院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

セカンドオピニオンについて(3)

2017-09-24 05:45:57 | 医療
(アマゾンより。)

 セカンドオピニオンは元来、アメリカの医療保険会社が言い出した考え方です。保険会社としては支払いは安いほうがよい。だから保険会社は、もっと安い医療はないかと探すためにべつの医療機関に「この病気の支払いで、もっと安い方法はないか」と問い合わせたのが「セカンドオピニオン」の元来の意味でした。

 それが平成一桁のわが国に「もっと別の適切な医療行為や診断はないか」という現在の形でわが国に変形されて輸入されたのでした。

 平成一桁と言えば、医者がマスコミから徹底的に叩かれた時代でした。「儲けすぎ」とか「患者扱いがぞんざい」とか「3時間3分」(待ち時間が3時間で診察は3分)と、国民の医療に対する不満も頂点に達したころでした。

 あるとき産科の医師が手術中に、警察が乗り来んできて医師に手錠をかけるという事件が起こりました。さすがにこれはやり過ぎでした。産科をはじめ外科系を志す若手医師が激減し、わが国の医療シーンは大混乱になりました。

 医師会も改革を試み、患者を「患者様」とへんな名称で呼んだり、またセカンドオピニオンを(アメリカとは別に意味で)積極的に取り入れたのでした。それでも医者や看護師に暴力を振るったり、最初からけんか腰で医療機関を訪れる「モンスターペイシェント」の出現を許しました。

 最近になって、ようやく医者叩きもおさまってきました。それでも平成一桁の出来事は私の世代の医者には大きなトラウマとなって未だに残っています。

 ところで、現在でもセカンドオピニオンは医療行為ではなく相談業務ですから、原則として健康保険が効きません。(私の場合は「転医」とみなして健康保険を使うこともありますが)。

 ※私の俳句(秋)
    虫の闇バスの前灯見えて来し