き盛り世代を対象とした「ウォーキング」の促進や、テイクアウトや弁当、総菜などでの「健康配慮型メニュー」の提供といったものを拡大してまいります。また、企業や保険者、関係団体等と連携して進めてまいります。健康増進政策は、県民一人ひとりが自らの健康課題に向き合い自主的に取り組むとともに、その状況を県としていかに多く作り出せるかが重要であると考えています。 コロナ禍で県民の関心が高い、免疫力向上の観点も活用しながら、こうした取組に対する県民の参加を呼びかけてまいります。

[中川議員] 国は1日20万件、長野県は1日7,000件の検査を行う体制を目指して「かかりつけ医」での検査を可能とする取り組みを行ってきました。現状は、どうなっているでしょうか。土屋健康福祉部長にお伺いします。

[土屋健康福祉部長]  新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行に備え、発熱等の症状が出た場合には、身近なかかりつけ医において、相談や診療、検査が行える体制が必要となりました。そこで、医療機関や医師会等、多くの皆様のご理解とご協力によりまして、10月末までに491、その後本日現在578か所の病院、診療所を「診療・検査医療機関」として指定しております。これによりまして、1日最大4,700件の検査が可能となっているところでございます。11月に入り患者が急増いたしまして、第3波を迎えたわけでございますが、結果的にこの体制が功を奏したというふうに考えております。11月1日から2月12日までの診療・検査医療機関の検査件数が約48,000件に昇っております。1日の最高は1,367件を数えたところでございます。新規陽性者が急増する中にあっても、適切に対応できたものと考えております。

[中川(博)議員]新型コロナウイルスワクチンの接種を巡る差別・誹謗中傷が懸念されますが、集団免疫を獲得するため、ワクチン接種を勧めるにあたっての情報の提供と同意原則、接種をしなくても差別を受けないことへの対策などについて、どのように考えているのか

[阿部知事]新型コロナウイルスワクチン接種に関連しての差別・誹謗中傷への対策についてご質問頂きました。新型コロナウイルスに伴う、あるいは伴わないものについても差別や誹謗中傷、決して許されないものと考えております。特に、今回のワクチン接種についても、ご指摘のような懸念があり、今回、予防接種法及び検疫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議という形で国会の場においても、新型コロナウイルスワクチンを接種していない者に対して、差別、いじめ、職場や学校等における不利益的取扱い等は決して許されるものではないことを広報等により周知徹底するなど必要な対応を行うことが政府に対して求められている状況であります。今回の新型コロナウイルスワクチン接種、予防接種法の改正によりまして、臨時接種に関する特例を設けて、実施されるものであります。ワクチン接種にあたりましては、県からの接種の勧奨、そして市町村長からの接種の勧奨、また接種対象者には接種を受ける努力義務というものが課せられているわけでありますけれども、しかしながら、接種するかしないかは、国民の皆様方の自らの意思に委ねられているという状況であります。そのため、一般的な誹謗中傷は許さないという呼びかけだけではなく、今回、県民の皆様方には、接種の効果、あるいは副反応等、ご判断頂く上で必要な情報を提供していきたいと思っております。その上で、ワクチン接種は一人一人の意思で選択できること、そして、ワクチンを接種されない方に対する差別や誹謗中傷は絶対にあってはならないこと、こうしたことについて、あらゆる媒体、あらゆる機会を通じて市町村や関係団体と連携しながら、広く訴えかえていきたいと思っております。万が一、不当な差別や誹謗中傷を受けた場合には、県として「新型コロナ 誹謗中傷等被害相談窓口」を設置しておりますので、こうしたところにご相談を頂くように広く周知をしていきたいと考えております。

 

 

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20200301 一般質問「2050ゼロカーボンについて」

2021-03-11 12:29:29 | 長野県議会

2、2050ゼロカーボンについて

 

[中川(博)議員の質問]

次に、2050ゼロカーボンについて伺います。

2050年ゼロカーボンを実現するためには、この10年が勝負だと言われています。そのためにも、私たちは何をしなければならないのでしょうか。新型コロナへの対応で重要なことは、危機感の共有だったと思います。気候変動への対応もいかに危機感を世界中の人々が、そして私たちが共有できるのかということが一つのポイントだと思います。

二つ目のポイントは、1人1人の市民や企業がどう自分の問題として考え、行動を起こすことができるのかということです。新型コロナで言えば、行動変容です。

一つの試みとして、くじ引き民主主義という制度があります。ヨーロッパから始まり、直近では札幌市が取り組みましたが、くじ引きで選ばれた市民がどうしたらCO2の排出を削減できるのか議論し、行政に提言を行うという取組です。

帝国データバンクの調査では、県内企業は、2050年カーボンニュートラル達成について、「達成可能」が15.8%、「困難」が47%、「できない」が15.4%と台頭している現状もあります。

気候変動対策として、企業の生産のあり方や県民の暮らし方など、これまで通りではないシステムチェンジが求められていると考えますが、地球温暖化対策に向けて、県民意識の醸成をどのように図っていくのか、阿部知事にお伺いします。

[阿部知事の答弁]

地球温暖化対策に関する県民意識の醸成をどう図るのかというご質問であります。

地球温暖化の話は、非常に長期的であり、グローバルであり、なかなか自分事としにくい側面もあります。ただ、今待ったなしで取組が必要になっておりますし、また、県民の皆様お一人お一人の身近な取組が、中川議員がおっしゃるとおりゼロカーボンの実現に向けて不可欠だというふうに思っております。

そういう意味で、県民の皆様と意識を共有して、問題意識を共有して、ビジョンも共有して取り組んでいくということが極めて重要なことと思っています。

そのため、まず信州環境カレッジの機能を強化していきたいと思っております。WEB講座開設いたしましたが、さらに学校や地域・企業向けの講座も充実させていきたいと思っております。また、ゼロカーボンミーティングも今後随時開催をして、皆さんと一緒に取組を発信していきたいと考えております。

加えて、多くの皆さんと連携しなければなりませんので、「ゼロカーボン実現県民会議」を設置、始動して、多くの皆さんと一緒に取り組む環境を作っていきたいと思います。

また、やはりこれからの世代を担う若者達の動きが極めて重要でありますので、そうした若者の活動を応援していきたいと思っております。COP26には、ぜひ県内の若者を派遣していきたいと思っております。

様々な困難を乗り越えながら、ゼロカーボン社会を作っていかなければいかない訳でありますが、その基本はやはり学びと自治だというふうに思っております。私自身も多くの皆様方と積極的に対話を行わせていただき、学び、そして連携の場を更に充実させることによって、県民の皆様方とともにゼロカーボン社会を目指す、そうした意識の醸成に努めていきたいと考えております。

 

[中川(博)議員の再質問]

ゼロカーボンに向けて、どう危機感を共有するのか考えると、かつて信州は夏場でもクーラーがいりませんでしたが、近年ではクーラーなしでは寝られないほど暑さが夜まで残ります。また、寒い冬の信州の風物詩である御神渡りも、今年は見ることができませんでした。

ただ、危機感だけでは人は疲れてしまいます。それゆえに、人は慣れてしまいます。

新型コロナ禍で、会議や講演会がWEBで多く開催されるようになりました。これは、移動によるCO2排出を削減することになりました。省エネ家電を使えば電気料がお得になります。

農林水産省も、CO2削減に向け、有機農業の面積を現在の40倍、100万ヘクタールまで増やす戦略を発表しました。CO2を土の中に閉じ込めることが大きな効果を生むという研究もあります。CO2削減は面白い、楽しいことだ、というインセンティブがあれば、より積極的に取り組むことができるということも、同時に考えなければならない課題だと思います。

 

[中川(博)議員の質問]

自家用車に依存しない地域づくりについてお伺いいたします。

電気自動車や燃料電池自動車の導入に向け、急速充電設備設置支援が予算化されていますが、電気自動車の電気が化石燃料や原子力発電の電気では元も子もありません。水素をつくるためにも電力は必要です。ちなみに、川中島水素ステーションにおいては、1回の充電に必要な56㎥の水素をつくるのに3,700kWhの電力が使われていますが、これは水力発電でつくられた電気です。

ですから再生可能エネルギーを基本とした充電設備とすべきと考えますが、環境部長の見解を伺います。

[猿田環境部長の答弁]

再生可能エネルギーによる充電についてというお尋ねでございます。

昨年4月に公表いたしました「長野県気候危機突破方針」におきまして、2050年度時点で県内の最終エネルギー消費量を上回る再生可能エネルギーを生産し、ゼロカーボンを実現することとしております。

交通分野におきましても、電気自動車等への転換により、単に走行時に二酸化炭素を排出させないだけではなく、そのエネルギー源を再生可能エネルギー由来の電力とすることを前提としております。

こうした観点から、令和3年度当初予算案に計上いたしました「電気自動車用急速充電設備の整備・運営事業」におきましても、使用する電力を100%再生可能エネルギー由来としているところでございます。

 

[中川(博)議員の質問]

県民の生活スタイルをチェンジしていく一つの方法として、マイカーに依存しない暮らしを目指すことが重要であり、そのためには移動手段の主体を地域公共交通にしていく必要があります。脱マイカーに向けてどのように取り組んでいくのか、環境部長にお伺いします。

[猿田環境部長の答弁]

脱マイカーに向けた取組についてでございます。

ゼロカーボンという観点からマイカーを捉えた場合、電気自動車や燃料電池自動車などへの乗り換えにより脱炭素化するだけではなく、他の交通手段へ転換することにより、自動車の総走行距離、ひいてはエネルギー消費量を減少させることが必要です。

こうしたことから、ゼロカーボン戦略推進本部において取りまとめました重点施策(案)におきまして「公共交通、オンデマンド交通、MaaS、グリーンスローモビリティ等を地域にふさわしい形で導入し、『歩いて楽しめるまち』や『持続可能な中山間地』を実現」するという方向性を示したところです。

脱マイカーについては、「信州スマートムーブ通勤ウィーク」や「バス・電車ふれあいデー」といった従来からの取組を継続するとともに、まちづくりや地域づくり、在宅勤務やWEB会議といった働き方、さらにはDXによる全体最適化など、より広い視点から取り組んでいく必要があると考えております。

 

[中川博司]地域公共交通は社会インフラである。したがって、無料にする社会実験に取り組んではいかがか。

[伊藤企画振興部長]このような実証実験は、これまでも県内外で行われている。本県においては、昨年度、令和元年度にしなの鉄道沿線で「エコ通勤促進モデル事業」として実施した。この事業は、沿線企業に参加を募り、期間中、鉄道やバスの運賃は、県としなの鉄道が負担し、通勤手段を自家用車から公共交通機関への転換を図るといったもの。残念ながら、期間中に東日本台風災害が発生したことなどから、参加企業数は予定には至らなかったが、参加者に対し行ったアンケートによると、通勤に鉄道を利用しない理由として、「運賃が高い」との回答もあったが、むしろ「自宅から駅、駅から事業所間のアクセス」とか、「移動中の時間が拘束されることへの抵抗感」などが多く挙げられたところ。このことから、自家用車から公共交通機関への転換には、運賃の面だけでなく、住宅や事業所の立地、通勤者の勤務形態、公共交通の状況など様々な要素を踏まえて、先ほどの環境部長の答弁にもあるように、街づくりなどの観点も踏まえ、多角的に対応策を検討していく必要があると感じている。今後とも、事業者や市町村、関係部局と連携しながら、生活の移動手段確保の面だけでなく、ゼロカーボンという意識も踏まえて地域公共交通の利便性向上と利用促進に取り組んでまいりたい。

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20210301 一般質問「自殺対策について」

2021-03-11 12:05:48 | 長野県議会

1、自殺対策について

[中川(博)議員]まず最初に、自殺対策についてお伺いします。先般、警察庁から新型コロナ禍となった2020年の全国の自殺者数の発表がありました。2003年、34,427人をピークに自殺者は減り続けてきましたが、コロナ禍の昨年は前年と比較して増加に転じ、20,919人となりました。年代的には19歳以下と、20代、40代、80代の自殺者が増加しているということです。特に、女性の自殺者は前値と比較して885人増えているということや、児童・生徒の自殺者が急増し、479人となっています。そこで、長野県内において昨年の自殺者数が増加した年代の状況と、その増加の原因をどのように分析し、今後どのような自殺対策を進めていくのか、土屋健康福祉部長にお伺いします。

[土屋健康福祉部長]自殺対策について、私には2点おたずねをいただきました。

最初に、昨年の年代別自殺者数の状況と原因分析及び今後の自殺対策についてのおたずねでございます。

厚生労働省が公表している「自殺統計」の令和2年の暫定値によりますと、前年より自殺者数が増加した年代は、未成年者が4人増加し12人、30歳代が20人増加し49人、80歳代以上が15人増加し54人でございました。

これらの増加の原因といたしましては、例えば、未成年者では学校生活等の変化、30歳代は経済・生活状況の激変、80歳代以上は感染への恐れからくる孤独化など、新型コロナウイルスの感染拡大が一定程度影響しているものと推測されるところであります。

こういった状況を踏まえまして、早期に自殺リスクがある方を発見し、専門家等の相談につなげることが極めて重要であると考えております。大きく2点の方針の下、自殺対策を進めてまいります。

1点目は、各種相談窓口や支援策を必要な人に届けるため、マスメディアやSNS等を活用した広範囲な周知広報を実施してまいります。

2点目は、自殺者数が増加した未成年者・成人層・高齢者などの重点的な支援対象を見定め、関係団体等と連携しながら、LINE相談窓口や弁護士等によるワンストップ相談会など、それぞれに応じた対応を強化してまいたいというように考えております。

 

 

[中川(博)議員]支援者自身の精神的健康の保持の観点から、学校で子どもたちの心や家庭の悩みの相談にのっていただいているスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの皆さんが、時間の制限なく安心して相談にのっていただけるよう、臨時的な任用ではなく常勤の正規職員として配置することをご検討いただけないか。

[原山教育長]スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーについては、令和2年度はそれぞれ、105名、35名を採用しておりまして、採用した各個人の状況に配慮して配置時間を定めているところであります。

スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーは、専門職であり、スクールカウンセラーについては公認心理師や臨床心理士の資格、スクールソーシャルワーカーについては社会福祉士や精神保健福祉士の資格が原則として必要ということであります。こうした専門職は、専門性の高さから、人数も限られておりまして、医療や福祉の現場でも必要としているため、常勤の正規職員として雇用することは現状では困難だと考えております。

しかしながら、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーは自殺予防に果たす役割は極めて大きいと考えおりますので、支援が必要な児童生徒に対し、適時適切な対応ができるよう体制の充実には努めてまいりたいと考えております。

 

[中川(博)議員]

東京都の足立区では、窓口職員全員がゲートキーパーの研修を受け、窓口に来る市民の方に「お節介かもしれませんが何かお困りのことがありませんか」、と声をかけているそうです。そこで、市町村や県などで、県民と直接相対する窓口担当職員の相談体制と相談能力をアップするため「ゲートキーパー」研修を、これまでも行われてきていますが、さらに強化してはどうでしょうか。また、労働雇用課や労働相談窓口、ハローワークなど、雇用相談窓口においても「ゲートキーパー」研修を導入してはどうかと思いますが、土屋健康福祉部長に伺います。

[土屋健康福祉部長]

次に、県・市町村の窓口や雇用相談窓口におけるゲートキーパー研修の強化についてのおたずねでございます。

様々な相談窓口の相談員が自殺のリスクに気付き、自殺対策の専門家に繋げられるようになることは、自殺の予防対策として非常に重要であると考えております。

県職員に対しては、今年度新たにゲートキーパー研修用の動画を作成し、その動画視聴による研修を広く実施いたしました。

今後は、市町村に対してもこの動画を提供し、職員への研修の実施を働きかけてまいります。

また、雇用相談等に携わる方々へのゲートキーパー研修につきましては、労働雇用課と連携して、県内のハローワーク職員向けの研修等の実施について、長野労働局に働きかけてまいります。

 

[中川(博)議員]

コロナ禍において、様々な不安を抱えている県民に対して、今の時期に、改めて知事から自殺対策についての呼びかけが必要ではないかと思いますが、知事のお考えを伺います。

[阿部知事]

まずは、コロナ禍で様々な県民の皆様が不安を抱えている中で、自殺対策の呼びかけが必要ではないかという質問であります。

私も同じ思いであります。

新型コロナウイルスの影響で、生活あるいは事業活動に多大な影響を受けて苦しんでいらっしゃる県民の皆様が大勢いらっしゃるというように受け止めております。こうした中、我々としては、ぜひそうした皆さんには、ひとりで悩むことがないように、必ず誰かに相談してほしい、ということを呼び掛けていくことが必要であると考えております。こうした呼びかけは、我々行政が行うことも必要であると思いますけれども、しかしながら、若い人たち、あるいは働いている皆さん、多くの県民の皆様にしっかり届くようにしなければならないと、いうように考えております。教育関係者、経済界、労働界、あるいは、関係する多くの皆様方にもご協力いただきながら、有効な呼びかけの方法について検討した上で、私ももちろん先頭に立って、実施していきたいと考えております。

 

[中川(博)議員]

自殺対策ですが、夢や希望に満ち溢れているはずの若者が、自殺を選択する今の社会。働き口がない中で、生活保護の申請にさえたどり着けなかったり、また、80歳まで生きて、最後に自ら死を選ぶこの社会のありようが問い直されなければならないと私は思います。そして、新型コロナでも感じましたが、何人の方が亡くなったという数字ではなく、間違いなくさっきまでそこにあった命に気持ちを寄せることではないかと思います。

また、相談者が期間の定めのある雇用の場合、雇用期間が切れると、相談する側に回るという笑えない話が現実にあります。ぜひ、安定した身分で相談にのれるよう、ご検討をいただきたいと思います。

 

 

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