1,長野県知事選挙この間の経過
参議院選挙後、7月21日(木)告示、8月7日(日)投票で長野県知事選挙が行われます。5月17日現職の阿部守一氏が4期目の立候補を表明しました。社民党長野県連合は、田中県政、村井県政後の長野県のかじ取りとして、当時民主党と共に阿部守一氏の擁立に関わり、自民党推薦候補、共産党推薦候補とたたかい僅か5,000票差で競い勝ちました。その後の選挙で自民党や公明党が相乗りをしてきましたが、「政策協定」を結び推薦をしてきました。
2,前回、県知事選挙政策協定に基づく検証
(1)憲法観について
これまで、議会の場で、議員の質問に答える形で、再三再四「現行憲法の基本的理念の堅持、公務員としての遵守義務」について表明しています。
(2)県民生活最優先の基本姿勢
この4年間は、2019年台風災害、2020年から今日まで続く新型コロナへの対応という未曽有の事態が続きました。社民党県連合は、2019年台風19号の際にはその日のうちに対策本部を立ち上げ、各総支部・議員からの情報を長野県へつなげるとともに、2度にわたり県知事へ要望書を提出し、ともに対策に当たってきました。また、新型コロナ対策についても、2度知事に要望書を提出して同様に対策を行ってきました。
この間の、災害や新型コロナへの阿部知事の対応は、県民の命と暮らしを守るためにその先頭に立ってきたことは評価できます。
(3)契約条例に基づく労働者の賃金水準の引き上げについて
長野県建設労働組合連合会や連合長野、県職労とともに、「長野県の契約に関する条例」に基づき、賃金引き上げに向けて、実効性ある施策の推進に取り組んできました。労働力不足などを背景に、国の設計労務単価は大幅に引き上げられてきました。一般的に「公契約条例」は、設計労務単価の8割~9割を労働者に支払うことを約束した事業者と契約を行うものです。長野県の施策でも、設計労務単価の9割を支払う事業者には総合評価で加点をする試行を行ってきました。試行のなかで、熟練労働者とそうでない労働者も一律とはいかないことや、事業者にすれば、自治体の仕事だけで賃金を払っているわけではないことなどが、課題として明らかになってきました。そこで、現在は建設キャリアアップシステムを導入し、経験に応じたキャリアを認定しています。課題は、賃金水準の引き上げに向けキャリアに応じた標準賃金を紐付けすることです。
(4)若者や非正規労働者の賃金・処遇改善
新型コロナの影響をまともに受けた学生や非正規労働者への支援は、ジョブサポや緊急就労支援事業が行われてきた。ジョブサポでは2100件の求人開拓を行い、1984人の求職者のうち722人が就職、うち334人が正規雇用であった。緊急就労支援事業では292件の実績がありました(いずれも3月末の数字)。
長野県の2022年3月の有効求人倍率は1.45倍で、決して低いわけではないが、建設業・製造業・福祉介護事業・農林業などの分野で人手不足の状態が長く続いていることから、職場の労働条件の改善と資格取得などのキャリア形成をさらに支援していく必要があります。
(5)生活困窮者対策、給付型の奨学金の拡充、子どもの貧困対策の具体化
新型コロナの影響により、生活困窮者への支援として特例貸付が行われてきましたが、生活の立て直し、就労につなげていかなければ借金が増えるだけです。生活保護世帯数は、コロナ以前の2019年9011件が、2021年9106件に増加しています。内訳をみると高齢者世帯、母子世帯、傷害・傷病世帯があまり変化はないが、その他世帯が96件増えています。
子ども貧困対策として、家庭教育支援、ひとり親家庭への就業支援、通信高校サポート校等就学支援補助金事業、子どもカフェ設置支援、」フードドライブ支援、大学生への食糧支援などが行われてきました。
生活保護世帯の子どもの大学などへの進学率が、長野県は全国でワースト1の11.1%で、1位の大阪は45%と格差が大きい実態があります。生活保護世帯で大学などに進学した子どもは支給の対象から外れるため、近くに大学がないことなどが格差の原因として考えられています。
(6)再生可能エネルギーの地産地消化
2021年に策定された長野県ゼロカーボン戦略では、再生可能エネルギーを2020年度までに2倍増、2050年度までに3倍増、最終エネルギー消費量を2030年度までに4割減、2050年度までに7割減としています。2030年までが「人類の未来を決定づける10年」と言われ、重点方針、分野別施策が示されています。
課題は、実現に向けた県民・事業者の意識付けであり、「信州環境カレッジ」「信州つばさプロジェクト」「サステナブルNAGANO共創プラットフォーム」が、ダイナミックに動き出すことであり、すべての県機関が連携して第一義的に取り組む課題とすることです。
(7)公共品種を守り育てる条例
2019年6月定例会で「長野県主要農作物及び伝統野菜等の種子に関する条例」が制定され、2020年4月から施行されました。あわせて多くの県民の皆様から不安の声をいただいていた「遺伝子組換え作物の栽培に関するガイドライン」を作成。また種苗法改正にともない、長野県農業試験場が育成した登録品種の海外への持ち出し禁止方針を策定、この中で、県内で栽培する場合には原則として自家増殖を可とし許諾を不要とする方針を全国に先駆けて打ち出しました。
今後、「遺伝子組換え作物の栽培に関するガイドライン」の対象にゲノム編集作物を加えることや、減農薬減化学肥料の環境にやさしい農業や有機農業の大胆な推進、ゼロカーボン戦略の一環として学校給食への有機農作物の提供などの推進に取り組むことが課題です。
3,今期長野県知事選挙方針
今知事選挙前に、与野党が参議院選挙を戦っていることから阿部守一氏から政党への推薦要請は行わない旨連絡がありました。社民党県連合は7月1日、県労組会議及び長野県建設労連とともに政策要望書(別紙)を提出し阿部氏と意見交換をおこない、社民党県連合が要望する「憲法を守り、県民生活最優先の県政を行う」ことが表明されたことから、社民党県連合として「阿部守一氏を自主的に支援する」ことを決定しました。
(別紙)
2022年長野県知事選挙にあたっての要望書
7月21日告示、8月7日投票の長野県知事選挙にあたり、社会民主党長野県連合として下記の通りご要望を申し上げますので、公約などに取り入れていただければ幸いです。
記
1、現行憲法を遵守し、憲法を自治と暮らしに活かし、平和で民主的な県政を築くこと。
2、県民生活最優先の基本姿勢のもと、景気・雇用・福祉・医療・環境・農林業・教育・人権政策を重視した施策をさらに推進すること。
3,当面する、物価高への対策をさらに講じられること。
4、県民の生活と雇用を守り、格差是正のため、以下の施策を推進すること。
(1)総合5か年計画策定にあたり、県が市町村や県民との協働、共創の機会を拡大すること。
(2)県職員の適正な人員配置と健康管理に配慮すること。
(3)「長野県の契約に関する条例」施行から再来年で10年を迎える中で、条例に基づく施策の展開について検証を行うこと。とりわけ長野県発注工事従事者の賃金水準等の調査を行うこと。あわせて、建設キャリアアップシステムへの登録数の拡大に向けた支援を行うこと。また、キャリアに応じた標準賃金を紐づけするなど具体的な賃金上昇につながる施策についてさらに検討を行うこと。
(4)働く者の立場に立った働き方改革をすすめ、長時間労働による過労死・過労自殺を撲滅する施策を行うこと。
(5)自家用車に依存しない移動手段の確保を図るため、公設民営の拡大についての検討も含めて、公共交通維持・存続に向けた取り組みをさらに進めること。
(6)若者や非正規労働者の賃金・処遇改善など、県民の所得向上に引き続き努力すること。
(7)子どもの自殺ゼロに向け原因の調査と対策の強化を行うこと。また、ヤングケアラー問題を解決するため、相談支援体制をつくること。生活困窮者対策をさらに進め、給付型の奨学金の拡充など、子どもの貧困対策をさらに進めること。
(8)原発エネルギーに依存しない社会を目指し、県民意識の醸成を図り、再生可能エネルギーの地産地消を公共インフラとして大胆に進めること。CO2の吸収源である森林を守り育むこと。
(9)地球温暖化対策としても、環境にやさしい農業、有機農業を進めること。学校給食への有機農産物の提供の拡大につとめること。
(10)化学物質過敏症、香害、電磁波過敏症などへの対策を行うこと。
(11)長野県として同性パートナーシップ宣誓制度の導入を検討すること。
(12)必要に応じて、政策協議を行うこと。
以上