現役で設計をしていたころ(20年位前)の話です。
通信線搬送装置と云う、通信線を使った12CH周波数多重搬送装置で、コストダウンのために、それまで基本波の逓倍+個別水晶発振器を使って行っていたのを1個の水晶発振器からPLLで全周波数(全16周波)を発生させることになりました。
この装置設計は先輩(私とは雲泥の差で、アナログからデジタルまで、理論から全て知っている尊敬する方)と分担することになり、アナログ部分は私、デジタル(PLL)部分は先輩が担当することになりました。従って、PLL部分は私が直接体験したわけでは無いので、未だに、全然判りませんが、苦労話を披露します。
各CHは送受別々に128kHzメカニカルフィルタ(3.4kHz帯域)でSSB変換しており、これに使用するキャリア(128kHz)も含めてPLLで発生させている。これのジッタが影響して、スプリアスが規格に入らない(アマチュア機器では十分低い値であるが)。PLL回路を社内の権威者も動員して、いろいろといじってみたが、とうとうダメで、最終的には128kHzキャリア用狭帯域メカフィルを入れたら、規格に入ったということがあった。ちなみに、他のキャリアはPLLにしたことによる影響はありませんでした。
このとき使用したのはモトローラのMC14046Bだと記憶しております。今でも、記事を読むとメーカーによって差が大きい様です。
今では、多分、この様な周波数多重搬送装置は残っていないと思いますが。
私もソフトウェアラジオの発信器にPLLを使おうとしているので、参考書を買って、1から勉強です。PLLの原理
Cypress製プログラマルクロックジェネレータIC(CY22800FXC)という素子を共立エレショップで見つけました。5個で1260円、プログラムデータの書き換え器が2520円。InstaClockクロックイン0.5M~100MHz、出力周波数:1M~200MHz(LVCMOS)、最大3個の異なる出力周波数を選択可能、動作電源:3.3Vという仕様です。
これだと1個当たり252円なので、書き換え器代を考えなければ、PLL用IC(4046)より安いですね。