いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

私的な財津和夫論。(第16回) private essay about k. zaitsu

2011-06-05 19:19:49 | 日記
 「私的な財津和夫論」の第16回は、「heart to heart」です。
 16 heart to heart
 財津和夫さんは、福岡から東京に出て音楽界にプロ(職業)として身を投じてから、腹を割って話し合える(heart to heart talk)仲間がいないと言います。
 72年に福岡で活動するアマチュアミュージシャンを自ら選(よ)りすぐって編成した5人編成のチューリップとして、財津さんのリーダーシップ力によりメジャーデヴューして東京での合宿スタイル生活からスタートして、8年後の80年に2名が脱退し、85年にはオリジナルメンバーの他2名も脱退してメジャーデヴュー時のオリジナルメンバーとしては財津さんひとりとなってしまいます。

 財津さんの交友録を見聞きしますと、小田和正さん(オフコース)、鈴木康博さん(オフコース)、玉置浩二さん(安全地帯)、飛鳥さん(チャゲ&飛鳥)、つのだひろさん(キャプテンヒロとスペース)と知り得る限りでは、バンド出身者が名を連ねています。それぞれに、コンサートでコラボレーションしたり、財津さんのコンサートに招待されての交友関係です。

 財津さんは、音楽の原点として大きな影響を受けてバンドサウンドを目指すきっかけ源流となったビートルズのように創造的で革新性のある音楽活動を夢見た。
 チューリップとしてリーダーシップ力により自らの音楽と時代をきりひらいてきたフロンティアな生き方が、その苦労、努力、忍耐、苦悩を理解、共有できるバンド経験者との親交、交流に近づけたのかも知れない。

 長い間チューリップ、財津フリーク(freak)として有名な船越英一郎さん。財津さんは自らパーソナリティをつとめるラジオ番組「人生ゲーム21」の中でリスナーの質問に答えて船越さんとの親交の始まりについて語っています。
 船越さんがまだ役者駆け出しの頃に自らの劇団を旗揚げして劇場公演を開催した時に、財津さんは招待を受けて舞台を見に行ったことが親交のきっかけだったと言っています。
 チューリップ、財津フリークの船越さんは、チューリップ、財津さんのテレビ出演番組のコメンテーター、司会をつとめることもあり、チューリップ初期の特集雑誌も大切に保管していてドラムの上田さんがまだサングラスをかけていない記事写真も持参して紹介していました。
 船越さんも自らの劇団を率いてグループの存亡、まとめの苦労を経験した者として財津さんの親交、交流に近づけたのかもしれない。船越さんはチューリップ、財津さんのコンサートにも足を運んで、福岡でのコンサートでも見かけたことがあります。

 財津さんの音楽観、音楽性は、ビートルズの革命的な音楽創作スタイルに影響されて、独自性、芸術性、創造性に高く、その比類なき追求性は孤高のイメージが強い。
 チューリップ創生紀は、メンバーにも音楽性の高い完成度を求めてそのリーダーシップは厳しかったと聞いたことがあります。
 よき理解者として財津音楽を支えたラジオの元ディレクター塩瀬さんからも、何度目かのチューリップ再結成でのレコーディングスタジオでにこやかにメンバーとリハーサル打ち合わせ演奏する財津さんを見て、メンバーの安部さんに「あんなにやさしい財津くんを見るのは初めて」と言い、安部さんも一言「ぼくも初めてです」という話を聞いたことがあります。
 音楽への比類なき創作意欲、完成度の高さが孤高のイメージとなって、自ら「腹を割って話し合える仲間がいない」発言になっているのでしょう。

 福岡で活動するアマチュアミュージシャンを誘ってまとめて、リーダーとして東京に出てその将来に全責任を持つプレッシャー、ストレス、責任感ははかり知れないものが想像できる。
 フロンティアで芸術性、音楽性追求意欲の高い孤高としてのリーダーシップのパラダイム(paradigm)が財津さんの強い「生き方」で、しかしその後18年間のチューリップ活動の「果実」が、ソロアーティストとして40年近くのミュージシャンとして63才の現在も存在感のある音楽活動を続ける「財産」、「自信」、「根拠」になっているのは間違いない。期待に応え挑戦する姿勢がすごい「生き方」の実証です。
 財津さんのフロンティアでリーダーシップ力のある「生き方」には、共感できる大きな「力」がある。
 現在まで800曲近くの創作楽曲、1000回を優に超えるライヴ活動記録、実績がミュージシャン財津和夫さんのフロンティアな「生き方」の先進性、革新性です。
 腹を割って話し合える(heart to heart talk)仲間がいないことがその意欲を支えているのかとも思えてくる。
 
 少々の昔馴染みのグループで固める傾向はあるがこれは好みのこと、映画映像の製作にも意欲を示しており、多様な人材を個性を活用、起用する監督業のためにも、年令、環境、社会経験と幅の広い交流で、芸術性、追求意欲の孤高は維持しつつも良識派としての新しい側面像、キャラクターも披露してもらいたい。
 

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