日経新聞につぎのような問い合わせをしています。
【10月9日(水)朝刊掲載の「絵画に宿る古楽器の調べ(6)フェルメール「ギターを弾く女」」についてですが、解説文には4コースギターのことしか書かれておらずこの記事を読んだ読者は、描かれている楽器は4コースの楽器だととってしまいます。しかしフェルメールの絵に描かれているギターのヘッドのペグ穴を数えるとこの楽器は5コースの楽器だということがわかります。また時代的にも当時はすでに5コースの楽器の時代です。音楽史の泰斗であらせられる筆者の先生がこのような初歩的なことをご存じないとは思われず、何か意図があってのことかお伺いしたい。】
この記事に関する誤謬は先生の思い違いか勘違いかもしれないですが、低レベルな話にならないよう願うばかりです。今のところ回答はありませんが。
さてついでと言ってはナンですが、せっかくこのフェルメールの絵の話になったので演奏家視点でこの絵をもう少しじっくりと眺めてみましょう。
この指はFmのコードを押さえようとしている感じですが、3コースのラ♭に1の指あと一歩が届いていません。これから届くところを描いたのかもしれませんが。
そもそもこの楽器、ネックの黒檀部分の弦と胴体から来ている弦がつながっていません。こんな楽器はありえませんよね。おまけにネックに描かれた弦を長く描き過ぎたのか、ポチっと出てしまっているように見えます。丸のところをごらんになってください。あとネックと胴体の接合部の湾曲もなんか少し変です。(1コース側)
楽器的視点から見ると全体的にこの絵の描き方は雑なように感じます。はじく部分の弦の描き方が曖昧だし。美術家の中には、弦が振動しているのを描いたのだとおっしゃる方もいるようですが、いくら何でも弦はそんなベランベランには張られていません。それは弦楽器を全くご存じない方の説です。
あと楽器全体から受ける印象はネックが妙にそっているように見えます。
まぁそういう楽器だったのかもしれませんが。
美術史家の評では、この絵の評価はあまり高くないそうです。顔の描き方や服の描き方などからそう評価されているようですが、楽器の描き方もかなり雑です。
そう思うと確かに雑に感じてくるものです。
ネックが反ってるように思えますよね。
当時の画家は、楽器を描くとき、どれほど精密に描くものなのでしょうか。
ロゼッタの模様、彫刻、模様の様子、弦のフレットなど、人によりけりでしょうか。
まさに生き証人たる最も伝わる物が絵しかないのですから、超精密な写しであってほしいと願いたいものです。
結局、あのヘッドの白い点のような6つの印は何なんでしょう?
先日の私の想像を述べましたが、調弦の目安として、この女性が付けたものでしょうか。だとすると目で確認しないと間違うほどの腕であれば、そうベテランでもないのかな。
想像を掻き立てられる絵ではありますね。