いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
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オバマ大統領広島訪問の意味と意義。meaning & significance of hiroshima visit of president obama

2016-05-11 19:43:00 | 日記
 (1)オバマ大統領が就任後の09年4月にプラハで「核兵器のない世界」を提唱し、その期待の大きさで(なにしろ世界最大の核保有国の米国の大統領なのだから)まだ実績もない中でノーベル平和賞を授賞して世界はどう変わったかといえば、日露核軍縮交渉は始められたが当たり障りのない範囲内で極端にいえば核兵器の使用(耐用)期限を見越しての削減数交渉であって、日露双方が積極的に核軍縮に動いたというものではない。

 (2)核兵器使用禁止条約にも核保有国は距離を置いて、米国の顔色を伺う唯一の戦争被爆国の日本さえ最近まで核兵器使用禁止条約締結に参加してこなかった。
 核保有大国の既得権益保護の足元を見た北朝鮮は、国際社会の反発を無視して米国に対抗するために核実験を強行して最近の36年ぶりの労働党大会では核保有国と宣言した。

 オバマ大統領の任期は来年1月までで、「核兵器のない世界」実現は近づくどころか逆に核兵器依存体制が進んでいる国際政治関係だ。ロシアのプーチン大統領はクリミア編入でEU、西側諸国との対立の中で核兵器攻撃の準備も考えたと述懐(報道)している。

 (3)そのオバマ大統領が多分任期中の日本訪問が最後となるであろう5月末のG7伊勢志摩サミットで来日するのに合わせて、広島訪問が正式に決定した。
 同サミット終了後の27日に広島を訪問する。4月のケリー国務長官同様に「謝罪」
(apology)のためのものではなくて、自ら提唱した「核兵器のない世界」実現に向けての世界へのメッセージ性と犠牲者への哀悼をあらわす訪問となる。

 (4)71年前に広島、長崎へ原爆を投下し数十万人ともいわれる市民を含めた犠牲者、被害者を出した米国の大統領が被爆地広島を訪れる「意味」(meaning)と「意義」(significance)はどのようなものなのか。

 米国内では今でも日本への原爆投下は終戦を早めた正当な行為という世論が過半数を占めて、4月のケリー国務長官も今回のオバマ大統領もこの非人道的な戦争原爆投下行為に対して謝罪することはない。

 (5)「核兵器のない世界」実現のために唯一の戦争被爆国日本の広島を訪問することによって、戦争の惨禍と米国世論が支持する原爆を使わざるを得なかった米国事情を背景にパラドックス(paradox)として被爆地広島で「核兵器のない世界」実現の必要性を再認識して、世界に核軍縮、削減を訴えることが「意味」だ。

 「意義」(価値、値打ち)はというと、非人道的な戦争原爆投下行為に対する米国を代表してオバマ大統領の「謝罪」がない中では見つけることはむずかしい。

 (6)安倍首相は「唯一の戦争被爆国の首相と世界で唯一核兵器を使用した国の指導者がともに犠牲者に対し哀悼の誠をささげることが犠牲となった方、今も苦しむ人々の思いに応えるものと信じている」(報道要旨)と述べているが、71年の時を経て今は同盟国として協力関係にある日米首脳が世界平和に向けて誓いをあらたにするというのであれば、わずかに意義といえるものかもしれないだろう。

(7)しかし日米関係がはたしてそういう方向性、戦争のない世界平和実現に向かっているのかは疑わしい限りだ。

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