八丁味噌。どて煮や味噌カツなどに使われ名古屋味の中核をなす調味料です。私は名古屋に近いところに済んでいることもあり、この八丁味噌系の味は大好きです。伝統製法を守る八丁味噌の老舗2社は愛知県岡崎市の八丁町に蔵を構えていますが、実は八丁味噌というブランドに関してわけのわからない問題が起こっていました。
当の老舗のひとつの大将ととある会合で知り合いになりこの問題を知ったのですが、かいつまんでいうと八丁味噌の大元である江戸時代からの老舗が八丁味噌というブランドが今後使えなくなるという話でした。本物がニセモノになるというなんとも奇妙な話です。
八丁味噌というブランドは国の地理的表示(GI)保護制度により愛知県の地域ブランドとして、名古屋市に本部がある別の組合の申請に基づき2017年登録にされたそうです。
一見何の問題もなさそうですが、登録を申請をした組合が作る八丁味噌は伝統製法ではなく簡易的製法の品なので、岡崎市の老舗から言わせると製造法が異なるので申請を取り消すように求め裁判も起こしました。その申請は法理論で武装されていたのでしょう、裁判は老舗側の敗訴に終わりこれにより2026年2月以降は八丁味噌のブランドを使えなくなったという誠に奇妙なことになりました。正しいことや当然のことというだけで法律は守ってくれないという事象の典型的な例だと思います。
地理的表示保護制度の趣旨からすれば第一義的に守らなくてはならないのは伝統的な製法を守って八丁味噌というブランドを確立した岡崎市の老舗のはずですが、多分愛知県の他業者と結託した政治家→農水省がやっちまったことなんでしょうか、知らんけど。
農水省のHPには「 農林水産省は、本制度によって、国内外における模倣品対策によりGI産品の名称・ブランドを保護する」とありますが、このままでは本家の老舗が模倣品となってしまうところでした。要するに農水省がいい加減だったからということにつきるでしょう。
今回老舗2社は組合を作りその組合が地理的表示(GI)保護制度の地域ブランドとして生産者団体に農水省に追加登録ました。それにより老舗2社は八丁味噌というブランドを名乗ることができるようになりました。取りあえずはめでたしめでたしです。