昭和30年代に、どこからどうやって来たのか分からないが、わが家にデルモンテのトマトジュースの缶詰があった。
赤ちゃんの粉ミルクくらいの大きさで、大きい缶詰だった。
家中の誰もトマトジュースは何であるかを知らなかった。当時のトマトは青臭かった。そんなものがジュースになるのか、みな怪訝に思っていた。
ジュースというからには、甘いのだろう。オレンジジュースもパイナップルジュースも甘い。でも、甘いトマトというのは想像ができなかった。
ある時、父が「開けてみようか?」と言い出した。それで家族そろって、興味津々で缶詰をかこんだ。
飲んでみた。甘くない。なんだこれは。まずい。これは、どういう趣旨の飲み物なのだろう。みながっかりしてしまった。
全員、気味が悪くなって、トマトジュースは大方が捨てられた。わが国でトマトジュースが受け入れられるまで、あと15年の歳月が必要だった。
赤ちゃんの粉ミルクくらいの大きさで、大きい缶詰だった。
家中の誰もトマトジュースは何であるかを知らなかった。当時のトマトは青臭かった。そんなものがジュースになるのか、みな怪訝に思っていた。
ジュースというからには、甘いのだろう。オレンジジュースもパイナップルジュースも甘い。でも、甘いトマトというのは想像ができなかった。
ある時、父が「開けてみようか?」と言い出した。それで家族そろって、興味津々で缶詰をかこんだ。
飲んでみた。甘くない。なんだこれは。まずい。これは、どういう趣旨の飲み物なのだろう。みながっかりしてしまった。
全員、気味が悪くなって、トマトジュースは大方が捨てられた。わが国でトマトジュースが受け入れられるまで、あと15年の歳月が必要だった。