大田区の中央を流れる呑川は、以前ほどの汚れはなくなり区民に親しまれる川への変わってきているものの、依然として悪臭やユスリカなどの課題を抱えています。
生態系の豊かな川になるよう活動する区民と、大田区との定例の懇談会が行われました。
テーマは、高濃度酸素水を使った水質浄化実験の速報、ユスリカ対策、川床しゅんせつなど。
高濃度酸素水の実験では、一定の効果は観られたものの、夏場や雨が多く降ったときなどは効果が無いうえ、1基で月40万円の電気代がかかるため、設置数を増やすとなれば費用がさらにかさむ、ユスリカについて、東工大、東京家政大などの専門家に生態について調査してもらっている、河川周辺の整備計画の進捗、小池公園の湧水を呑川に導水するための調査費用が25年度予算に盛り込まれているなどの報告がありました。
区民からは、
・高濃度酸素水の実験について、溶存酸素量が30ミリグラムだが、当初50ミリグラムの目標だったのではないか。
・高濃度酸素水によりヘドロは減るのか。減らないならしゅんせつのほうが悪臭対策になる。
・酸素を供給するのであれば酸素ボンベの方が安いのではないか。
・臭気のもとになっている硫化水素は、海水と落合浄水場からの下水処理水=高度処理水由来もあるのではないか。
・立会川、目黒川などの実験結果知りたい。
・ユスリカは赤虫の成虫なので、魚のすめる場所を作ればよいのではないか。
・対処療法だけでなく、原因(=下水の合流式含めた)の改善が必要。
といった意見が出されました。
地面にふたをかけるように開発されてきたことで、ふった雨が土にしみこまなくなり、それを呑川含めた河川が、降雨量50ミリ対応しています。雨水の流量を確保するため、川をより深く改修し、側面の強度を確保するために底面もコンクリートで覆い、結果として三面護岸(底面」、壁面をコンクリートで覆う)の川になっています。
公共インフラの老朽化が問題になりながら、景気対策と耐震対策でみえにくくなっていますが、日本は今後人口減少社会に入り、この東京も昨年から例外ではなくなりました。
人口減少社会における、都市河川の在り方は、開発のつけを河川改修で支払うのではない、都市計画、まちづくりの問題と言えます。