リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

続)初めてDAPとDACをBluetoothでつなげる

2024年08月21日 20時28分31秒 | 音楽系

使われている機材をよく見てみると、最近買ったDAC、DAP、ミニWindowsコンピュータは全て中国の深センや広州のメーカーです。

アンプはLuxmanで日本製ですが、2002年購入。これまた日本のデノン製のCDプレーヤーは2012年購入です。

ネットのサブスクサイト(NaxosとかSpotifyなど)の音楽をスマホなどで聴くのは一般的でしょうけど、そこそこのオーディオシステムに繋げて聴きたいという人もいると思います。私もその一人ですが、そのためにはコンピュータと、コンピュータからのデジタル信号をアナログ信号に変えてそれをアンプに流してやる機器=DACが必要です。最近のDACはアンプ付きのものもありますが、私の場合はアンプは旧来のLuxmanを使いますのでアンプ付きは不要です。(ちなみに仕事部屋ではTEACのアンプ付きDACをデスクトップとUSBで繋ぎ、DALIのスピーカーで鳴らしています)

始めは日本製のDACを探したのですが、製品自体が少なくしかも高価でした。このシステム専用のファンレスで超小型のコンピュータを探しましたが、そのジャンルでは日本製は皆無です。オーディオで使うものですので、無音であることは必須、ただネットに繋ぐだけなのでスペックは最小限で構いません。

ということで探したのがTOPPING D90LEとMeLE Quieter3Cでした。この2つに限っていえば中国製なのですぐ壊れるというのはあてはまりません。購入したのは2022年の12月ですが、全く故障せず黙々と仕事をこなしています。

DAPの源流はSONYのWalkmanでしょうけど、さすがにSONYはまだこの分野で頑張ってはいますが、現在作っているメーカーは中国、韓国が大半です。

オーディオ製品はかなり長いサイクルで使うものですが、私のリビングルームのラックはここ30年間のエレクトロニクス分野における日本の凋落を表している感じがします。ちなみにスピーカーはHarbeth Compact 7(1995年購入!)、テレビは元東芝REGZA※、コンピュータ周辺機器(トラックボール、キーボード)は中国メーカー製でここにも日本のものは見当たりません、残念ながら。

※REGZAは、中国ハイセンスグループのTVS REGZA株式会社が販売しているテレビ受像機の世界統一ブランド名。


初めてDAPとDACをBluetoothでつなげる

2024年08月20日 11時18分35秒 | 音楽系

ウチのリビングルームのオーディオ機器です。

上から、カバーがかかっているのがレコードプレーヤー Stanton T90 USB。一応LPレコードも聴けるようにしています。

その下の段、左がDAC(デジタル・アナログ・コンバーター)のTOPPING D90LEで右がWindows コンピュータのMeLE Quieter3Cです。この極小コンピュータはファンレスでその名の通り全く音は出ません。ただ小さいのに発熱がすごいです。このコンピュータはNaxos Music Library を聴くためのものです。Wi-Fiで家の中のネットワークに繋ぎ、モデムから光回線に経由でインターネットに接続します。

その一段下の段はPanasonic Digaでテレビ・チューナー付きHDレコーダー+DVDプレーヤーです。テレビ番組の録画はDigaで行っています。

このPanasonic とコンピュータは写真には写っていませんがテレビに繋げています。

Digaの下はLuxmanのアンプ、そして写真左下にチラッとカドが写っているのがCD プレーヤーDenon DCD-1650SEです。これはもちろん上の段のLuxmanに繋がっています。

昨年DAP (デジタル・オーディオ・プレーヤー)Tempotec V6を購入しましたが、これをこのリビングルームのDACにまだ繋げたことがないのでトライしてみました。

Bluetoothのペアリングをしてみましたが、これがなかなか上手く接続できません。やっと偶然みたいな感じで接続できたのですがどうも不安定。それもそのはず。D90LEにBluetooth用のアンテナをつけていませんでした。

アンテナをつけると今までがウソみたいに安定的に接続できるようになりました。まぁ当たり前ですが。(笑)

ついでにiPhone 14もペアリングしてV6と音を比較してみましたが、V6の方が音のリアリティがあり、iPhoneからの音はスピーカーの前に薄いベールが5枚くらいかけられている感じでした。どっかの回路が異なるからなんでしょうね。


BWV1006a(19)

2024年08月19日 22時01分39秒 | 音楽系

109-116小節

もうこのあたりになると「難場」は過ぎ去り、割合とリュート的に自然な音の流れになります。113小節目のバスの下線はオクターブ弦のみを弾くことを示しています。94小節目でも同様の弾き方を使いました。114~116小節目は3コースをシ♭にしたおかげで左指は多少楽になっていますが、3コースの張りが強くなった分、音が目立ちがちなので弾くときは注意が必要です。

117-124小節


できるだけリュート的なポジションにしたつもりではありますが、リュート奏者が作った曲と比べるとこれでもまだ弾きにくいかも知れません。サウンドとしてはとてもリュートっぽいのですが。


成金

2024年08月18日 15時04分46秒 | 日々のこと

お昼に鑑定団の再放送を見ていましたら、1500万もする絵画をポンと購入した方が出演されていました。司会者とのやりとりを聞いていますと、その方は絵には全く関心がないみたいで、1500万というお値段に興味があるみたいでした。鑑定結果は購入額をはるかに上回る2500万と出ましたのでその方は大満足でした。こういうケースを表す言い方に「猫に小判」とか「豚に真珠」なんてことばが日本にはありますが、その御仁には正にぴったりです。

名古屋の某ホールは飲食チェーンで財を成した方が作られたクラシック音楽用ホールですが、私の印象ではあまり上手なホール作りとは言えないです。200席くらいのホール天井に幅1メートルくらいの溝がホール後方から前方に向かって切ってあり、それが上に抜けています。そのせいでステージで聞こえるはずの音の何分の1かは上に抜けてしまい、客席からは何か遠いところで演奏している感じに聞こえます。どうしてこのような設計にしたのかはよくわかりませんが、その財を成した方があまりよくわかっていなくて監修を頼んだ人に問題があったのではと思います。もったいない話です。

もっとも設計した人にはその客席における音抜け問題を認識していたようで、実はこのホールのステージ上方に小さなマイクがありステージの左右からその音を流せるようになっています。何かずれていますが。

ステージはもちろん反射板で囲われていて音が上に抜けることはないので演奏者側からのクレームはないようです。私も一度だけそこで演奏したことがありますが、音はよく全体に通っていた印象を受けました。

現代はますます富の偏在が拡大しているようですが、富を得た人はそれを社会に還元するべくきちんと学び鑑識眼を鍛えて社会貢献すべきです。鑑定団に出演していた御仁についてはとても鑑識眼を養えるような人物には見えませんので、この際きっぱりとその絵画をどこかの美術館に寄贈してはどうでしょうか。目利きでなくともそれなら社会貢献できます。


attiorbato の修理出来

2024年08月17日 20時34分16秒 | 音楽系

スウェーデンの製作家、ラース・イェンソンからメールが来て、attiorbatoの修理が完了とのことでした。このブログでも書きましたように3月に拙宅に到着したattiorbatoが輸送中の不手際で一部故障していて、4月に製作家に修理依頼のために楽器を送り返しました。

当時ラースはいくつかの仕事で手一杯で当面はエヴァンジェリナ・マスカルディの楽器の製作に追われていて、私の楽器の修理を開始するのは早くても秋頃だということでした。彼はいつも夏になると長い休暇をとるべくスタジオを離れるようですが、今年は諸般の都合で夏も休みを取らずスタジオにこもることになったそうです。その時間を使って私の楽器の修理をしていただきました。

スタジオは夏になると湿度が上がる場所にあるらしいですが、(それも夏になるとスタジオを離れる理由でしょう)今年はエアコンで湿度を45%に保って仕事をしていたようです。

14 course Liuto Attiorbato, based on Matteo Sellas. Venice 1641.( Barcelona collection).
Stringlength 640/ 900 mm. All single-strung

急な嬉しい知らせに驚きましたが、今すぐに取りに行くわけにもいきません。仮に取りにいっても塗装がまだ生乾きで、この最近の猛暑もあるので塗装に悪影響は必至です。秋の私のスケジュールから取りに行くのは11月の終わり頃になりそうです。それまでおあずけです。その頃には塗装も充分乾いているでしょうし、日本の気候も初冬に入りつつありますので楽器にはやさしい季節になっているでしょう。


暑い日には

2024年08月16日 21時13分21秒 | 日々のこと

当地ではかつてないくらいの暑い日々が続いています。8日から今日までの間で全国1位の暑さが2回、そのうち1回は40度超えの新記録です。2位が1回、ベストテン入りが数回、最低温度が高いランクで2位というのも1回ありました。もう35度を下回るだけで涼しいとさえ感じます。

台風の影響でまた明日もフェーン現象が起こって暑くなるみたいです。今日の夕方は風が吹いていてちょっと涼しげな感じがしないでもなかったですが、その風は湿った生暖かい風でした。

そういやその風は西風です。桑名では西風はフェーン現象がおこる風です。よく西風が吹けば桶屋が儲かるといいますが、桑名で西風が吹くとどうなるんでしょう。

桑名で西風が吹くと気温が上がり、体温も上がるのでみんな水を沢山飲みます。水を沢山飲みすぎるとおなかをこわします。お腹が痛くなったら医者にいけばいいものをそんな程度で医者にいくわけにはいかないということで薬屋に行って薬を買います。そうすると実は患者をあてにしていた三重県北部地方の医者は相当収入が減ります。医者が儲からないとこの地区では高級車が売れなくなり、四日市のポルシェ販売会社なんかは潰れてしまいます。四日市のポルシェ販売は日本全体ではかなり売っていてそういうところが潰れると日本のポルシェ販売自体が怪しくなってきます。そうなるとEUが日本に圧力をかけてきて日本は窮地に追い込まれます。それに便乗して米国やあろうことか中国までが日本製品ボイコットで日本に圧力をさらにかけます。そうなると日本の経済はガタガタになり円安、株安が進み大変なことになります。

ということで暑い日には気をつけましょう!


BWV1006a(18)

2024年08月15日 20時41分17秒 | 音楽系

97-108小節


100小節目あたりからまた左手にとってまた難場にさしかかります。リュートではあまり使わないポジションも出て来ますがこういうところはバレをしっかりすることで指が弦から外れることを防げます。

例えば3コースや4コースで7フレット以降をいきなり押さえるのはかなりリスキーです。そこで102小節目~105小節目のようにバレをすれば2~4指に対する弦高が下がり指を外すことはなくなります。

100-105小節間では開放弦が3箇所しかなく他の部分とは異なっていますが、それはバレを多用しているからです。

バロックリュートは何年も使っているとネックがそって弦高が上がってきがちですが、そうなるとハイポジションを押さえるのが難しくなってきます。しかしそれだからといってネックを削ったり場合によってはボディのリブの上端を削ったりして弦高を下げるのはなかなかリスキーなことです。ハイポジションは確かに弦高が下がって押さえやすくなっても今度はローポジションやミドルポジションで音がびびったりするということがよくあります。

弦高で私が目安にしているのは1コース7フレットのところの弦高です。1コースの弦の上側から指板までの距離です。これが6㎜を超えるとさすがにリスクはあっても何らかの調整が必要でしょう。私の楽器の場合は現在4.5mmでちょっと高めですが最近数年間は変化しておらず特に問題はありません。


孤愁の岸(2)

2024年08月14日 20時55分33秒 | 日々のこと

私が小学校の高学年のときにある熱血教師が転勤してきて、その先生の学年(私のひとつ下の学年でしたが)は三学期の学芸会のときに薩摩義士の演劇を上演しました。先生の自作のシナリオで挿入歌まで先生が作られたようです。それがとても印象に残っていて薩摩義士という呼び方もその演劇で覚えました。その記憶がありましたので、杉本氏の「孤愁の岸」という作品をアマゾンで見つけたときはすかさずポチってしまいました。

文庫本の下巻にある氏の年譜を見ていましたら、「孤愁の岸」が講談社から最初に出版されたのが1962年10月とありました。この年は件の熱血先生が私の小学校に転勤(ひょっとして新採用?)して来た年です。ということは実はその先生がこの小説に感動して自らシナリオを書き演劇を上演した!?充分考えられる話です。その演劇上演から60年以上経ってその先生も読んだかもしれない宝暦治水の小説「孤愁の岸」を私が読んだということになるのかも知れません。なんか不思議な巡り合わせかも。

その熱血先生は当時まだお若かったからまだご存命かも知れません。もしお目にかかることができるのでしたら、お尋ねしてみたいものです。


孤愁の岸(1)

2024年08月13日 14時32分10秒 | 日々のこと

杉本苑子作「孤愁の岸」を読みました。(講談社文庫上下2巻)本作は江戸時代の治水工事、宝暦治水(1754-1755)を描いた小説で、氏が1963年に本作で直木賞を受賞し世に出た記念碑的な作品だといわれています。

宝暦治水といってピンと来ない方も多いかと思いますが、洪水が多発していた揖斐・木曽・長良川合流地点の治水対策を幕府が薩摩藩に「御手伝普請(おてつだいぶしん)」を命じたものです。

桑名の旧市街は揖斐・長良川の合流地点とそれに続く河口に町があり、ナガシマ温泉で有名な桑名市長島町は木曽川と揖斐・長良川に挟まれています。工事は桑名市よりもう10キロほど上流で行われました。

御手伝普請というとなんかほのぼのとした印象を受けますが、ことばの印象とは裏腹に実際は幕府の権力で無理矢理薩摩藩に金と人を出させて行わせた治水対策です。薩摩藩は莫大な出費と人的犠牲を払ってこの難工事を成し遂げました。

桑名の海蔵寺というお寺にこの宝暦治水で犠牲になった薩摩のお侍(全員ではありませんが)の墓があります。工事に携わった薩摩のお侍は「薩摩義士」と呼ばれていて多分治水工事の恩恵にあずかっている地域の人ならその名前を知っているのではないかと思います。

 


BWV1006a(17)

2024年08月12日 22時18分58秒 | 音楽系

77-84小節


78小節目の3拍目はそれまでと右指の運指を変えてあります。これは79小節目の冒頭をスムーズに弾くためです。このフレーズがヘ長調で出て来たときも同様の処置をしてあります。(28小節目)

82小節目からいよいよ技術的な「難場」に差し掛かります。82小節目はまだ予告編ですが。

85-96小節


82小節目の音型を使ったシーケンスが86小節目から89小節目まで続きます。ここは「難場」です。でもバレをしっかり決めれば比較的安定して弾けると思います。もちろん練習を重ねることは必要ですが。92小節目に移るところは「大難場」のひとつでしょう。別の方法として9ポジションでバレをして12フレットの音を使う方法もありますが、リュートはこの位置では楽器の構造上あまりいい音がしませんし、93小節目に移るときポジション移動が必要になって指を外しそうになりがちなので譜例で示したポジションにしました。

ところでエヴァンジェリーナ・マスカルディはこの曲をYou Tubeにあげていますが、この92小節目に移るところでカメラアングルが変わります。まぁどんなプロにとってもこの曲は難しいんですよ。(笑)

94小節目の1拍目のバスは7コースのオクターブ弦だけを弾きます。