院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

医者の本代

2013-04-15 04:12:17 | 読書
 自分で言うのもナンだが、私は若いころとてもよく勉強した。あれもこれもと講義を聴き本を読み漁った。

 最盛期には月に10万円以上も本代に費やした。そのお金はすべて小遣いから出さねばならず、家計に与える影響が少なくなかった。

 本は貯まりに貯まって、家じゅう本だらけになった。それらの本に愛着があって捨てがたかった私は、一戸建てを新築したときに、100万円かけて移動式重層書架を買って書庫を作った。そこにある蔵書は、新品で買って何百万円もかかったものだが、今ではすべて売っても古本として2,3万円にしかならないだろう。

 それはともかく、私の恩師のひとりの大学教員は、「本代は大学教員の必要経費である」と、担当の税務署と交渉して、とうとう本代を給与から控除させた。

 そのころ私は名古屋市役所に勤めており、私の施設所長という立場に月6万円の書籍費が予算としてついていた。その予算はすべて使った。買った本は施設に置かなければならないのだが、私も私の前任の医者も、本のサックだけ施設に置いておいて書架に存在しているように見せかけ、中味は持って帰った。

 このように本代には大変苦労した私だが、教員でもない勤務医では本代を税務署に控除させるのは気が引けた。

 このたび開業してびっくりしたのは、開業医は書籍費がかなり収入から控除されるということだ。開業医よりも勤務医のほうが若く、余計に勉強もする。これでは話が逆ではないか。医学は日々進歩している。勤務医の本代も控除されるべきだと強く主張したい。