○ 中川委員 よろしくお願いします。昨年度に続きこの11月に大きな補正予算が組まれて、その利点というか、できるだけ早く契約ができるというようなことがあろうかと思いますし、最初、部長からの御挨拶の中にも、そういった趣旨の挨拶があったかなというふうに思います。
ただ、進めていく上でも、先ほど小池委員からもお話がありましたけれども、建築資材の高騰、人件費の高騰などがあって、なかなか工期に間に合わないというようなことが今後十分考えられます。
スライド条項にしても、それから資材の高騰、人件費の高騰などがあった場合に、その当初予算よりも膨らんだ分というのを、大きなものについてはその度に補正で、契約に関わるものだったら出てきますけれども、逐次増えていくようなものについては、この予算執行上は、どのように資材高騰分だとか人件費の高騰分というのは吸収をしているんでしょうか。教えてください。
○ 笠原建設政策課長 価格高騰、人件費高騰を踏まえた予算措置の必要性等という観点かというふうに思っておりますが、一般的に申し上げれば、当初予算なり補正予算で一定の額をお願いをしてお認めいただいておりますので、価格高騰等があったとしても、その中で事業を執行するというのが一般的かと思います。
今回のように、今回の補正予算追加分につきましては、国におきましても価格高騰分等を配慮して予算を編成しているというふうに聞いておりますので、そういったものも踏まえての予算編成という、今回の追加補正予算についてはそういった考えもできるというふうに思っております。
○ 中川委員 今回はそういうことが見込みであると。では、この令和5年の当初予算なんかを立てたときから比べて、大分やっぱり資材とか人件費が上がっています。そういったものは、その当初予算の中で各事業に吸収されている、見込まれているというふうに考えていいんですか。
○ 笠原建設政策課長 例えば今年度中の急激な価格高騰等を、令和5年度の当初予算のときに想定して組んでいたかといいますと、そこは明確に色を分けて、これだけ価格が高騰するから、これだけ予算を余計に確保しましょうという形には必ずしもなっておりません。国全体の予算の伸びを見ながら県としても必要な予算を確保すると、そんなような考えでやっております。
○ 中川委員 そうはいっても、全体的に資材価格それから人件費が上がっているということで、全体の予算がオーバーしない限りは、この中でこなしていくというふうに考えていていいんですか。新たに、人件費が増えた、価格高騰したから補正予算を組むというような考え方は持っていない。全体の枠じゃなくて、各事業ごとにちゃんと組み上げていって今の事業が執行されているというふうに考えていいですか。
○ 笠原建設政策課長 基本的にはそのように考えております。
○ 中川委員 分かりました。ありがとうございました。いずれにしましても、本当に今回の価格高騰や人件費の高騰というものが、これだけの大きな予算を執行していく上で、足かせにならないというのは変な言い方ですけれども、遅延なく進んでいくように、先ほどこれも小池委員が言いましたけれども、ちゃんと労働賃金だとかへの対応だとか、そういったものをきちんとやっていくということが必要だということを改めて申し上げておきたいというふうに思いますし、この間、契約に関する条例の中で、私が申し上げてきた労賃の実態調査なり、そういったものがきちんとされて、次の施策につながっていくように、これはお願いをしておきたいというふうに思います。
それから、次は寿団地の建て替えのことについて少し聞かせていただきたいんですが、この絵にある建て替えエリアと再編エリア、それから集約エリアという言葉があるんですが、これはちょっともう一度どういう意味なのか教えてください。
○ 樋口公営住宅室長 寿団地の協働建て替えの関係でございますけれども、資料30の黄色く塗ってあるところは市営住宅で、寿地区に3か所ございます。青いところが県営住宅、県営の寿団地でございます。
松本市におきまして、市営団地の3か所をまず一つに集約するということを考えております。その集約箇所以外のところにつきましては、市営団地のほうは廃止をいたしまして、将来的に地区の有効な施策のほうにまた使っていきたいというような意向で、松本市が考えているものでございます。
県営団地につきましては、県営団地ももともと老朽化が進んでいまして、将来建て替えも必要だと私どもとしても考えていたところでございますので、この市の集約という動きと合せて、県営、市営の、ここでいきますと4か所にあります公営住宅自体をコンパクトな形で集約するというものが今回の協働建て替えでございます。
○ 中川委員 そうすると、例えば県営住宅の再編エリア、ここについてはどこが今後管理をする、考え方を整理していくんですか。
○ 樋口公営住宅室長 市町村での協働建て替え事業につきましては、基本的にこういった形で両方で面的な整備を一緒に考えるということを進めていますけれども、県営住宅の部分で建て替えを私どものほうが行ったときには、建て替え後、供用開始後25年経過しましたら、土地と住宅の建物と併せまして市のほうに移譲するという約束をさせていただいていまして、それを進めるものでございます。
○ 中川委員 確認ですが、この再編エリアは市営住宅と同様に空き地になるんですよね。再編エリアは。建て替えをしたときには、この建て替えエリアに建てられたものは「建替25年後に市営住宅として引受け管理運営を開始」と書いてあって、その再編エリアは県としてはどう使われるのかという質問です。
○ 樋口公営住宅室長 現在の県営住宅の建て替えに使う部分、面積以外の敷地につきましては、基本的に現在では県としてその後どう使うかということまでは決めてはございません。
当然、住宅が200戸ほど県営の敷地のほうに新しくなりますので、その横の敷地ということでございますから、松本市とも話をしていきながら、どのような利用が一番この地区にとってよくなるかというような視点で考えていきたいと思っております。
○ 中川委員 県外視察で大東市の「もりねき」というところを見に行きました。官民連携の住宅の建て替えということが行われていまして、商業施設や公園、そういったものが一体的に整備されて、人を呼び込む建て替え事業というものが行われていまして、これは非常にいい取組だなと思いました。
今回は県と市が絡む話で、どちらかというと市が主体的に動かなければいけないことかなと思っていますけれども、この寿団地も非常に古い団地で、当初は通路のところに商店街もあったんですが今は完全にシャッター街になってしまっています。ただ、高齢者も非常に多いので、やはり町全体をどうつくっていくのかということを、この建て替えの中で県と市と連携して、まちづくりという観点でぜひ御協力をいただければということをお願いをしたいというふうに思います。よろしくお願いします。
それから、道路管理の関係で一つお願いをしたいんですが、この間、道路の修繕の関係で1.4倍の予算を組んで、そしてまた9月でも補正を組んでいただきました。私も松本建設事務所の皆さんと様々な場所を見ながら、子供たちの通学路の安全確保だとか、様々なお願いをしてきたことがあります。
ただ、県警との関係がどうしても遅れがちになるんです。今回、県警の横断歩道の塗り直しの補正がついたので、これからかなと思うんですけれども、現場を見るときには、ちゃんと県警にも来てもらっているんです。なんですが、建設事務所のほうはちゃんと側線が白くなりましたとかなるんです。ところが、横断歩道だけがかすれたままになっている。
これはもうちょっと何とか連携を取って、きれいにするときは一斉にきれいになるようにならないものですか。質問になっていないかもしれませんが、お願いします。
○ 下倉道路管理課長 区画線の引き直し、それから横断歩道の塗り直しの関係でございますが、基本的には、それぞれの管理者が予算を確保しながらやっているという面がございまして、どうしても片方がきれいになっていて片方がきれいになっていない現場はございます。ただ、今お話がありましたとおり、住んでいる方は、そこを歩いて、横断歩道も通りますし外側線も通りますので、できる限りそういった施工が一緒になればいいと私も思います。
この辺のことにつきましては、各事務所にも、舗装ですとか区画線を引き直しするときには、交通管理者さんともよく話をして、調整できる範囲は調整するようにということで、また少しお話をしていきたいと思います。
○ 中川委員 県警の規制のほうに聞くと、順番があるんですと言われてしまって、ああ、そうですかという話になってしまうので、できるだけそういったときに県警とも十分な打合せをして、きれいにしていただきたいなということは要望しておきたいというふうに思います。
次に、砂防の関係のお話を少しさせてもらいたいと思います。
本会議の一般質問でも、垣内議員からかなり懇切丁寧な砂防のお話がありましたけれども、私もこの間、犀川砂防に行きながら、台風19号災害のときの筑北村の玉根沢を見てきました。今はやりのと言ったらいいのかよく分かりませんけれども、スリットの入った砂防堰堤が造られていました。
それから麻績村の土木遺産になっているところも見せてもらって、その土木遺産になっているような形状で新たな堰堤が造られている。これは結構難しい技術で、石をボルトで壁に留めていくんです。それで昔ながらの形状を造っていくというやり方で、非常に見応えのあるものでした。
それからもう一つは、県外視察で京都大学の防災センターに行ったんです。そこで砂防の流水のモデルがあって、堰堤とスリットと、それからもう一つすごかったのは、すだれ上になっていて、上から土砂が流れてくると水を全部下に吸い込んで土砂が完全にぴたっと止まる。これは見応えがあって、思わず歓声というか拍手が出ましたけれども、非常に砂防技術もいろいろ進歩しているなというふうに思ったところです。
それから、白馬村の平川の流路工に「はじめに砂防ありき」という碑があるように、本当に砂防の大切さというものはきちんと引き継がれていかなければいけないなと私も思っている者の一人だということを言った上で、決して否定しているわけではないんですが、少し質問させてもらいたいというふうに思います。
9月補正で、筑北村の栃平の砂防堰堤の基礎工事の補正予算が出てきました。これは認めたものということになりますけれども、今後、この砂防堰堤が、今ある20メートルを28メートルにしていくということの計画だそうです。
この28メートルにする経過について、私も一応勉強はしていますけれども、少し説明をしていただければありがたいです。
○ 吉村参事兼砂防課長 前回の委員会で、この栃平沢の砂防堰堤工事につきましては、工事の契約の変更の御説明ということで過去経過も若干触れさせていただきましたが、この栃平沢の砂防堰堤につきましては、平成7年度、国の補助事業の採択を受けて、砂防堰堤の整備に向けて手続を進めておったところでございますが、もともとの計画、高さ28メートルの規模で堰堤を整備するという計画に対して、平成16年、長野県公共事業評価監視委員会に、当時の県の財政状況等を踏まえて、高さを20メートルに、規模を縮小した案を成案として事業を進めたいということで方針の変更をさせていただき、御了承を得て堰堤の整備を進め、平成19年度に20メートルの高さの堰堤として完成をしてございました。
一方で、県内では、平成18年岡谷周辺での土砂災害、また平成26年には南木曽町梨子沢での土石流災害と、やはり雨の降り方の変化等も受けて土砂災害が発生し、大きな被害が生じておりましたが、この栃平沢も流域規模が非常に似通っているところでありまして、住民の皆様の御不安、地元の御要望、また、もともとの計画に対して平成16年度に一旦規模を縮小しているというところと、その近年に発生している今御紹介したような災害で生じた土石流の実態、それを勘案すると、やはり元の計画、28メートル規模での堰堤整備が必要ではないかというふうに思い改めまして、再度、事業評価監視委員会に元の28メートルで整備をさせていただきたいということで御説明をして、御了承を得て、現在28メートルの堰堤完成に向けて、もともとの既に一旦完成した20メートルの堰堤のかさ上げの事業を進めているというのが、ここまでの経過でございます。
○ 中川委員 私も平成16年の公共事業評価監視委員会の議事録、それから平成29年の議事録にひととおり目は通させてもらいました。要は、当初計画は1回の土石流と、それから山全体から出てくる土砂を抑え込むためには、28メートルの高さの堰堤が必要だという判断で事業を認可したと。しかし、その見直しの中で、山全体から出てくる土砂を抑えるのは当面置いておいて、1回の土石流である10立方を取りあえずは抑える事業に縮小をしたという経過だったと思います。
今お話がありましたように、南木曽町の梨子沢で土石流が1回で終わらないと。2回3回と出るということで、この栃平でも過去の災害でやはり2回3回と続く土石流が実際にあったんだと。だから元の計画に戻すということが必要だという、そういう経過だと思うんです。
少し聞きたいのは、2回3回と続く土石流の量と、当初計画をしたときの山全体から出てくると土石流の量というものは、これはイコールだというふうに考えているんですか。
○ 吉村参事兼砂防課長 厳密に言うと、恐らく20メートル相当の堰堤が対象とした一発の土石流、これは多分土石流形態で発生する幾つもの沢がある中で、恐らく一番大きな土砂量を抱えているところから一雨で出てくる土石流、これが10万立米だろうと見込んでいたと。
もともとのあと6万立米、16万立米というのが土石流形態なのか、土石流ではない状態でも水と共に土砂が出てくるのか。我々、古い時代には土石流対策とか水系砂防と言っていましたけれども、もう少し川幅が緩い流域でも雨に伴って土砂が出てくる。そうしたものも含めて、今、計画している位置で土砂を止めようというのが恐らく16万立米だったと。その中に10万立米が含まれる。
複数回の土石流というのが、一雨でもともと出てくるだろうと読んでいた以外の沢からも恐らく土砂が出てくると。そういう現象が梨子沢などでも現実に発生しておりますし、この栃平沢でも、昭和34年、台風に伴う雨だと思いますが、そのときに恐らく断続的に土石流が発生したというようなことを地域の方々がおっしゃっているということもありましたので、土砂量という意味で言いますと10万立米プラス6万立米で16万立米、これがもともと見込んでいた土砂量であって、そのうちの10万立米だけを取り出して途中段階の整備の対象としていたというのが実態だと。
○ 中川委員 そうすると、梨子沢のように2回3回と土石流が来るということは、今後、本当に3日間の雨量が400ミリというようなことが場所を変えながら長野県中で毎年起きているわけですよね。そういう中で考えたときに、土石流が2回3回起きてくるということを想定をして砂防堰堤を高くせざるを得ないという結論になったとすれば、全県の砂防堰堤に対して、2回3回と来る土石流を想定した点検というものが必要になるのか。あるいは、もともと砂防堰堤を造るときに、先ほど申し上げたように、1回の土石流と、それから山全体から出てくるものをそもそも想定して砂防堰堤が造られているのかというあたりを、少し説明してください。
○ 吉村参事兼砂防課長 なかなか難しいところではあるんですけれども、今、我々が砂防堰堤などを設計、整備する上で基準としております長野県の土木事業設計基準の砂防事業編というところで考えているものとしては、これは国の基準をもちろん参考にしておりますけれども、土石流に対する対応というものは、当然ながらある土石流を想定する沢からどれくらいの土砂が出てくるか、どれくらい崩れるか、どれくらいの水に土砂が乗っかって出てくるか、水の量から運べる土砂の量、こういうものを算定をして、どちらかに対応する施設を整備しましょうと。
土石流対策として整備する以上、そのほかの形態で出てきたり、周りから出てくる土砂までをカバーするというのは、これはなかなか経済的にも非常に難しいところがありますし、効率性の問題もございますので、必ずしも全ての山から出てくる土砂全部を受け止めるという効果量を期待して整備しているものではないというのが実態になります。これは別に今に始まった話ではなくて、かねてよりそうやってきております。
これは、先ほど来出ている複数回の土石流とか、あるいは発生のタイミングとか、なかなかそういうものを個別の流域でピンポイントに言い当てることができるような調査方法ももちろんないですし、一方で、過去にそういうことが起きたという実態があれば、それがいわゆる参考にすべき既往の現象だということで、設計の参考にすることは十分にできようかと思います。
これから先に、どこでも複数回の土石流が起きるというふうに考えて整備を進めるということはなかなか。今でも遅々として進まないところがありますけれども、さらに整備が遅れるというところもございますので、ある一定の現象に対する整備を優先して進めながら、過去に起きたことというのは当然踏まえて計画をしていくというのが、我々としては適当ではないかなと思っています。
全県的に複数回の土石流を前提にした施設整備をする。あるいは、そうやるための調査点検をするということについては、今の時点では考えておりません。今後、どのような土石流を我々が相手にすべきかというところは、調査技術とか災害の実態とかが明らかになってくる中で、もしそういう事象に対応すべきだというような技術基準ができてくれば、もちろん我々としても参考にしなければいけないと思いますが、現時点では、想定し得る土石流というものは、いわゆる一発の土石流ということで整備を進めていくという考えでおります。
○ 中川委員 少し整理をすると、栃平については、過去の土石流が2回3回あったということが改めて再評価の視点となったという理解でいいですか。
○ 吉村参事兼砂防課長 量自体は16万立米というところで改めて整理をしているわけですけれども、再評価の過程で、やはり過去に複数回の土石流が起きているということも加味して、その16万立米相当の堰堤にグレードアップすることが妥当だと判断したということでございます。
○ 中川委員 これが全ての砂防堰堤に共通するということではなくて、その栃平の過去の経験というものが今回の見直しにつながった、こういう整理だったということだと思います。
そうなってくると、そもそも平成16年のときにこの見直しがなぜ行われたんだと。そもそもそのときから16万立方ということを計画して当初の事業に上げておいたにもかかわらず、ここで20メートルの高さに下げざるを得なかった事情について、どのように考えていますか。
○ 吉村参事兼砂防課長 何が決定的かというところで言いますれば、当時の長野県政のトップに立たれていた方の方針もあったやに伺っておりますが、非常に栃平の堰堤は規模が大きいと。整備途上にあるという中で、一気に最終形まで持っていくというのは、財政的にも負担が大きいのではないかというような考えが恐らくおありだったのではないかと推察いたします。
そういう方針の中で、先ほど来出ておりますが、20メートルの規模で一旦は、暫定形と言いましょうか、完成とすべきということで事業評価監視委員会にもお諮りをした上で規模を縮小したというところでございます。
財政的な状況、あるいはその当時、その後に発生したような岡谷、梨子沢といったような同時多発的な土石流の発生というのが大きくクローズアップされるような状況になかったというところも要因ではないかと思っております。
○ 中川委員 確認ですけれども、そういった過去の公共事業評価監視委員会によって規模縮小がされた。しかし、その後の状況の変化の中で、もう一度見直しがされたという例はほかにもあるんでしょうか。
○ 吉村参事兼砂防課長 砂防事業で把握している限り、規模を変更する、特に縮小してまた元に戻るといったような経過をたどった事業はないと承知をしております。
○ 中川委員 そうするとここだけですね。ここだけが何でなったのかというと、今、課長から説明がありましたし、私も議事録を読む限りで判断をすると、やはり砂防事業として規模が非常に大きくて目に止まりやすかったみたいなところなのかなと思わざるを得ないんですが、今回の見直しの中で、改めてこの28メートルにしていくということを、平成29年の監視委員会の議論の中でも非常に過去の判断と。そして、今の判断というものをどう考えるのかという整合性が、なかなかこれは実際のところ取れていないんです。
ただ、幾つか砂防事業を進めていく上での論点は、まだ評価委員会の中からも出ていまして、例えば一つは今、河川でやっている総合治水です。当時、平成16年のときの公共事業評価監視委員会の中には栄村の高橋彦芳村長も入っていました。栄村の高橋村長いわく、要は通常の河川にある土砂は雪解けの水できれいに持っていってくれると。そうじゃなくて、やっぱり大事なのは山腹崩壊だと。これをどういうふうに抑え込むのかということもやっぱり大事な観点だと。林務の治山との連携です。
それともう一つは、総合土砂管理という考え方があって、やはり適切に土砂が海へ流れていくということがないと、海岸線がどんどん後退していってしまうという問題があって、この総合土砂管理と流域治水、これも流域治水と言うのかよく分かりませんけれども、山全体の管理ということも、総合的にこの砂防・治山ということの中で考えていく必要があるという問題提起がされています。
これに対して、県砂防課とすれば、どのようにこの間対応されてきたのか教えてください。
○ 吉村参事兼砂防課長 今、幾つかキーワードをいただきました。我々の砂防だけではない安全確保の取組として、今では流域治水と呼ぶような対策を関係者と協力しながら進めていくということになっておりますし、特に砂防関係事業は、もともと治山関係の事業とフィールドが近いところにあるというところで、過去からも連携協力しながらやってきたところでございます。
流域治水という意味では、我々砂防の領域は、どちらかというと流域の上流から中流にかけての部分になりますので、土砂あるいは流木、こういったものが下流の河川の断面を阻害したり悪さをして、そこから氾濫、浸水被害が生じるといったような現象が近年各地で起きておりますので、まず、上流域でできることとして、土砂を適切にカットする、あるいは流れてくる木をきちんとキャッチするというような施設整備というものが重要だろうと思っております。
その中では、砂防はどちらかというと流れてくるものを止めるという役割で整備をしておりますが、そもそも過去に栄村長がおっしゃったように山腹が崩れないようにするとか、土砂を出にくくするといったような治山関係の取組と上手に役割分担しながら、土砂また流木というものを下流になるべく有害な状態で流さないということが、これからますます必要になってくるかなと思っております。
また一方で、総合土砂管理、山から海までの土砂の動きということを意識した土砂のコントロールでは、長野県に4月から来て、長野県であまり総合土砂管理と私は聞かないなと。出口となる海が自分のところにないというところもあろうかと思いますが、一方で、一生懸命砂防堰堤を造った下流で、やはり川底が下がると。土砂供給が減って海岸線が後退することと関係があるんじゃないかというような流域が全国的には散見されます。
我々としても、透過構造の砂防堰堤、これはふだんの土砂の流れは許容しようと。一方で土石流とか大きな崩れを伴って出てくるような土砂、流木はキャッチをしようというところで言いますと、幾らかは配慮がなされているのではないかなと思いますが、いわゆる需要側、下流側でどれくらいの土砂供給が必要なのかといったところと、きちんとリンクを取りながらやれているかというところについては、十分な自信がないというのが実態です。
我々も、造ったら造りっ放しというよりは、周りの川の状況の変化とか、そうしたところにも目を配って施設整備を進めていければなと思います。
○ 中川委員 あと一つは、資料説明の中でもあったんですが、防災教育です。
結局、土砂災害警戒区域で様々な砂防をやったとしても、想定外の土砂災害は今までも起きている。そこで、逃げるということが必要だということで、私も高瀬中学でやった犀川砂防事務局がやった砂防教育も見てきましたけれども、非常に大事なことをやっているなというふうに思っています。
ただ、土砂災害警戒区域は長野県中にいっぱいありますから、全部がやれればいいというふうに思うのと、なかなかそれができていかないという現実があると思うんです。それと併せて、これはやっぱり危機管理との連携が必要かなと。台風19号のときの教訓として、逃げ遅れゼロということをやったわけです。単に土砂災害は危ないというだけじゃなくて、逃げ遅れをゼロにするためにはどういう行動をしなければいけないかということとやっぱり連携しないと、実際の災害から逃げ出すということができないというふうに思いますので、そこら辺の連携の強化について質問をして終わります。
○ 吉村参事兼砂防課長 御指摘のとおりだと思います。土砂災害は、現象としてはなかなか直面する機会が皆さんない。遭ってしまったら大変な被害が伴うというような現象でございます。
危険な区域として、今、土砂災害防止法で警戒区域を指定している区域も、県下で2万7,000区域を超えております。いつどこで起きてもおかしくない反面、土砂災害はどんな現象だろうというのをイメージすることがなかなか難しい方が多いのも事実でございます。
先ほど資料でも御説明しました防災学習、防災教育というところで、土砂災害とは何だろうと、どこが危ないんだろうと、それに対してどう備えればいいんだろうというのを一人でも多くの方に知っていただく。そして、もう一歩先に進もうと思えば、それに対して自分がどう行動する、判断するといったところにつなげていく必要があろうかと思っております。
全てのリスク箇所で、そうした取組がもちろんできることが望ましいですが、これは相当数が多いですので、我々も声かけをしながら、一回で多くの方に聞いていただけるような開催の仕方なども工夫してやっていきたいと思います。
また、他部局との連携という意味では、土砂災害だけに備えておけばいいということはなかなかないと思います。大雨が降れば川も危険な状態になりますし、避難場所までたどり着くためのアクセスルート、道路というところも、いろんなリスクが生じてくると思います。
砂防だけに特化した防災教育をしてもしょうがないというのはおっしゃるとおりで、危機管理の部局、あるいは我々が特に気にかけなければいけない災害時の配慮とか支援が必要な方々に関係する福祉関係の部局の方とか、そうしたところとの連携、地域におられる様々な方をどうやって逃がすか、助けるかといったところでは、多くの部署と連携して、目指す方向をそろえながらやっていくことが大事だと思いますし、土砂災害以外の現象に対する取組を我々もきちんと知って、理解して、人に説明をしていく、そうした取組が必要かと思っています。赤牛先生にも、そういう情報、知識というものをしっかり共有しながら取組をさらに広げていければと考えておりますので、また御指導のほど、よろしくお願いします。