沖縄県名護市辺野古沖でのオスプレイ墜落事故をうけて、長野県内での飛行訓練の中止を求めて長野県と意見交換をしました。
2016年12月27日
長野県知事 阿 部 守 一 様
長野県憲法擁護連合
代表委員 村 山 智 彦
オスプレイ墜落事故を踏まえたオスプレイの配備及び飛行訓練の中止に関する要請
県民の幸せ創造に向けた貴職のご健闘に敬意を表します。 さて、遂に恐れていたことが現実のものになりました。12月13日、沖縄県名護市東岸沖でオスプレイMV22の墜落事故が発生しました。さらに同日夜、別のオスプレイが普天間飛行場に胴体着陸する事故が発生、深刻な重大事故が重なりました。 欠陥機オスプレイの危険性を指摘し続けてきただけに、強い衝撃と恐怖心、そして怒りを禁じえません。 にもかかわらず、沖縄県内では、この重大事故の原因究明が全くなされないまま、飛行訓練が再開されています。許されざる暴挙です。国内で初めてとなるオスプレイの墜落事故は、政府や米国が強調してきたオスプレイの機体の安全性を根底から覆すものに他なりません。「不時着」を主張する日米政府の態度は、事態の危険度、深刻度を矮小化する姑息な対応といわなければなりません。米国・国防分析研究所(IDA)でオスプレイの主任分析官を務めたレックス・リボロ氏は、オスプレイが制御不能で墜落したとし、「ヘリモードで燃料を補給することができないという事実は、予期されなかった航空機の欠陥である」と述べ、オスプレイの新たな構造的欠陥を指摘しています。オスプレイの墜落事故は起こるべくして起きたとの認識に立ち、欠陥機である危険なオスプレイの配 の即時中止を政府および米国に対し迫ることが、オスプレイの訓練空域となる自治体にとって喫緊の課題となっています。沖縄・普天間基地に配備された米軍海兵隊MV22オスプレイは、沖縄県内での無法な訓練を続けるとともに、首都圏や滋賀県、北海道などでの訓練を拡大させています。米軍の新型輸送機オスプレイは開発段階から墜落事故が続く欠陥機です。故に全国知事会においても、住民の生命と財産の安全を守るため安全性への懸念を表明し訓練への警鐘を鳴らし続けています。県内では、MV22オスプレイの訓練ルートとして、岐阜県・新潟県との境を訓練空域とする「ブルールート」が設定され、墜落事故の危険とともに生態系の破壊も危惧されているところです。ブルールートにおけるオスプレイ飛行訓練は予断を許さない状況にあります。さらに、米空軍は横田基地(東京都多摩地域)に2017年からCV22オスプレイを10機配備するとし、昨年10月には米空軍による環境レビューを公表、この中で、CV22の訓練空域及び場所として、①長野・群馬・新潟3県の周辺空域(エリアH)、②青森県・三沢対地射爆撃場、③静岡県・陸上自衛隊東富士演習場、④沖縄県の訓練場の4カ所を設定していることを明らかにしました。全国では80を超える市町村が訓練空域となり、県内では、東北信地域の17市町村が該当するとされています。CV22は、空軍仕様のオスプレイで特殊作戦用に使用されている攻撃型輸送機です。MV22に比べ、夜間や低空飛行など、より過酷な条件で運用されており、最新の事故率ではMV22が10万時間当たり2.12件であるのに対し、CV22は7.21件と約3倍に及んでいます(防衛省発表)。さらに政府は、中期防衛力整備計画で2018年度までに陸上自衛隊に17機導入するとしています。CV22の横田基地配備により、墜落事故等による住民の生命の危険が一段と増すことになります。県民の不安は増幅しています。長野県においては既に、防衛省北関東防衛局に対し、自治体や住民への十分な説明を求めていますが、具体は一切明らかになっていません。オスプレイの低空飛行訓練・夜間訓練は、沖縄・辺野古新基地建設及び高江のヘリパッド建設と連動し、「沖縄の負担軽減」を名目とする全国展開、米軍と自衛隊の共同訓練の全国展開が図られ、日本国中を米軍基地化させるものとなります。私たちは、米国・米軍及び日本政府に対し、欠陥機であるオスプレイの国内配備の撤回を求めるとともに、MV22のブルールート訓練、CV22によるエリアHにおける訓練の中止を求めるものです。県民の生命・財産を守るという自治体の大義の下に、国及び米軍に対し主体的な取り組みを展開されるよう、下記事項について申し入れます。
記
1.今回のオスプレイの深刻かつ重大な墜落事故を踏まえ、訓練空域にあるとされる自治体の責任において、県民のかけがえのない生命と財産を守るため、オスプレイの配備及び飛行訓練の中止を国及び米軍に要請されたい。
2.今回のオスプレイ墜落事故の原因究明と情報開示を国及び米軍に対し求められたい。
3.オスプレイの訓練に関し、県においては既に、防衛省北関東防衛局等に対し、訓練の安全確保、日時、飛行コース等の情報開示や訓練空域の明確化、日米合同委員会における合意事項の厳守等を求めてきていますが、その詳細と国の対応、県としての課題について、文書をもって明らかにされたい。
4.前項の県の取り組みを踏まえた上で、改めて、下記事項について、地域住民の安全確保の観点から、国に対し情報開示を強く要請するとともに、開示された情報を速やかに住民に提供されたい。
① 訓練が計画される場合において、事前に日程及び飛行ルートの情報開示及び住民説明会の開催を求められたい。
② 政府は過去のオスプレイ墜落事故について調査し、その結論として「人為的ミス」との評価を下しています。しかし、その評価の後でもハワイにおける事故が発生しています。政府に事故原因を問いただすこと。また事故率算出に当たって基準の変更等が行われ、算出の信頼性が揺らいでいます。改めて、事故率算出の根拠を求めていただきたい。
③ オスプレイの施設区域外での飛行訓練は、日本政府が地位協定上の明白な根拠を示せないまま行われています。施設・区域外でもオスプレイの訓練が可能とする、自治体が納得できる法的根拠を求めていただきたい。
④ オスプレイに限らず、米軍航空機の飛行計画(フライトプラン)は、飛行前に米軍から日本政府(防衛省→国交省)に提出されています。フライトプランが事前に自治体へ開示されれば、オスプレイ飛行ルートの確認等が可能となり安全対策になります。フライトプランの自治体への事前開示を求めていただきたい。
5.「通常、米軍の施設及び区域内においてのみ垂直離着陸モードで飛行」するなどを定めたオスプレイの飛行に関する日米合意(2012.9.19)が守られていない事態が多数起こっています。そのことを裏付けるように、米軍普天間基地のC・ディマース航空安全担当官は2015年6月、「いかなるモードでも飛行できることが安全な飛行運用である」と発言し、日米合意で定められた制約に拘束されないことを米軍として表明しています。飛行基準に関する齟齬は大変重大な問題です。最初の日本国内配備にあたっての前提である日米合意が守られるのか否か、国に質していただきたい。また、この合意は普天間基地以外の基地配備にも適用される基準か否か、国に質していただきたい。
6.ブルールート訓練及びエリアH空域の訓練に該当する市町村と連携し、対策会議等を設置し、市町村間の情報共有、事故等に対する危機管理対策(初動態勢を含め)の確立を図られたい。
また、既に取り組まれているオスプレイの飛行目撃情報の収集について、県民に改めて周知されたい。
以 上