(ロバート・キャパ撮影の兵士が撃たれた瞬間。MAGNUMphotos より引用。)
医学部図書館にはヘンなアトラス(図版集)がある。
まず、首吊りを分類したアトラス。首吊りには何種類もの仕方がある。それらが網羅されて、実物写真が載っている。強烈だったのは「2段首吊り」。父親が木で首を吊り、父親の首からもう一本縄が垂れて、父親の胸のあたりに幼児が吊られている。悲惨だ。
死体の数日後の様子を写真に撮ったアトラスもあった。水死体が2,3日たったものは体内で腐敗ガスが発生し、それが皮膚を破れずに、死体が風船のようにぱんぱんに膨らんでしまう。土左衛門(どざえもん)という用語をご存じだろうか?享保年間の成瀬川土左衛門というあんこ型の力士だ。水死体はその力士のように膨らむから、土左衛門と呼ばれる。
死体の様子を示したアトラスは他にもあったが、戦死(焼死体、爆死体、射殺体、斬首死体など)のアトラスがなかった。これはなぜだろうか?戦死は数が多すぎて、わざわざアトラスにまとめる必要もないのだろうか?このようなアトラスは必ず必要だと私は思う。戦死が美化できなくなるからだ。
※最近の短歌から
牧場(まきば)とは風光明媚と思ひしが牛の糞にぞハエの集(たか)るる (豊橋市)中里ひとし