こんにちは「中川ひろじ」です。

みんなのお困りごとが私のしごと

20231014 筑北村乱橋の太陽光発電施設について

2023-10-15 05:18:25 | 環境・森林

10月14日信濃毎日新聞

■筑北村の案件について

(1)論点

 2022年6月23日質問書提出同年7月13日回答、同年10月7日2回目の質問を提出、同年10月31日回答、2023年1月30日3回目の質問書を提出、同年3月1日回答。同年3月7日4回目の質問書を提出、同年3月29日回答。同年8月4日県担当課と意見交換。

 主要な論点は、地域森林計画対象森林の1ha以上の開発は森林法に基づいて県知事の「林地開発許可申請」が必要となる。今回の筑北村乱橋の案件は、4つの開発が年をまたぎながら順次開発がされた。①H30年2月1日0.8haの伐採届、②H30年3月16日0.4haの伐採届、③H30年9月12日0.5haの伐採届、④R1年6月21日0.5+0.8haの伐採届をそれぞれ筑北村に提出している。このうち①②④は隣接し、③は一段下につくられている。また、④については地域森林計画対象森林に含まれない(=地目が田あるいは畑などになっている森林ではない)箇所も含まれている。

 林地開発許可申請を必要としないため、県は①と②の排水先を変えることと、①と②の間に樹林帯を設けることを指導した。しかし排水先が明確に変えられていないこと、樹林帯も伐採してしまったこと。加えて樹林帯は本来森林として残さなければならないのに、地域森林対象森林から除外し、私たちの指摘により、のちに戻している。

 「本来、林地開発許可が必要な案件であった」という私たちの主張と県の主張は平行線であるが、以下の点については前進面として確認できることである。

(2)後追い的ではあるが国や県が規制を強化したこと

①分割案件への規制

電気主任技術者の届出がいらない50㎾未満の低圧設備として申請し、何十カ所も建設することが最近まで行われてきた。このことについては「一体的にみなす」(平成26年)としているが、何をもって一体的とみなすのか不明確でその後も分割案件はある。一方で、「発電量の3割は自家用に使用しなければならない」(令和2年以降)という法改正が行われ、これによる規制効果はあるようだ。

②維持管理の責任

維持・管理に責任をもたないような事業者が多数いることから、「売電収入から維持費や事業終了時の廃棄費用を外部へ積み立てる」ことなどの法改正が行われた(令和4年4月施行)。

③林地開発許可申請の強化

2022年9月県議会での中川の一般質問に以下の通り林務部長が答弁した。

「1㏊を超える森林を開発する場合は、森林法に基づく林地開発許可制度として、土砂災害の防止、水害の防止、水の確保、環境の保全という4つの観点から、厳正・慎重に審査し、基準を満たす場合に県が許可をしている。

これに加えて太陽光発電施設に関しては、残地森林と自然斜面への防災施設の設置などの基準を令和2年度から追加して審査をしている。

太陽光発電施設では同じ地域で1㏊以下の開発が複数個所で行われる場合もあることから、実施の時期、開発行為の共同性、集水区域等を確認し、開発行為が一体と認められる場合は、関係する事業者に対して林地開発の申請を行うよう指導している。

許可制度の対象とならない1㏊以下の小規模な開発では災害が発生する頻度は低いものの防災対策等を考慮することが必要。そのため、今後も市町村に提出された伐採届の写しの提供を求め、必要に応じて地域振興局の林務課職員が市町村に対してきめ細やかな技術的な助言等を行うなど、市長村や関係機関との連携を密にしていく。」

2023年4月から太陽光発電施設については、林地開発許可申請が必要な案件は、これまで1ha以上としてきた基準を0.5ha以上に強化した。

④長野県地域と調和した太陽光発電事業の推進に関する条例

 改正地球温暖化対策推進法が2022年4月に施行され、市町村が促進区域を設定することができるようになった(長野県内では箕輪町が設定)。長野県は、促進区域から地域森林計画対象森林や優良農地を除外するガイドラインを6月に示した。さらにこの9月議会において「長野県地域と調和した太陽光発電事業の推進に関する条例」を制定し、10kw以上の発電施設を対象にし、地域住民への説明、安全の確保、環境・景観への配慮、維持管理計画の提出、罰則、情報の公開などについて定め、①地域森林計画対象森林、②土砂災害特別警戒区域、③地すべり防止区域、④急傾斜地崩壊危険区域、砂防指定地を特定区域とし知事の許可を必要とする。50kw以上の大規模事業は県への事前届出制、50kw未満の事業は市町村への事前届出制としている。

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20221214農政林務委員会(林務部)

2022-12-17 12:42:20 | 環境・森林

○中川委員 よろしくお願いします。

  最初に、これまでの森林づくり県民税の地域ごとの使い方の状況について教えてください。広く県民から集めているけれども、うちの地区にはお金が落ちてこないじゃないかとか、そういう話はあまり聞かないんですが、どんなふうに使われているか教えてください。

○柳原森林政策課長 森林税に関する地域ごとの状況という御質問でございます。

  私ども毎年事業の実施の成果を取りまとめて、それをメニューごと、かつ地域振興局別の執行額ということでお示しをさせていただいております。現在の第3期も昨年までの状況はお示しをさせていただいております。

  もともと10の広域であっても中の市町村の状況、森林の状況、違いますので、なかなか10の地域振興局が押しなべて均等の額になるというものではございません。

  第3期の状況で見ますと、市町村には森林づくり推進支援金ということで、人口ですとか森林面積に応じた定額の配分がございますので、そういったところは、全体的には、例えば市町村数が多かったり森林面積が多ければ、その地域には推進支援金分というのは少し多めに配分されているというものでございます。

  ほかの事業については、事業の公募ですとか優先順位を勘案して事業を実施してまいりました。例えば里山で防災、減災の部分については、航空測量、レーザー測量で県下全体の危険度を判別し、その中で優先順位をしっかり現地を確認し、市町村が方針をつくって実施をするというような手順を取っておりますので、そういう順位づけを基にやっている事業、あるいは公募でいけば、いろいろな木を使う、そういったものの公募で実施をしているということでありますので、結果的には地域振興局ごとのばらつきが出るものもございます。

  これについては、地域の県民会議というのがございまして、今年私、3か所ぐらい県民会議参加させていただいて意見を聞いてきました。やはり地元の皆さんからすると、こういう横並びの状況というのはかなり気になる部分もあるようで、なぜうちはこういう状況なんだという意見が出たり、じゃ、来年こういう事業を少し事業費を持ってくるためにはどうすればいいんだというような御意見も活発に出ていました。

  地域会議はその森林税を財源として、事業実施の評価だけでなくて、その財源を使ってどう地域の森林のいろいろな事業につなげていくかというところでも、非常に活発な意見が出されていましたので、地域振興局に対する非常に大きな動機づけになっているのかなというふうに思っています。

○中川委員 ありがとうございました。

  9月定例議会でこの森林税の使い方について質問したところ、メールが会派のほうに来ました。一つは、これは直接二重課税じゃないかという話があって、上田に住んでいて、青木村に別荘があるので家屋敷課税がそっちでもかかって、上田市でもと、両方で森林税を取られているということと、それから、森林環境税が始まるので、今の物価高の中で負担感が非常に強いと、というお手紙をもらいました。

  聞くところによると、知事の青木村でのときにもお手紙で出したということを聞いていましたので、その経過、多分これ税務課のあれだとは思いますけれども、一応林務で聞いておかなければいけないかと思いますので、よろしくお願いします。

○柳原森林政策課長 森林税の徴収の関係の御質問でございます。

  今回条例でお願いしています森林税につきましては、県民税の均等割の超過課税方式ということで、個人の方には年500円、法人の方には均等割額5%ということでお願いしています。個人の方に関しては、いわゆる市町村の住民税の均等割に超過課税という形で課税をさせていただいています。

  この制度で、先ほど来、二重課税というお話がありましたけれども、その住民税の均等割というのは、その市町村に住所を有している方と、住所を有していない市町村に例えば家屋敷を持っておられる方についても、この住民税均等割というものが徴税をされております。

  これは、いわゆる家屋敷をお持ちの方も、例えば道路とか防犯とか消防とか、いろいろな行政サービス、社会的費用がかかりますので、そういったものを負担していただくという観点で御負担をいただいているものでございまして、昔からそこがもう同じ県の税金であって、その県内に住所地以外のところに家屋敷を持っている場合に、その均等割がかかるということは二重課税ではないかということで訴訟になった例もございます。

  ただ、判決としては、やはり住所以外に家屋敷を持っておられる方は、余計多くの行政サービスを受けているという点と、個人の均等割自体が低額なので、租税負担の均等にも配慮されている、あるいは賦課徴税事務の簡素化、確実な徴税という観点で、そういうことは有用ですよという判例で出ております。

  押しなべて今回森林税に関しては、これまで3期15年やってまいりましたが、当初からこの住民税均等割、超過課税方式で実施をしておりまして、これは先ほど来の社会的費用の部分とかぶりますが、森林においてもその住所地以外のところに家屋敷をお持ちの方については、例えば水源涵養ですとか県道の保全ですとか、例えば保険機能、そういった森林の広域的機能の恵みを受けていただいているという観点でこういう徴税方式を行っているというものでございます。

  この制度当初の段階ではいろいろな税目を検討した経過がございます。例えば自動車税に課税するという形ですとか、あるいは法定外の目的税でやる場合と、いろいろな議論がされました。ただ、やはり徴税コストですとか初期費用という観点で、これが一番ベストだということで制度を今実施してきた経過がございまして、長野県を含むこういった森林税として超過課税で税を徴収しています37の府県に関しては、全く皆さん同じ手法でやっているというものでございます。

○中川委員 それと、環境譲与税の関係。

○柳原森林政策課長 失礼いたしました。

  森林環境譲与税、今市町村に対して譲与されているのは森林環境譲与税で、令和6年から森林環境税ということで国民の皆さんに徴収が始まります。これは1,000円徴収が始まりますが、これは今の地方税法の枠組みではなくて、新たに国税として森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律というのができていますので、住所地にあるところの方にお一人1,000円という形で徴税が開始されますので、これはこの森林税のような家屋敷云々ということではなくて、住所地のところに1,000円課されるというものでございます。

  負担感云々というお話もございました。確かに今回森林税を継続をお願いするに当たって、いろいろな説明会の中でも、我々森林環境譲与税で使う部分と森林税で使う部分、しっかりと市町村とすみ分け、役割分担をしっかり決めて実施をしていくということで御説明をさせていただいていますが、なかなかやはり森林自体手つかずで、どちらかというと少しやはり手を入れない森林たくさんございますので、そういった財源として森林税であり、森林環境税を原資とする森林環境税をしっかり使っていかなければいけない時代を迎えていますので、そういった財源でしっかりと整備をしていきたいというふうに思っております。

○中川委員 ごめんなさい、ちょっと違うな。

  今、防衛費の増の問題で、復興税の所得への課税のことについて議論がされていますけれども、環境譲与税は、復興税の均等割課税がこれで令和6年からなくなるので、それに代わって環境譲与税を入れるというふうに私は説明を聞いていますが、いかがですか。

○柳原森林政策課長 もともとの復興税については、いろいろ所得割に復興税の税率を掛けて徴収している部分もございますが、今地方税として県と市町村に対して500円ずつ実施をしているものは、時限的に令和5年まで500円ずつ徴収しています。

  それが終了し、令和6年から森林環境税という形で税が開始になりますので、御負担いただく分については必ずしもそこは根拠法が違いますので、全くオーバーラップはしませんけれども、その個人の方が復興税として1,000円負担していたものが終了し、森林環境税としての1,000円が始まるという説明をしてきていると思います。

○中川委員 そうした説明も必要かなというふうに思います。

  さて、次はもう少し踏み込んだ質問をしますが、県民の皆さんから再造林に当たって様々な環境への配慮などについて質問があって、今日の説明の中でもガイドラインをつくるという話がありました。このガイドラインの、具体的にこういうことを課題としてガイドラインをつくっていくというようなところについて、もう少し説明をください。

○千代信州の木活用課長 今検討を進めております主伐・再造林のガイドラインについての御質問でございます。

  どのような課題の下にということなんでありますけれども、まず再造林をしっかりするには、その場所なり、その前の主伐、伐採の行為が適切に行われているかどうかということが非常に重要でありまして、その上で適切な再造林ということになるわけですけれども、問題意識としましては、間伐ではなくて一面、一団の森林が伐採してなくなりますので、法律上しっかり定められている手続とか施業の制限というものがありますので、こういったものを遵守しているかどうかというふうなところが一つ重要になってまいります。

  それから、その上で、景観ですとか防災上の観点も踏まえながら、林地が適切に保たれているか、荒れるような形の作業になっていないかというふうなことで、そういった意味で現地に適した作業をいかに行うかということが重要になってくるわけであります。

  さらには、伐採のときに発生した枝葉とか、搬出して売れないもの、こういったものが適切に谷とか谷筋とかそういったところに堆積していないか、しっかり整理されているかというようなことも重要であります。

  こういったところをしっかり分かりやすくまとめて、事業をする皆さんにガイドラインとして示したいというふうに考えております。

  具体的には、事業体の皆さん、切る皆さんが配慮すべき項目、事項等を一つ一つしっかりチェックして評価できるというふうな内容のものを作成してまいりたいというふうに考えているところでございます。

  以上です。

○中川委員 ぜひ、皆伐ということで防災上の面で心配する県民の声がたくさんありますので、そこが、いろいろな施業の仕方があるので、そこをしっかりガイドラインの中で示すことが必要だというふうに思いますし、もう一個は、皆伐してそこに太陽光パネルがつくられたら困るなみたいな話もあるので、ぜひこれは林地開発許可申請、今森林法の改正などについても議論がされていますので、適正に行われるようにお願いしたいというふうに思います。

  それから、もう一つは、次に、松枯れ対策協議会で行ってきた皆伐の天然更新というのをやってきていて、私の地元でもその事業を使ってやってきたんですが、天然更新なものですから、なかなか集中豪雨とか来ると山が荒れてしまうんです、どうしても。だから、私はここもやはりこの森林税を使っての再造林の対象にしたらどうかなと思うんですが、そのお考えはどうでしょうか。

○中島森林づくり推進課長 松枯れ地の皆伐、天然更新時の再造林の補助の適用についての問いでございますが、通常松枯れ対策で、いわゆる森林税ではなくて国庫補助事業で自主転換を行っているところにつきましては、皆伐施業と同じになりまして、皆伐、あとはその後の植栽まで補助金で手当てをさせていただいているといった事業がございますけれども、委員おっしゃっているのは、それ以外に被害地を皆伐して天然更新に委ねるというところのことだと思いますけれども、こういった場合につきましても、今御審議いただいている次期森林税において、10分の10の再造林の対象になる場合があると思います。

  全てが対象になるかどうかはちょっとそれぞれの状況によるかと思いますので、そこのところはしっかりと現地機関等と御相談いただいて、対象になるかどうかの確認をしていただければと思います。

○中川委員 よろしくお願いします。

  次に、これは前回も質問しましたけれども、防災・減災の間伐に必要な1,500ヘクタールというのが、数字上の話ではなくて具体的な林地、こういうところがやはりやらなければいけないんだよというのを示さないと、数字だけの話ではなかなか県民は納得できないという質問をしましたが、その点についてもう一度お聞かせください。

○中島森林づくり推進課長 9月定例会のときにも委員から同様の御質問をいただきまして、1,500ヘクタールの数字的な根拠について説明させていただいたわけでございますけれども、そういった部分につきまして、今後GISデータ化等を今準備を進めておりまして、実績と今後対象とする予定地といったものをホームページ上で公表する準備を今進めているところでございます。

  いずれにしましても、この1,500ヘクタールを含みます4,300というもともとの数字につきましては、前回の繰り返しになりますけれども、リモート技術でまず対象箇所を抽出し、そこについては、必要な箇所について市町村と地域振興局で現地調査をしております。

  それを受けて、今度は市町村が里山整備方針というものを策定しております。これは全市町村策定しておりますけれども、これがみんなで支える里山整備事業、この防災・減災の間伐を進めるための事業でございますけれども、そこで設定しておりますこの里山整備方針、これが、これを設けた、方針を立てた森林について森林税を当てるという決まりになっておりますので、そこのところでその中から優先順位をつけた場所について、そこの4,300ないし1,500ヘクタールといった数値が出ているものでございます。

  いずれにしましても、今年度中にはホームページ上で地図データのような形で表示させていただきたいというふうに考えております。

○中川委員 現在では明確になっていないけれども、今年度中には県民の目に見えるようにするというふうに理解をしました。

  時間がありませんので、私、税金を入れていくためには、森林の公益性、公共性というのを高めていく必要があるというふうに思うんです。

  昭和30年代の木材は、調べてもらったので、私のほうで言ってしまいますけれども、杉でいえば1立米3万6,000円くらいで取引されていたのが、今1万円でしか取引されていない。当時のお金で取引されていれば、それは子供を学校に出すというのはできた。結局そういうことができていない理由は、やはりそれは外国産材を輸入しているからだというふうに思うんです。

  本来的には木材を売ったお金で川上から川下まで回るということが理想で、これはもう佐々木先生からも言われていましたけれども、資本投下した人件費だとか機械などの生産手段に係る費用だとか、あるいは今回の再造林する費用だとかが回収できていない現実ということが問題なわけです。

  本来なら投下資本を回収することができる木材価格にして、輸入材には相当の関税をかけるべきだというふうに私なんかは思うんですけれども、しかし、WTOだったかTPPでそれができない。なので、国の政策として路網整備や機械導入などに税金を投入してきているわけです。

  森林の公益的機能だとか、例えば二酸化炭素の吸収源だとか湛水能力による防災・減災などに、そういう意味で言えば着目して、環境譲与税とか我々のこの県民税だとか、こういったものが税金に投入をしていく理由にしてきているわけです。ですので、森林整備というのは、よりやはり公益性だとか公共性を高めていく必要があるんじゃないかなということを強く思うんです。

  先ほど来、熊本や鹿児島の視察をしてきたというお話が出ていますけれども、熊本の製材の皆さんは、最初は協同組合でみんな集約して大きい協同組合をつくって、それが製材会社に今なっていて、私のほうから常務理事の方に質問をしました。長野県で需要がちゃんとないと木を出すというのも大変じゃないですかというふうに質問をしたら、逆に、安定的な供給があってこそ安定的な需要があるんだというふうに言われて、ちょっと目からうろこ的なことがありました。

  そういう意味で言うと、将来的には、森林組合は広域化してきていますし、販売も木材センターが協同組合化されています。製材も、それは長野県の特性はあるんだけれども、税金を投入する以上は、一定の公益性、公共性を持つという意味で言えば、集約化ということも念頭に、頭に置いていかなければいけない時代になっているんじゃないかなと思います。その点が一点、お聞かせください。

○栩秋県産材利用推進室長 まず、ちょっと一点御訂正ちょっとお願いしたいと思います。

  今の木材価格の変遷ということでございますけれども、昭和30年代、県の統計が始まったのが昭和45年からということでございまして、昭和30年代は全国の国の統計のほうを参考にいたしますと、全国平均では1万円から2万円台ということで、まだ市場が安定していなかった中でこういった推移をしておりました。その後、40年代に入って2万円台から3万円台に上昇し、委員の御指摘のありました3万6,460円というのが昭和55年にピークを迎えるという形になっております。その後、下落傾向に転じているというような状況がございまして、まず一点、そのことについてでございます。

  その上で、県内の製材工場の集約化等というふうな御提案ございました。確かに製材工場が支援を受けて製材施設等の近代化等を図るという意味では、県産材の利用の担い手としての責務というのが当然発生しているというふうに考えておりますので、当然我々として施設整備をした製材工場等においては、そういった意識を高めて取り組んでいただきたいということを考えております。

  その上で、製材工場間の連携の体制づくりということでは、先ほど池田委員の御質問にも部長からもお答えしましたように、私どもとしては、まずは既存の製材工場、既に900社あったものが100社に減っているという現状の中で、いかにこの100社をしっかりと生かしていくかという観点で、水平の連携であるとか垂直の連携といった形での体制づくりというのをまずしっかりとつくっていきたいというふうに考えておりまして、この中で、今ありましたような需要をしっかり確保する中で、山元の生産体制というのも強化しながら、安定した供給ということに結びつけていきたいというふうに考えております。

  以上でございます。

○中川委員 最後にですが、これも9月議会の中で部長に質問しましたけれども、議会棟の前に県有林の木がある。200年後の県財政を展望して県有林がつくられてきたというお話をして、それに対して部長から、ゼロカーボンや生物の多様性の保持など、公益的機能も加わっているという認識が示されました。

  本当に極端なことを言えば、山を持っていても儲からないという状況があるので、いっそのこと国が買い取って、3桁国道や国定公園のように県が管理するというような、まさに公共というものにしたほうが税金は使いやすいのかなというようなことも考えないわけでもありません。

  改めて部長のほうから、県民の皆様から貴重な税金をいただいて山を整備していくその意義について御所見をお聞かせいただいて、私の質問を終わります。

○吉沢林務部長 ただいま公益的な観点からの税を活用させていただいた森林づくりについての意義等について御質問いただきました。

  9月の委員会のときにも委員から御指摘、御質問いただきまして、県有林の機能、関係ですけれども、その際に、今お話のありました公益的機能の維持、かつては県道保全であったり、あるいは水源涵養であったり、そこに加わって、近年では二酸化炭素吸収であったり生物多様性といったお話もさせていただきました。

  そうしたことから、今回森林づくり県民税に関する条例の改正案を提出させていただいており、また、委員からお話のありました基本方針の中でも、ただいま申し上げた長期的にそういった望ましい姿を実現するために、今私どもが県民の皆様から御協力をいただいて取り組まなければいけない取組、今お話のあった再造林であるとか、あるいは防災・減災のための里山の整備、あるいはそういったものを支えるための林業人材の確保、育成、それから、木や緑により多くの県民の皆さんが親しむことができる里山づくりといった、そういった大切な取組に活用させていただきたい旨を、これまで基本方針案の説明で県民説明会等で皆様にも説明をさせていただいてまいりました。

  御指摘の財産所有の在り方等につきましては課題として受け止めをさせていただきたいと思いますけれども、私ども公益的な機能を持つ森林を守り育て、また、そうした観点から貴重な税金を活用させていただいて森林整備を進めさせていただく、こういった重要性を県民の皆様と改めて共有をし、御理解をいただくことが非常に大事だと考えていますし、そういった観点から、税を活用させていただくことになった場合のそういった効果をより県民の皆さんに実感をしていただいて、そうした県民の皆様の期待に応えるような取組をしっかりと進めさせていただくことが大事だと考えておりますので、そうした観点で今回提案させていただいております。

  以上でございます。

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20221007 農政林務委員会 森林づくり県民税の延長について

2022-10-07 08:23:10 | 環境・森林

○中川委員 すみません、20分という時間の中でどこまでできるか分かりませんが、幾つか御質問をさせてもらいます。

  一つは森林税の関係ですけれども、再造林の費用が個人負担ゼロということになっているんですけれども、その前に主伐が行われていて、個人資産があるということについての関係性について、これを進める上では県民に説明が必要になることなのではないかと思いますが、その点いかがでしょうか。

○中島森林づくり推進課長 再造林に対して10分の10の補助をするに当たって、そういった資産がある中でどうなのかという御質問だと思いますが、主伐後の再造林については、まず、地ごしらえ、植栽、下刈り等の作業がありまして、その後も主伐するまで、次の収穫までには相当の期間と経費がかかるわけでございます。現状では、以前よりは若干木材価格は上昇しているわけではございますけれども、そうはいっても主伐後の再造林が足かせとなり、森林所有者が主伐そのものへの意欲を持ちにくい。あるいは主伐しても、再造林を放棄してしまうことなどが想定されております。そこで、下刈りまでの初期段階の費用を手厚く補助することによりまして、森林所有者の負担を軽減し、主伐・再造林への動機づけにつなげることを期待しております。

  次期森林税における大きな柱である森林の若返り促進と安全・安心な里山づくりを目指して、主伐・再造林を促進することが必要になっているということへの対策として、大変重要だというふうに考えております。

○中川委員 そんな点もぜひ説明の中に加えてください。

  それから、ウッドショックによる需要があるという話も、今ありましたけれども、そういう中では主伐が進むというふうに考えられるわけですけれども、外国産材の輸入の回復などの状況変化だって、この先ある可能性もあるわけですよね。そういった際に、安定的な県産材の活用策というものがなければ、結局は主伐は進まない。そうして、主伐が進まなければ再造林が進まない。再造林が進まなければ一体この県民税は何のために使うんだということになりかねないので、この県産材の活用策、それも恒常的な活用策ということについて、きちんと考えていく必要があると思いますが、お考えをお聞かせください。

○栩秋県産材利用推進室長 恒常的な木材需要、県産材需要の確保の見通しという御質問をいただいております。

  恒常的な木材の需要の見通しというものを立てていくということは、森林所有者の方々に安心して木材生産をしていただくという観点でも、非常に重要なテーマだというふうに考えております。

  現行の森林づくり指針におきましても、様々な用途での需要の開拓、開発というようなことを掲げ、それに対しての実績として、例えば接着重ね梁の開発ですとか、あるいは集成材の耐火構造といったものの新用途開発、こういうようなものがこの10年間でも進んできたということで、一定の需要の確保というのが図られてきているわけでございます。その結果として、10年間で素材生産量が約1.5倍ということで、森林所有者の方にも、素材生産増大に向けた取組が徐々に進んできているという状況にはあると思っております。

  一方で、委員御指摘のように、ウッドショックですとか、あるいは今の新型コロナウイルスの関係、あるいはウクライナやロシアの情勢といった木材の需給構造を大きく揺るがすような課題というのも出ておりまして、なかなか長期的な見通しを立てるというのも難しい状況というのも一点にはあるとは思っております。

  しかしながら、国産材への転換というのは、今、全国的な動きとしても、これはシフトが進みつつあるということで、我が県も乗り遅れないようにしっかり取り組んでいかなければいけないというふうに考えておりますので、次期森林づくり指針の中では、林業木材産業の目指すべき姿というのもしっかりと考えて、具体的にしていきたいというふうに考えております。

  以上でございます。

○中川委員 これは、鈴木委員さんがおっしゃったように、林務部だけの課題ではないと思います。本当にこれから造る長野県の小学校は、全部県産材で造るくらいの覚悟がないと、恒常的な県産材の活用の道というのは開かれていかないんじゃないかなというふうに私も思いますので、そんな点も含めて、県庁全体でこの県産材の活用については、恒常的な県産材の活用策について検討が必要だと思います。

  それから、林業経営に適さず管理意識もない森林の間伐は、市町村の環境譲与税を使い間伐を行って、県民税は林業経営に適さないが管理意志のある森林は防災・減災のために必要な間伐を行うとしていますけれども、これは、一般質問でも小林東一郎議員からもありましたが、これは明確なゾーニングというのはできるものなのでしょうか。教えてください。

○中島森林づくり推進課長 ゾーニングに関する御質問でございます。

  委員がおっしゃるとおり、森林環境譲与税は、森林所有者が経営管理できないと意思表示をした森林について、市町村が事業主体となって行って、譲与税を森林整備に充てるものでございます。

  また、森林税で実施する防災・減災のために必要な間伐は、道路や集落等保全対象に近い場所で実施するものでありまして、経営には適さないが、所有者が管理できている里山において実施するものでございます。境界が不明等で管理がなされていない森林については、譲与税等を活用した対策を取るなどの手段で対策を取るということになるかと思います。

  市町村と連携して適切にゾーニングを行いながら、森林整備が実施できるようにしていきたいというふうに考えております。

○中川委員 それはそのとおりなんですよ。そこがなかなか難しいんじゃないですかという質問をしたので、これから進めていく中で考えてください。

  関連してですけれども、先ほども池田委員からもありましたけれども、防災・減災のための里山整備第3期分までの未整備分が1,500ヘクタールありますというふうに言っているんですが、その根拠は何なんですかね。今までこれだけあります。でもこれだけやったので、残りが1,500ヘクタールでは、これは根拠とは言わないんですね。実際にどこにどれだけの間伐をしなきゃいけないところがあるのか。そして、それが先ほど申し上げたように、林業経営には適さないが、管理意思のある森林として、防災・減災のために必要な間伐をしなければならない面積がどこにどれだけあるのかという、その積み上げがあって1,500ヘクタールというふうに言われているのかどうか、教えてください。

○中島森林づくり推進課長 1,500ヘクタールの根拠についてお尋ねいただきました。

  この数値につきましては、第3期の目標4,300ヘクタールというものがありまして、今年度見込まれる実績2,800の残りが1,500ということで、それだけでは根拠ではないだろうと、確かにおっしゃるとおりでございまして、3期の4,300ヘクタールを算出するに当たりまして、長野県で実施しました航空レーザー計測のデータを活用しまして、いわゆる道路や集落等に近いところのそういった間伐が必要な森林というものを、まず抽出しております。その中で、森林所有者が管理できるであろうという森林をある程度推定しまして、一定の係数を掛けて算出した数字が4,300でございます。それをもちまして、4,300を目指して3期で森林整備を行ってきたんですが、搬出間伐等が増えるなど、標準単価、実施単価が上がったことも影響しまして、全部の面積を実施することができなかったと。残りの1,500をこの次に予定しています4期のほうで実施していきたいということでございます。

○中川委員 先ほど池田委員さんが言った、山がその中に入っているのかどうかとか、それから、松本地域森林、ムカイヤマ課長とも一緒に現場を見にいきましたけれども、この山は1年間のうち、冬の間もう光が全然入ってこなくて、人家に光が入ってこないというようなところも多々あって、そういうものがちゃんと終わっていないなという感じは、私は感覚は持ってはいますけれども、やっぱり具体的な積み上げがないと、やっぱり延長するときに、県民の皆さんになかなか納得してもらえないんじゃないかなと思いますので、そんな点もぜひ、具体的な、まだまだこういうところが残っているんだということを例示する必要があるのではないかなと思います。

  次に、担い手の問題は、先ほど来話が出ているので、少し絞って言うと、中核的担い手である事業体やそこで従事する人材への支援は、市町村の森林環境譲与税活用事業における取組事例としているというふうに書いてあるんですが、これは可能なんでしょうか。

○千代信州の木活用課長 林業の中核的な担い手である事業体、またそこで従事する人材の支援、これは市町村に配分される森林環境譲与税で使えるのかどうかという御質問でございます。

  これは、資料の中で、表の中で示してある一つの例でありますけれども、森林整備を推進していくというふうな、森林環境税の目的を達成するための施策であれば、その整備を担う人材の育成確保についても、これは森林環境譲与税を活用するということは可能とされているところであります。あくまでも、これは括弧して市町村に配分されるというところの表になっていますが、市町村の中で完結するような、その市町村の中の事業者であるとか、そこで雇われている方の育成・確保について、その市町村に配分されたものを活用するということですので、相当ケースとしては限られてくるのかなというふうには思っております。

  その譲与税ということで考えましたら、これは林業の事業体とか人材に関しては、割とこの市町村の範囲、境を超えて、広域的にやられているところが、非常に大きな事業体ほど多いということになっております。そういったときには、一つの選択肢としては県にも森林環境譲与税は配分されますので、そういった部分に関しては、県の施策で譲与税を活用して支援するというふうなパターンもあり得るというふうに思っております。

  いずれにしましても、従来の国庫補助金等で対応できない部分で、中核的な担い手を支援する施策として譲与税を活用するということは可能というふうにされておるところでありまして、また、中核的でない部分の支援に関しては、これは今までぽっかり空いていたところでありますので、県の森林税を使って支援をさせていただくというふうなテーマ分けでやっていきたいというふうに思っております。

○中川委員 一緒に聞けばよかったですね。林業の中核的担い手への支援について、別途検討となって、書いてありますけれども、その説明は今の説明でいいんですかね。お願いします。

○千代信州の木活用課長 林業の中核的担い手の部分、これは、多分資料の25ページのところの上の絵のところに関する御質問だというふうに考えておりますけれども、通年雇用で専業的に従事されるような、いわゆる林業の中核的な担い手に関しましては、ただいま申し上げましたように、従来の国庫補助事業であるとか、県の従来からの一般財源等で対応をしているものであります。

  この説明資料に関しましては、これは森林税で説明をしておりますので、森林税の超過課税ということでありますので、従来事業とは切り分けて、これまで対応できていない、この絵でいきますと、ピラミッドの下のほうの小規模事業者ですとか、さらには将来的にその中核を担っていただけるような、潜在的な林業への理解者、こういったものを増やしていくというふうな施策に、森林税は充当したいというふうに考えております。

  ただ、最初に申し上げた中核的担い手への支援策というものも、今の状況ではもちろん十分ではないというふうな問題意識を持っておりますので、生産性の向上であるとか、あるいはさらなる就業環境の整備ですとか、あるいはさらにもう一歩突っ込んだ新規雇用の促進策、こういったものは、森林税とは別にしっかりと対応してまいりますということで、この説明テーマでは別途検討とさせていただいているところでございます。

○中川委員 あまり時間がないので、森林税の関係については、最後にアンケートの読み方について、ちょっとお話を教えてください。

  アンケートの森林づくり県民税の認知度ですよ。「名称、税額は知っているが、使い道はよく分からない」「名称は知っているが、税額や使い道はよく分からない」、それから「名称、税額、使い道とも分からない」。だから「分からない」、それから「知らない」合わせると、これは8割なんですよね。79.2%の人が、アンケートで「分からない」「知らない」と答えている。ところが、この継続に、その「分からない」「知らない」というふうに答えている人が、継続ということについて、「現在の取組内容のまま継続すべきだ」「現在の取組内容を継続するのに、新しい取組内容を加えるべきだ」「全く新しい取組内容として継続すべき」、まあ「継続すべき」というのが66.4%。これはよく分からないところなんですよね。

  このことについて、やはり今までにも第1期からの課題で、やっぱりこの県民税を使ってどういうふうに変わったんだというようなことが、県民の皆さんに知られていないということが原因じゃないかなと思うんですよ。その点について御見解をお願いします。

○柳原森林政策課長 森林づくり県民税の認知度という御質問でございます。

  委員がおっしゃったように、このアンケート結果、8割で、我々から見ると、「内容はある程度知っている」というのが2割で、ここを増やさなければいけないというのがもう従来からの課題だということで、これも、これまでも答弁させていただいております。

  今回、アンケートでこの指針、方針の最終段、47ページから、これまでの3期の取組を併せて、アンケートと同封してお送りをさせていただきました。返ってきた中身のところに自由記載がございまして、非常に個人の方で1,000ぐらい回答をいただきましたけれども、本当に多くの方にコメントを載せていただきました。そのコメントの中には、これまで県民税でこういうことをやっているということを知らなかったと。非常に税の使い方としては、非常にいいことをやっているからこそ、もっともっと知られるように普及してほしいとか、こういうことを何でもっとしっかりやらないんだというような御意見が非常に多数ございました。

  そういった、今回アンケートに同封した取組内容を見た上で、継続についてお答えをいただいたんだろうなというふうに思っておりますので、そこらあたりの認知度と、その結果との関係は、そういうことなのかなと思っています。

  これは、どのように上げなきゃいけないかというのは、もうまさにずっと今までもいろんな方法でやってきています。お金を使う、当然税の中の範囲で使っていますので、そこはあまり使い過ぎるのも、本来的な森林整備に回るお金もございますので、ある程度この次を見据えた場合には、より身近で税を使っている取組を増やしていくということも大事だろうというふうに思っています。

  そんな中で、四つの柱の中の一つに、より親しみを持ってもらうということで、一つ柱を立てております。もう御指摘なり、県民の皆さんからも言われていることで、もう我々も常にそれを前向きに考えなければいけないと思っておりますけれども、何とかそこは、本当に心してかかっていかなければいけないなというふうに思っております。

○中川委員 最後に部長にお願いしたいんですが、実は種です。カラマツの種。このカラマツの種というやつは、国の森林種苗法に基づいて県がつくっているという話は、私は知らなかったんですね。これは南佐久で、小海の中で新しく木を植えたりとか、種を川上村で種を取ったり、種場があってというのは知らなかったんですよ。これは結構大事な話で、それで、なおかつその種を取って、優良な種を取って、それを山に、木に植えて、それというのはそれが苗木となる種をつくるわけですよね。だから、その苗木となる種を取るまでに、そこまでで15年かかるわけですよね。そこから植えて、苗にして、そして木材として活用されるまでに50年、60年かかる。つまり、まさに100年かかるわけですよね。そういうことで、知事も小林委員の一般質問の答弁に答えて、県議会の議会棟の前にある県有林の木を見ると、本当に過去に先人が200年の計というものを持って山を育ててきたということが、本当に大事なことだなというふうに思うので、そんな点を踏まえて、県民税を延長していく、そんなところについて、思いをちょっと語ってください。お願いします。それで終わります。

○吉沢林務部長 委員から、長期的視点を持った森林づくりの取組についてのお話をいただきました。

  私もこの部署に来て、採種場、育種場を見させていただいて、まさに今、委員がおっしゃられたことと同じ思いを持ちました。

  今回改めて小林議員からも一般質問もございましたので、その県有林の木の内容を読ませていただいて、やはり先達、我々の大先輩たちは、しっかりしたことを考えておられたんだなということで、非常に感銘を受けました。今、委員もおっしゃったとおり、非常に森林づくり、長い目で見て考えていかなきゃいけないですし、今植えた木は、私の子供、孫の代になってやっと収穫ができるという、そういった息の長い取組だと思います。

  そういう中で、県有林の木の中では、やはり県土保全であるとか産業振興という視点で長期的に取り組んでいかなきゃいけないということが主に書かれていたかもしれないんですけれども、現在は、さらにそこに公益的機能ということで、二酸化炭素吸収の話であるとか、あとは生物の多様性のこととか、そういった機能も加わってきているのかなというふうに思います。

  おっしゃられたとおり、まさに長期的な視点を持って、だけれども、今まさに取り組まなければいけない喫緊の課題があるということで、今回も基本方針案の中でも触れさせていただいていますけれども、ゼロカーボン社会実現のための主伐・再造林であるとか、それを支える林業人材の確保・育成であるとか、それはまさに今、待ったなしの課題でありますので、そういったものに今から取り組んでいくという意味でも、次期森林づくり県民税を活用させていただいて、100年後、将来の長野県の森林づくりのために取り組んでいきたいという気持ちを持っております。

  それとあわせて、先ほど来からもお話に出ています森林林業そのものではないかもしれませんけれども、森や緑を私たちの生活の中で、その恵みといいますか、潤いを享受していただく。そういったこともこれからの生活の中では大事だというふうに思っていますので、今、お話のあったような認識に基づきまして、長期的な長い目を持ちつつ、喫緊の課題に対処して、関係の皆様と共にこの長野県の森を守り育てていきたいと、そういった気持ちで取り組んでいきたいというふうに思っております。

  以上でございます。

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20220912 アサマフウロ

2022-09-13 11:38:15 | 環境・森林

 

(左アサマフウロ 右ヒメマツカサススキ)

軽井沢に生息する「アサマフウロ」という絶滅危惧種がある。アサマフウロは1894年に大渡忠太郎氏によって発見された植物で、国内では軽井沢のほか静岡、群馬、福島、茨城で確認されていて、自生している場所は極めて少数であり、軽井沢町馬取山田地区の群落は国内最大の個体が育成する自生地である。

現在、東京農業大学の宮本太教授が生態的特性を解明・記録するため調査が継続して行われています。

これまでにも、軽井沢の湿原に残されてきた希少植物が別荘やゴルフ場の開発などで失われてきました。現在、軽井沢サクラソウ会議や軽井沢オーガニック給食を考える会などが、馬取山田地区で進められている農地整備事業によるアサマフウロやヒメマツカサススキ、カヤネズミなどの希少動植物への影響を極力少なくするための提言を町に行っています。

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20220912 川上採種園視察 森林は200年の計

2022-09-12 20:22:06 | 環境・森林

長野県の森林は、種や挿木により受け継がれている。その種や苗木は「林業種苗法」という法律により、県が育成していることをはじめて知った。

会派で小海採種園を調査したが、ここではカラマツのエリートツリーを生育していたが、種を取るところを見たことがない。

今回佐久地域振興局林務課と森林づくり推進課造林緑化係の皆さんと川上採種園を視察した。県内には採種・採穂園が8カ所あり、すべて県林務部が管理している。ヒノキ・カラマツ・アカマツは採種し、スギは挿木による採穂という。このほか、御代田町の国有林に国管理によるカラマツの採種園があり県が種子採種をしている。

カラマツの種子は、その年によって取れるときと取れないときがある。およそ5年から7年に1回取れる。日商条件や種を取る母樹の高齢化・高木化により年々種が取りにくくなっている。

苗木の生産は平成27年2,413千本から令和2年4,109千本に増加している。令和2年の種別内訳は、スギ102千本、ヒノキ273千本、アカマツ93千本、カラマツ1223千本、その他322千本。昭和初期にはカラマツの苗木を1000万本くらい生産していた。戦後復興で電柱や杭として活用され、カラマツはおよそ1万ヘクタール植樹されたものが、今、伐期にきている。ウッドショック等により、カラマツの需要が好調のため、カラマツの主伐が行われる。このため、再造林をしていくため苗の生産、種の生産が必要となっている。

カラマツの苗木が年90万本必要となる見込みであり、そのための必要種子は発芽率3割として300万粒、重さで12キロ、松ぼっくりで1159ℓが必要となる。実際にすべてが出荷できるわけではないので2000ℓの松ぼっくりが必要。

 

カラマツ採種造園地(小海)から種子が採取されるまでに15年程度必要。そこで種が取れて苗木となり植林され材木として世の中に出るまでに50年。いま、担当している一番若い職員でも現役のうちに製品を見ることはない。息の長い仕事である。

長野県議会棟の前に「県有林の記」という碑がある。明治維新以降、木材需要の高まりの中で乱伐が繰り返され、山が荒れ霜害や水害がたびたび起こるようになり、時の関清英知事が、「県自らが森林の経営に当たることを考え、職員に計画の作成を命じた。 その目的のひとつは、広く模範を全県に示して植林の普及啓発をはかることであり、いまひとつは、県有財産を造成することによって自治の財政的基礎を固めることであった。これが県有林の起こりである。 その計画の概要は、県下各地の御料林及び国有林約7500町歩の払い下げを国に願い出てこれを県有林とし、31年間で植林を終え、212年間でこの事業を完成し、その間に28億円の収益を得、その後も毎年35万円の収益を確保しようというものであった。」

教育は100年の計、というが森林は200年の計である。

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20211203 11月県議会一般質問①林地への太陽光発電施設の設置について

2021-12-04 13:44:35 | 環境・森林

1,森林への太陽光発電施設の設置について

【中川】9月議会で林地への太陽光発電施設設置についてお伺いしました。その際、「1ヘクタールを超える森林を開発する場合は、森林法に基づく林地開発許可制度に基づいて審査し、基準を満たす場合には県が許可をしている」「1ヘクタール以下の開発が複数個所で行われている場合も開発行為が一体と認められる場合は、林地開発の申請を行うよう指導をしている」という答弁でした。

 県として適切な指導が行われることを前提としても、1ヘクタール未満の開発が複数個所で行われている場合でも、伐採届日が異なるときなど「開発行為が一体であると認める」ことが困難な事例があります。また、いったん太陽光発電施設が設置されると、森林計画対象の森林から除外されますが、その隣に1ヘクタール未満の太陽光発電施設を設置する時は、市町村への伐採届だけで開発が行われ、無秩序な森林開発が進行していくことになります。

 森林には、木材の供給のほか、土砂災害や水害の防止、環境の保全、二酸化炭素の吸収源であることや、薪や炭の原料、山の草木を良質な有機たい肥とするなど、これらの多面的機能は山を持っている人の利益であるばかりでなく、公益的機能をもつものであります。

 しかし、1961年(昭和36年)に、輸入木材の関税が撤廃されて以降、外国産の木材などが市場に出回り、最近では木材の国産自給率は食料自給率と同じ30%台後半の数字となっています。結果、森林を所有していても木材を売ることもできず、山の手入れもだんだんできなくなり、国の再生可能エネルギー推進方針に協力するため太陽光発電施設用地として山林を売る人が出てきていることは、決して売った人が責められるべきものでもないと思います。一方で、景観や土砂災害の危険性を重視する住民の方と軋轢が生まれていることも事実です。また、開発を担う業者も法に基づいた開発だと主張をします。つまり、森林が無秩序に開発されるのは国の方針が明確ではないからではないでしょうか。

こうした今日の森林を巡る状況を考えると、森林の持つ多面的かつ公益的機能を守るために公共投資が必要ではないかと考えますがいかがか。

【知事】県土の約8割を占める森林は県土の保全、水源の涵養、木材をはじめとする林産物の供給といった様々な重要な役割を果たしています。

また、今後2050ゼロカーボンに向けては森林が持つ二酸化炭素吸収の機能の発揮についても重要なものと考えています。

このため間伐をはじめとする森林整備や治山事業の実施等によりまして、森林の持つ様々な機能の発揮に向けた取り組みを進めているところであります。

今後も、国の予算等を活用し災害に強い森林づくりの推進や、森林資源の適正な管理に向けた取り組みを強化してまいります。

 

【中川】1ヘクタール未満の複数の林地開発が、一体的な開発であると認める基準があいまいであることから、こうした開発を回避するため、過去の開発まで遡ることで「一体的な開発行為」として認めるように基準に遡及性を持たせることはできないか。

【知事】同じ地域で1ヘクタール未満の複数の林地開発を行う場合は開発の時期、開発行為の共同性、集水区域によりまして、一体性を総合的に判断して1ヘクタールを超える場合は林地開発許可の手続きを行うよう事業者等に指導しているところであります。

しかしながら一定期間時期が異なる開発が行われた場合には、過去の開発区域は地域森林計画の区域から除くという形になりますので、現行制度においてはそれらを一体的な開発行為として判断することはできません。

 

【中川】国は地球温暖化対策推進法の改正により来年度から市町村は太陽光発電などの再生エネルギー生産設備等を誘導する「促進区域」を設定することができるようになり、県としては、除外すべき区域や配慮すべき区域に関する基準を示すことができることになりました。この基準に関し、山梨県の条例にように太陽光発電施設を森林に設置することは原則禁止したらどうか。

【知事】この改正地球温暖化対策推進法に基づく促進区域に関しましては、現時点では土砂災害の防止、水源の涵養、生態系の保全といった公益的な機能を有する森林の開発については、少なくとも促進区域から除外することが適当ではないかという風に考えています。

現在、庁内に連絡会議を設け検討を進めており、省令案を待って県の基準案を作成し県の環境審議会の審議や、市町村からの意見聴取、パブリックコメントを行って年度内をめどに決定をしていきたいという風に考えております。

特に大規模な太陽光発電の設置については、地域の皆様方からさまざまな懸念や課題の声が寄せられることが多いことから、防災面や環境面などにも配慮がなされた形で太陽光発電施設が適正に普及するよう、必要な方策を検討していきたいと考えております。

 

以上

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20210928 9月定例県議会一般質問「林業行政について」

2021-09-28 21:26:24 | 環境・森林

3,林業行政について

【中川】コロナ禍でのウッドショックにより輸入材が値上がりし、建築材が手に入りにくくなっています。県産材の活用のチャンスなのですが、伐採、製材、建築というそれぞれに課題があり、おいそれとはいかないようです。

この間、いくつかの関係団体の調査を行ってきました。森林組合では、木材を切り出す仕事が安定的にあるわけではなく、冬季の除雪作業や他の森林組合の仕事をしているとのことです。県産材を専門にしている製材所では、「輸入材が手に入らず県産材をといわれるが、再び輸入材が入ってきたら、輸入材に戻るということではやってられない。今後とも県産材を扱ってくれる工務店と付き合いたい」と言われていました。一方で、工務店では「施主の意向で少しでも安く建築をしようと思ったら、安い外材を使わざるを得ない。県産材と言っても普段取引していないので扱いにくい」と言われています。

 また、県産材85%を使用し残りも国産材にこだわって建築をしてきた業者は、「信州の木で家をつくりたい」と、木材業者や製材所と連携して県産材による住宅建築をしているとのことです。そこで、林務部長にお聞きします。

 

(1)県産材の利活用について

【中川】今回補正予算で、県産材製品利用促進緊急対策事業が提案されていますが、森林県から林業県へというスローガンがスローガン倒れにならないように、ウッドショック後においても、恒常的に県産材が利活用される仕組みをどのように構築していくのでしょうか。お考えをお聞かせください。

【林務部長】恒常的な県産材の利活用の仕組みについてでございます。

現在、外国産の木材の高騰により、県産材の需要が高まっています。林業県を目指す本県としては、こうした状況が沈静化した後も、長期的で確かな需要に繋がる仕組みの構築が必要と考えております。

具体的には、外材から県産材の利用にシフトする建築事業者等と、供給側である林業・木材産業のマッチング機会を創出するとともに、今まで県産材が使われなかった、店舗や公共建築物などの非住宅分野への需要拡大を図ってまいります。

加えて、県産材の供給面においては、林業における主伐・再造林への転換を通じた丸太の安定供給や、価格競争力のある県産材製品を供給するための加工施設の整備等への支援を進めてまいります。

 

(2)今後の山の作業のあり方について

【中川】昨年の7月豪雨や今年の8月豪雨で、松枯れ対策などで皆伐された山で、これまでにない雨量により、雨が山にしみ込まず山の表面を一気に流れ、下流部の畑などを侵食したり、土砂災害を引き起こしています。これからは想定外の雨量を見越した山の作業のあり方を指導していくべきではないでしょうか。

【林務部長】次に、想定外の雨量を見越した山の作業のあり方についてでございます。

県では、松くい虫対策において、「松くい虫被害対策としてのアカマツ林施業指針」を定め、事業体等に指導しておりますが、皆伐を実施する場合は、アカマツ以外の樹種をできる限り残すこと、必要に応じて排水等の防災施設を設置することなどを新たに追加をし、災害防止に努めてまいります。

山の施業のあり方については、平成27年3月に作成をした「皆伐施業後の更新の手引き」に基づいて、山地災害履歴のある箇所や山地災害危険地区が存在する流域では、皆伐施業を避けることなどを、林業事業体等に指導してきており、引き続き、研修会等を通じて災害の発生を防ぐ施業の徹底を図ってまいります。

 

(3)林地への太陽光発電施設設置について

【中川】同様なケースとして、皆伐して太陽光発電施設を建設することにより、土砂災害の原因となる恐れがあります。太陽光発電のための林地開発に対してどのような基準で許可されているのでしょうか。林地開発申請は1haを超える開発が対象となっていますが、例えば1haを超えないように別々に申請が行われた場合はどうなるのか、林地と農地を合わせて1haを超える場合への対応など課題があるように思います。林地への太陽光発電施設建設に関する現状と課題、対策についてお伺いします。また、伐採届は市町村に出されるので、これまで以上に市町村との連携を強化すべきではないでしょうか。

【林務部長】太陽光発電施設建設に関する、林地開発許可制度の現状と課題、対策についてでございます。

1ヘクタールを超える森林を開発する場合は、森林法に基づく林地開発許可制度として、土砂災害の防止、水害の防止、水の確保、環境の保全という4つの観点から厳正・慎重に審査し、基準を満たす場合には県が許可をしております。

これに加えて、太陽光発電施設に関しては残地森林と自然斜面への防災施設の設置などの基準を、令和2年度から追加して審査をしております。

太陽光発電施設では、同じ地域で1ヘクタール以下の開発が複数個所で行われる場合もあることから、実施の時期、開発行為の共同性、集水区域等を確認し、開発行為が一体と認められる場合は、関係する事業者に対して林地開発の申請を行うよう指導をしております。

許可制度の対象とならない1ヘクタール以下の小規模な開発では、災害が発生する頻度は低いものの、防災対策等を考慮することが必要と考えております。

このため、今後も市町村に提出された伐採届の写しの提供を求め、必要に応じて地域振興局の林務課職員が、市町村に対してきめ細やかな技術的な助言等を行うなど、市町村や関係機関との連携を密にしてまいりたいと考えております。

【中川】森林の開発によってこれまで言われてきた森林の持つ多面的機能が失われない取り組みをお願いいたします。

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20210917 県産材の利活用をすすめる フォレストコーポレーション

2021-09-18 09:40:31 | 環境・森林

伊那市にあるフォレストコーポレーションを視察しました。

フォレストコーポレーションは、長野県産の木材を使った住宅建築にこだわっている理由について、小沢社長は「信州には木材があるから、それを使う」といういたってシンプルな理由だ。

20年ほど前、長野県が「信州木造りの家」でグループ作りを提起した。最初、県産材で住宅を建てるといううと「笑われた」。県産材は高い、手に入りにくい、乾燥材の強度は大丈夫か。一つ一つクリアしながら、これまでに1000棟を超えた。

最初は「あなたの山の木で家づくり」ではじまり、今は「あなたが選ぶ山の木で家づくり」に。山主が山を管理できなくなってきている。代わりに下草刈りや間伐を行い、代わりに木を売ってもらう。

施主と一緒に、山へ行き木を選ぶ。自然乾燥の木の特徴を説明し、割れや隙間ができることを理解してもらってる。節があっても黒くても住宅材として使っている。ウッドショックで全国から県産材を買い付けに来る。

「信州の木で家をつくりませんか」をコンセンプトに。

 

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20210916 木曽漆器工業協同組合

2021-09-16 11:04:24 | 環境・森林

 

(写真は、楢川小学校の給食の記事)

同僚の続木県議と塩尻市楢川の木曽漆器工業協同組合を尋ねました。

きっかけは、県政レポートを配布しているときに和田の花をやっている高校の先輩で上條信太郎さんと話をしていて、「10年20年先を見て地域づくりを考えていかなければあならない。松枯れの山に漆を植えるというのはどうか」と示唆をいただいたことがきっかけです。

さて、漆の分かは縄文時代まで遡るのだそうで、北海道で9千年前のものが出ているとのこと。長野県内では朝日村、長和町で確認されている。安土桃山時代には金閣寺などで使われ、今日の基礎ができたそうだ。出島を通じて広く海外でも日本の漆器が流通していた。

漆はアジアの文化で、ミャンマー、ベトナム、中国で使われている。福井県鳥浜では12600年前の漆の木が出土しているので、もともと日本にも自生していたのではないか。

ミャンマーの漆は、民主化が進められているとき、楢川との交流が始まり、4-5年続いた。協定を結び、女性の交流団を送ったこともある。芸大の松村先生を通じて交流してきた。

ブータンからも研修生を受け入れたことがある。

現在、松本市中山、塩尻市片丘などで漆の木は1.3ha管理し800本植えてある。「漆は寂しがり屋で里を好む」と言われている。肥沃な土地で水はけのよい土地が適地。漆を木からとる、「かきこ」が不足していて、岩手県二戸市浄法寺へ研修にいく。

現在、漆の9割は輸入。ピークには30トン輸入していたが、今は0.4トン。中国と国交がない時代でも木曽日中貿易会社をつくって直輸入してきた。

3-4年前、文化庁から文化財の修復には日本産の漆を使うよう指導があり、定期的に修復がある日光東照宮や名古屋城で使われ、国産漆は品薄状態。

長野雄県内では、漆の掻き子は一人だけ。伝統的産業や技術を育てる支援が必要だ。

 

(お話を聞いた道の駅楢川のすぐ前で、8月の豪雨で土砂崩れがあり、JR中央西線が不通となった。参考までに写真を掲載しておく)

 

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20210518 「脱炭素社会」会派ONLINE研修会

2021-05-18 15:48:36 | 環境・森林

長野県議会「改革・創造みらい」のONLINE研修会が開催されました。

講師は、千葉商科大学准教授の田中信一郎さんです。田中さんは、以前、長野県環境エネルギー課の企画幹をつとめていました。もっと前は参議院議員の中村敦夫さんの政策秘書をしていて、私も山口わか子衆議院議員の秘書をしていた時に、公共事業チェック議連で静岡空港を一緒に調査したことがあります。覚えていないと思いますが。

さて、今回のテーマは「脱炭素社会を目指す持続可能な地域づくり」です。国も長野県も2050年実質カーボン排出量をゼロにする目標を掲げています。カーボンゼロにする=化石燃料の削減=無理、という方程式が一般的(?)ですが、①人口減少社会で、減少していく行政資源で、増加していく課題を解決するために気候変動対策が有効。車に過度に依存しない都市構造への転換・地域主導型自然エネルギー事業の促進・新築住宅の断熱化、既存住宅の断熱回収の促進など。加えれば、国も「緑の戦略システム」で提起している有機農業の推進もあります。

車に過度に依存しない都市構造とは、移動距離が短いまち・建物の用途を含めた土地利用のコントロール・移動の可能性を高める・マイカーを不便にし、他の移動手段を便利にする(共同駐車場の設置など)。これらにより、家計の実質所得の増加・不動産価値の維持・生活利便性の向上・健康寿命の延伸・域内経済の活性化・交通事故の減少・環境負荷の低減・公共交通の採算性の向上・インフラ費用の抑制・景観の形成・新たな観光需要の喚起など、多面的な効果が期待できる。

この発想は大事だなと思います。私も2月定例会で、知事答弁のあと「ゼロカーボンに向けて、どう危機感を共有するのか考えると、かつて信州は夏場でもクーラーがいりませんでしたが、近年ではクーラーなしでは寝られないほど暑さが夜まで残ります。また、寒い冬の信州の風物詩である御神渡りも、今年は見ることができませんでした。ただ、危機感だけでは人は疲れてしまいます。それゆえに、人は慣れてしまいます。新型コロナ禍で、会議や講演会がWEBで多く開催されるようになりました。これは、移動によるCO2排出を削減することになりました。省エネ家電を使えば電気料がお得になります。農林水産省も、CO2削減に向け、有機農業の面積を現在の40倍、100万ヘクタールまで増やす戦略を発表しました。CO2を土の中に閉じ込めることが大きな効果を生むという研究もあります。CO2削減は面白い、楽しいことだ、というインセンティブがあれば、より積極的に取り組むことができるということも、同時に考えなければならない課題だと思います。」と問題提起しました。

流出する化石エネルギー費用を地域に回すことについて。例えば、松本市のエネルギー代金の流出は458億円/年(田中資料)だそうで、住民参加型・地域内事業で仮に再生可能エネルギーを10%増やすだけで、45.8億円が、地域内経済に貢献するということになります。これは大きなインセンティブになるのではないでしょうか?

また、長野県では循環器系疾患による死亡率が高く、医療費も高くなっている。その原因はヒートショックで屋内の温度の寒暖差が原因の一つになっているので、高断熱・高気密の住宅を建てると健康寿命を延伸することができる。これも重要なインセンティブになります。

こうした気候変動対策が人口減少社会において多面的な効果が期待できる実例を積み上げていくことが今後の課題であり、県民をその気にさせる方策が条例をつくった議会にも求められています。

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