リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

音楽を始めたころ (3)

2005年05月17日 19時51分04秒 | 随想
 私が中学生になった頃は、世はいわゆるギターブームのまっただ中だった。素人ながら結構小器用な父親は、ヴァイオリンのみならず、ギターも少し弾くことができた。いつの間にか父親はギターを教え始めていて、何人かの「生徒」が家に出入りしていた。家は既述のように写真屋をやっていて、小さな写真スタジオがあったが、そこがレッスン場になっていた。私は内心楽器を弾いてみたくてたまらなかったのだが、ヴァイオリンのときのことがあるので、無関心を装っていた。その「ギター教室」は2年も経たないうちに生徒は来なくなってしまったが、その頃なんかのきっかけでギターを弾きたいという意志を伝えることができた。それがどういうときだったかはもう覚えていないが、父親は喜んでくれた。ただ、最初に簡単な手ほどきをした以外は、ヴァイオリンのときのようなレッスンはなく、時折演奏を聴いてくれるだけだったがそれで充分だった。既に楽譜を読むことができ、弦楽器の基本的な感覚は身につけていたので、ギターの奏法はほとんど抵抗なく身につけることができた。

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