いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

死刑廃止の国際化。 abolition of capital punishment

2010-11-22 19:31:02 | 日記
 (1)死刑廃止への国際世論(abolition of capital punishment has a globalization)が
高まっている。死刑廃止世界大会には100か国が参加して、関心の高さが伺える。現在、
死刑を廃止している国はヨーロッパ、南米中心に英、仏、独、伊ほか95か国(露、韓は停
止中)、死刑を存続している国がアジア中心に日、中、米ほか58か国、地域となっている。
(アムネスティデータ)

 死刑廃止を進める非政府組織(NGO)の強い影響力のあるヨーロッパでは死刑廃止国が
多く、死生観に宗教的な特別の観念、感性を持つアジア、中東に死刑存続の国が多いのが
特徴だ。アジア、中東地域では、民族的、宗教的な対立や宗教戦争への報復、統制のため
の政治的圧力の背景もある。死刑執行数では、中国、イランが突出して多いことからも政治
的統制の背景がよくわかる。

 特に民族的、宗教的対立国、地域また全体主義国では、報復的意味合い、歴史的、伝統
的背景もあって、死刑執行方法の形態に非人道的(死刑に非人道的もどうかと思うが)で見
せしめの残酷な方法が残るのも、死刑廃止へ向かう世界世論の傾向の中にはあるのではな
いのか。

 (2)日本の刑法は、報復主義(retaliationism)をとらないので、死刑判決には最高裁の判例
による基準(9項目)に則して判断、判決が審理されてきた。
 人が人を裁く不条理の中で、過去には誤審または見込み捜査による判決が再審査、審理で
死刑が一転無罪になった判例もあり、取り返しのつかない判決の安全弁としての死刑廃止論
はいつも存在している。

 仮に無実の者が確定した判決を長い時間を経過してから再審査、審理で覆すには、あらた
な決定的な証拠提出が条件となって、容易ではない。
 高度な専門性と経験を持つ裁判官の中でも、死刑判決には重い心の負担があると言われる
ように、死刑の妥当性については論議を呼ぶところでもあるが、日本では死刑廃止論が全体
的な世論とはなっていない。

 (3)刑法が報復主義をとらないからと言っても、犯罪行為、動機によっては被害関係者の心的
感情には計り知れないダメージもあることが容易に想像されて、また社会正義の公平、公正
性からも一定の規律(行為者責任)の維持による社会効果は担保されなければならないとい
う法律の整備だ。

 期限を切らずに無期拘束による一生をかけての償い行為も、当事者の人間にとっては重い
負荷の意思表示、責任の取り方ではある。
 世界世論は、死刑廃止論へ向かう中、比較少数である死刑存続国としての日本も、人が人
を裁く不条理の中での取り返しのつく判断判決と罪の償い形態について、世界から論議を求
められている。

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