リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

較べてはいけない!(2)

2025年01月16日 15時02分08秒 | 音楽系

クラシック・ギターの神様?のアンドレス・セゴヴィアと同じ年代のギタリストで、アウグスチン・バリオスという人がいます。

私がギターを弾いていた当時(70年代の初め~1974)のアマチュアやギター教室の先生たちはこの二人を双璧を成すものだと見ていたように思えます。あくまでも私の印象ですけどね。

片やパリの楽壇で確固たる地位を築き、当時の著名演奏家、作曲家とも親交のあるギタリストが南米パラグアイの田舎でポップスまがいの曲を作曲・演奏していたギタリストと比較されるのもおかしな話ではあります。

当のセゴヴィアもバリオスのことなんか歯牙にもかけていなかったようです。そりゃそうでしょう。ルーセル、タンスマン、イベール、テデスコなど当代一流の作曲に作曲を依頼して演奏、あるいはバッハとかハイドンなの古典楽曲を編曲演奏をしてギターの価値を高めようとしているギタリストにとって、「なんで田舎ギタリストと私が較べられんとあかんの?」という感じだったんでしょう。

私自身の短いギタリスト期ではバリオスの作品に全く食指が動かず、コンサートで演奏することもありませんでした。大聖堂という曲がバッハへのオマージュだ、と言っている人もいましたが、どこが?という感じでした。でもアントニオ・ラウロのベネズェラ・ワルツ第3番を演奏していましたから、もう少しギターを長く弾いていたらバリオス作品を弾いていた可能性もあるかも知れません。