私が所属する長野県議会第2会派の「改革・創造みらい」は新年度予算編成と当面の県政課題について知事要望を行いました。
主な要望は以下のとおりです。部局の要望は会派のホームページに掲載された際ご案内いたします。
令和2年度予算編成と当面の課題に関する提案書
阿部知事におかれましては、県民生活向上のため日々ご尽力をいただいており、また、この度の台風被害や豚コレラ対策に全力で対応をいただいていることに敬意を表します。さて、人口減少・高齢社会の一層の顕在化、そこに追い打ちをかけるかのような今回の未曽有の災害は「しあわせ信州創造プラン2.0」の推進に大きな影を落としています。知事の力強いリーダーシップのもと、早急な復旧・復興に取り組むとともに、「しあわせ信州創造プラン2.0」を一層推進し、県民起点での学びと自治の推進強化を図らなければなりません。そこで、令和2年度の当初予算編成作業が本格化する時期を迎えるにあたり、「改革・創造みらい」として、会派に寄せられた県民の皆様のご意見やご要望を踏まえ、予算編成と当面の県政課題等について下記のとおり提案いたします。ご検討の上、対応されますよう申し入れます。
Ⅰ 台風19号災害を踏まえて
1 県民の日常生活が一刻も早く取り戻せるよう復旧・復興対策に積極的に取り組むこと。特に、総合リハビリセンターやクリーンピア長野の早期の機能回復に努めること。また、公共施設や公共性の高い施設の災害復旧に対し、国にさらなる支援要請を行うとともに、市町村支援にも積極的に対応すること。
2 被災地における商工業、農業、観光業等産業の復旧・復興については、国の支援を十分に活用しつつ積極的に支援すること。
3 千曲川・犀川・天竜川のいわゆる「中抜け区間」を解消し、国による流域一貫管理を国に強く要請すること。また、「千曲川河川整備計画」については、今回の災害に対応する計画の策定と迅速な実施を国に強く要請すること。
4 県管理河川の内水対策や治水安全度の向上についての統一的な考え方を明らかにすること。
5 今回の災害の検証を確実に行い、市町村や関係団体、NPO等との連携強化に努め、「広域受援計画」や「地域防災計画」に反映させること。具体的には、行政機関における情報の共有や住民への周知、ハザードマップ運用などのソフト対策、避難所のあり方、住居の確保、災害ごみの県内外での連携協定、技術職などの職員体制について十分な対応を進めること。
6 医療機関や介護・福祉施設の災害発生時における避難計画や安全対策に積極的な支援を行うこと。
7 長期に及ぶ停電や断水等を未然に防止するため、ライフラインに係る安全対策を市町村と共同で推進すること。
Ⅱ県政全般について(基本的な施策)
1 予算編成にあたっては、選択と集中により真に必要な事業に予算配分し、総合5か年計画を着実に推進するとともに、事業改善制度の結果や議会決算審査指摘事項を十分に反映すること。また、翌年度、改善成果の検証を実施、公表することにより、さらなる改善につなげること。さらに、予算編成過程の透明化を引き続き推進するとともに、一般質問等での議員提案への対応状況や各種計画の目標と予算との関係を県民に分かりやすく示すこと。
2 地方交付税制度の堅持をはじめ、地方財源の確保を国に強く働きかけること。特に、地方交付税算定にあたっては、条件不利地域等、地域の実情に配慮し、地方交付税の財源保障機能が損なわれないように働きかけること。また、特例的な措置である臨時財政対策債の廃止を図るとともに、これまで発行された臨時財政対策債の償還財源を確実に確保するよう求めること。
3 消費税10%導入後の状況把握を徹底して行い、非正規労働者対策や中小企業対策など、依然として厳しい状況が続く地域の雇用情勢や経済実態の改善に向け、低下が続いている実質賃金の底上げとともに産業の育成策や企業誘致等、雇用と県税収入に好循環をもたらす「経済活性化対策」としての予算とすること。
4 「働き方改革」にあたっては、「ワークライフバランスの実現」と「幅広い女性の活躍」に主眼を置いた施策展開を一層推進し、「県就業促進・働き方改革戦略会議」のさらなる充実を図ること。男性育児休暇については、県職員が引き続き積極的に取得し範を示すこと。また、県が目指す働き方改革の内容や目標値を策定し、県内企業に発信するとともに、指導・フォローを行う体制整備を図ること。
5 国内で多発する災害の経験に学び、今後予想される南海トラフ地震や内陸型地震、地球温暖化による気候変動への備えから、「地域防災計画」の具現化によって防災対策を推進し、県民の安全・安心な暮らしを守る取組を徹底して行うこと。また、原発事故を踏まえ、引き続き放射線量の測定、農畜産物の安全の確保対策をきめ細かく行うこと。
6 「しあわせ信州創造プラン2.0」の重点項目のうち、合計特殊出生率や労働生産性、県民一人当たりの家計可処分所得の向上など進捗が思わしくない項目については、現状分析を行ったうえで有効と考えられる施策を展開し、人口減少・高齢社会に的確に対応すること。
7 地域振興局が設置されて3年目となるが、これまでの状況を検証し、地域振興推進費の拡充をはじめ、地方分権の実を挙げるよう積極的に取り組むこと。さらに、引き続き市町村への権限移譲を進めること。
8 「第3次教育基本計画」や高校改革・学びの改革の推進にあたっては、必要な予算措置を講ずるとともに、関係部局や市町村教委、教育現場、児童・生徒、保護者の意見を教育施策に十分に反映させること。
9 リニア中央新幹線の建設にあたっては、環境影響等への県民の不安を払拭するよう引き続き適切に対応すること。また、県が先頭に立って、関連道路等の整備やリニアを活用した中南信地域の振興に引き続き積極的に取り組むこと。
10 親の妊娠出産期から子どもの社会的自立まで切れ目のない支援に努めるとともに、子どもの貧困対策や子育て家庭・障がい者への支援等に積極的に取り組み、社会から誰一人取り残すことのない「温かな行政」を実現すること。また、制定に向け進めている「県障がい者共生社会づくり条例(仮称)」については、障がいのある人もない人も誰もが暮らしやすい地域社会となるよう、情報・コミュニケーションにも十分配慮し真に実効性の伴う条例とすること。
11 県民の県政への信頼回復を図るため、大北森林組合の補助金不適正受給事件については、組合からの補助金返還等に関し厳格な債権管理等に努め、県民負担の早期解消を図るとともに、県民に情報開示を確実に行うこと。
12 制定に向け準備が進められている「公文書管理条例(仮称)」については、県民の信頼を確かなものとする基盤として情報公開に資するものとし、併せて人材育成に努めるなど実効性を高め仕事改革にもつながる条例とすること。
13 同和対策については、「差別解消推進法」に基づき、十分な予算措置を講じ対策を推進するとともに、法の趣旨を踏まえ具体的施策推進のための条例制定に向け検討を開始すること。加えて、あらゆる差別を許さない人権教育を推進すること。
14 県議会として「環境政策基本条例(仮称)」の制定を目指している折、「持続可能な社会づくりのための協働に関する長野宣言」の着実な実行を図ること。
15 更に拡大が懸念される豚コレラについては、国や感染確認県との連携をより密に、イノシシへの防疫対策や飼育豚へのワクチン接種の徹底、接種豚肉の販路確保対策を確実に推進すること。また、信州ブランド豚の再確立のため、県畜産試験場の早期完全復旧に積極的に取り組むこと。
16 条例制定等の議員提案を増やすなど、議会活動を活発化させるため、議会事務局に法制執務担当の専門家を配置すること。
以上