「私的な財津和夫論」の第17回は、「宇宙のファンタジー」です。
17 宇宙のファンタジー
アメリカを代表するブラス音楽、ファンクミュージックバンドの「アース・ウィンド・アンド・ファイアー(earth wind & fire)」は、70年、80年代にテナーのモーリス・ホワイトにハイトーンソプラノのフィリップ・ベイリーのダブルボーカルを中心に10人を超える厚いホーンセクションと絶妙のハーモニーで、高い音楽性とステージパフォーマンスの宇宙サウンドを展開して世界的なサウンドグループだ。
「宇宙のファンタジー」、「セプテンバー」、「ヴギー・ワンダー・ランド」他音楽性の高いファンキーなボーカル、ハーモニー、ブラスサウンドは、バンド活動が短いアメリカ音楽界でも長い音楽歴を維持して特異な存在としてモーリス・ホワイトが病気で脱退したあとも活動を続けている。
1979年、アース・ウィンド・アンド・ファイアー全盛時に来日したコンサートでは、ステージ中央後ろのホリゾンタル(horizontal)に傾斜のある高い階段状のセットを積み上げて、その上部に透明の三角錐(スイ)のカプセルを設置して、曲の合間にはライティング操作でメンバーがその中に突然消えたり、そのカプセルから突然姿をあらわしたり、またライトの点滅を利用してメンバーが空中にまるで回転しているように見せてのトリッキーなステージパフォーマンスで、高い厚い音楽性とともに視覚的にもすばらしいすぐれたステージコンサートを展開しました。
長い歴史の欧米バンドの来日コンサートの中でも、ビートルズ来日に続く特筆すべきすぐれたプライオウリティ(priority)と言っていい全盛時のアース・ウィンド・アンド・ファイアーのコンサートです。
チューリップのコンポーザー財津和夫さんは、一時期、宇宙にテーマをとったサウンド志向が強く、宇宙に高い関心を示していたことがあります。チューリップは84年に箱根芦ノ湖畔にこの日のためだけに「パゴダ(pagoda)」を建立して野外コンサートを開催しました。8月11日の当時としては破格の25000人を集めたチューリップパゴダコンサートです。
このコンサートのステージセットは、ステージ中央から後ろのホリゾンタルに高い傾斜のある階段状のセットを積み上げて、コンサート終盤にはチューリップのメンバーがこの階段をのぼって上部からステージを去っていく構成となっています。
このステージ映像を見て、同じく宇宙サウンド志向のアース・ウィンド・アンド・ファイアーのコンサートセットにインスパイア(inspire)されたものではないのかと思っています。
チューリップ、財津さんは78年と80年に2回岐阜県の鈴蘭高原で野外コンサートを開催しています。宇宙に近く、宇宙からの矜持(きょうじ)を受け取りやすい高原でのコンサート開催です。
鈴蘭高原の近くの山岳地帯には、東大宇宙線研究所が神岡鉱山跡地の1000メートル級地下に宇宙からの質量、ニュートリノを観測検出する研究施設「スーパーカミオカンデ」があります。宇宙の謎を解明する手掛かりの「暗黒物質(dark matter)」の観測にも期待が持たれています。
ここでの研究で東大の小柴さんが世界で初めてニュートリノをキャッチ、観測、検出して02年にノーベル物理学賞を授賞しています。
この地域は宇宙からの物質、質量が大量に集中して観測に適している場所と言われています。
偶然か、意図的なものなのか、鈴蘭高原コンサートでのチューリップ、財津さんの宇宙にかける思いと共通するものが現実としてここにあります。
チューリップが82年7月に発表したアルバム「2222年ピクニック」は、宇宙と自然と人間のかかわりについて矜持と示唆に富んだ財津音楽の名盤のひとつです。
アルバム中の楽曲「2222年ピクニック」でのいきなりの「2222年 空がまだ青いなら」の示唆から始まり、終盤の「生まれる星」そして「アルバトロス」の楽園(paradise)のさえずりから始まり「sing a song ぼくは唄うよ 明るい声で ひびけ宇宙の君の棲(す)む彼方へ」で終わる、もうひとつの財津音楽の宇宙のファンタジーである。
環境、原発に揺れる現在社会への財津メッセージだ。
〔転載禁止です〕
17 宇宙のファンタジー
アメリカを代表するブラス音楽、ファンクミュージックバンドの「アース・ウィンド・アンド・ファイアー(earth wind & fire)」は、70年、80年代にテナーのモーリス・ホワイトにハイトーンソプラノのフィリップ・ベイリーのダブルボーカルを中心に10人を超える厚いホーンセクションと絶妙のハーモニーで、高い音楽性とステージパフォーマンスの宇宙サウンドを展開して世界的なサウンドグループだ。
「宇宙のファンタジー」、「セプテンバー」、「ヴギー・ワンダー・ランド」他音楽性の高いファンキーなボーカル、ハーモニー、ブラスサウンドは、バンド活動が短いアメリカ音楽界でも長い音楽歴を維持して特異な存在としてモーリス・ホワイトが病気で脱退したあとも活動を続けている。
1979年、アース・ウィンド・アンド・ファイアー全盛時に来日したコンサートでは、ステージ中央後ろのホリゾンタル(horizontal)に傾斜のある高い階段状のセットを積み上げて、その上部に透明の三角錐(スイ)のカプセルを設置して、曲の合間にはライティング操作でメンバーがその中に突然消えたり、そのカプセルから突然姿をあらわしたり、またライトの点滅を利用してメンバーが空中にまるで回転しているように見せてのトリッキーなステージパフォーマンスで、高い厚い音楽性とともに視覚的にもすばらしいすぐれたステージコンサートを展開しました。
長い歴史の欧米バンドの来日コンサートの中でも、ビートルズ来日に続く特筆すべきすぐれたプライオウリティ(priority)と言っていい全盛時のアース・ウィンド・アンド・ファイアーのコンサートです。
チューリップのコンポーザー財津和夫さんは、一時期、宇宙にテーマをとったサウンド志向が強く、宇宙に高い関心を示していたことがあります。チューリップは84年に箱根芦ノ湖畔にこの日のためだけに「パゴダ(pagoda)」を建立して野外コンサートを開催しました。8月11日の当時としては破格の25000人を集めたチューリップパゴダコンサートです。
このコンサートのステージセットは、ステージ中央から後ろのホリゾンタルに高い傾斜のある階段状のセットを積み上げて、コンサート終盤にはチューリップのメンバーがこの階段をのぼって上部からステージを去っていく構成となっています。
このステージ映像を見て、同じく宇宙サウンド志向のアース・ウィンド・アンド・ファイアーのコンサートセットにインスパイア(inspire)されたものではないのかと思っています。
チューリップ、財津さんは78年と80年に2回岐阜県の鈴蘭高原で野外コンサートを開催しています。宇宙に近く、宇宙からの矜持(きょうじ)を受け取りやすい高原でのコンサート開催です。
鈴蘭高原の近くの山岳地帯には、東大宇宙線研究所が神岡鉱山跡地の1000メートル級地下に宇宙からの質量、ニュートリノを観測検出する研究施設「スーパーカミオカンデ」があります。宇宙の謎を解明する手掛かりの「暗黒物質(dark matter)」の観測にも期待が持たれています。
ここでの研究で東大の小柴さんが世界で初めてニュートリノをキャッチ、観測、検出して02年にノーベル物理学賞を授賞しています。
この地域は宇宙からの物質、質量が大量に集中して観測に適している場所と言われています。
偶然か、意図的なものなのか、鈴蘭高原コンサートでのチューリップ、財津さんの宇宙にかける思いと共通するものが現実としてここにあります。
チューリップが82年7月に発表したアルバム「2222年ピクニック」は、宇宙と自然と人間のかかわりについて矜持と示唆に富んだ財津音楽の名盤のひとつです。
アルバム中の楽曲「2222年ピクニック」でのいきなりの「2222年 空がまだ青いなら」の示唆から始まり、終盤の「生まれる星」そして「アルバトロス」の楽園(paradise)のさえずりから始まり「sing a song ぼくは唄うよ 明るい声で ひびけ宇宙の君の棲(す)む彼方へ」で終わる、もうひとつの財津音楽の宇宙のファンタジーである。
環境、原発に揺れる現在社会への財津メッセージだ。
〔転載禁止です〕