リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

芸術

2005年05月18日 02時15分40秒 | 日記
最近日本の街でもあちこちで見られるあの目障りな落書き、やはりバーゼルにもあります。少し前のことですが、高架道路のしたに張っていた蔦を作業員のおじさんが落として壁面が露わになったとたん、翌日にはちゃんと意味不明のアルファベット落書きが描かれていました。描くことができる場所を虎視眈々とねらっているわけですね。描く方は、のべつまくなしにというわけではなく、一応彼らなりのルールがあってそこに描いているみたいな感じはしますけど、古いローカル列車の側面に描かれていたりするのを見ると、やはりもうちょっと公徳心を持てよな、って言いたくなります。

でも中には結構いけるのもあって、特にバーゼル駅近辺に描かれているのはなかなかのものもあります。列車から見ることができるそれらの落書きは、多分毎日何万人という人が見るわけで、そこは「一流」の「落書き師」しか描かせてもらえないのかも知れません。一般に芸術というと高尚なものだと思われる向きもありますが、どの分野でも二流以下の底辺を支える芸術家がいっぱいいて、その上に一握りの超一流芸術家がいるというのが実相です。ですから、ほとんどの芸術と称しているものはクズみたいなものばかりです。でもそのクズがあっての一流芸術ですからね。クズはクズなりに重要な役割を果たしているわけです。という視点で、件の落書き全体を見ると、まさに芸術の構図そのもの。うむ、50年後には確実に保存運動が興って市の文化財になるのもありそうです。

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