いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

妄言と通達と。 wild fancies speech and notification

2010-11-21 19:23:58 | 日記
 (1)祝辞で場をわきまえずに中国漁船衝突事件に触れ、これ幸いにと限度を超えて言う方
も言う方だし、それを捉えて通達(notification)で、そんな者呼ぶなと言う方も言う方のまっ
たくあきれるばかりの応酬だ。

 自衛隊は、今では自衛のための戦力(force for self defense)集団組織というのが一般
論だ。自衛とは、国民の安全、利益を守ることで、政治とのかかわりではそのための政治体
制を守ることにつながり、文民統制(civilian control)される。

 航空自衛隊の航空祭祝賀会で、協力団体の会長(88才)が「一刻も早く政権をぶっこわ
し、昔の自民党政権に戻しましょう」(報道)と発言し、これを問題視した政府、防衛省が
「不適切で政治的発言をする参加者は控えてもらう」趣旨の「通達」を自衛隊に出した。

 自衛隊の役割、文民統制からすれば、その祝辞発言に対する政府、防衛省の対応そのも
のは当然のものだが、この程度の影響力もないと思われる発言、妄言に過剰に反応しての
「通達」は問題を政治的に複雑化するだけの配慮、熟慮が足りなかった。高名な思想家、作
家が自衛隊に決起クーデターを促す発言とは本質的に違いがある。
 だから国会ではこの一部始終が野党から言論統制と捉えられて批判が出て、格好の政争
にされた。それ以前の良識、常識欠如発言への対応問題だから、自衛隊の文民統制が機能
していれば放っておけば問題もないことだった。
 
 (2)問題は、①ビデオ流出事件で海保庁内部の規律が統制されずに批判されての、今回の
過剰な反応となったのか、はたまた②自衛隊の文民統制が機能しておらずに「通達」という
目に見える強制的な形となったのか、今はまだわからない。
 もし自衛隊の内部規律がこんな取るに足らない妄言の問題で「通達」でもしなければ文民
統制が機能しないのであれば、その方が重大問題だという「問題」を提起したのは国民にと
ってせめての救いだ。国民の今後の注視が必要だ。

 (3)祝辞と言えども話すことは原則的には自由だし、しかし聞く方も選別の自由はある。
見極める、見る目があるかないかだけだ。
 これは今月3日のことだから、まだ政府大臣の問題発言連発が起きる前のことだ。中国漁
船衝突事件への日本外交の不手際に対する批判が、政府、防衛省の過剰な反応となった
のだろう。政府の自信喪失による売り言葉に買い言葉の、到底政府のとるべき先見性、対
応とは程遠い、問題を複雑化させるだけの拙速な対応だ。

 (4)おまけに、予算委員会でこの極めて取るに足らない余興発言にもかかわらず官房長官
が究極の論理、哲学としてのあり得る言論制約を持ちだしてみても、場違いな非生産的な議
論の応酬で時間と経費のムダを続けるだけだ。
 最近の国会は、デフレ円高不況に雇用不安と国民生活は直面しているのに、外交不手際に
不規則発言の繰り返しで堂々巡りの非生産性の応酬ばかりが目に着く。いいかげんに、雇用
促進の景気回復策、補正予算の生産的な議論で国民生活を回復させる生産的な本来の責任
を果たせないものなのか。問題は先送りばかりで解決していない。

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