いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

EU,英国、二つの分裂。 disunion of EU and disunion of England

2016-06-25 14:50:10 | 日記
 (1)ジョン・レノンがいれば国境もなく世界はひとつと謳っているので、EUの理念に近くEU残留を支持したのではないのか。それともほかにもっと大事なことがあると言っているかもしれない。

 EU離脱か残留かの英国の国民投票では離脱(secession)支持が51.89%(報道)とかろうじて過半数を得て英国のEU離脱が確定した。残留を主張して国民投票を主導してきたキャメンロン首相は直前のタックスヘイブン問題でも関与が指摘されてさらに政治的影響力を失い窮地に立たされて辞任表明に追い込まれた。

 (2)英国内ではEU残留を目指してきたスコットランド、北アイルランドが英国連合からの脱退独立を目指すとも考えられて、英国内での国民意識の段差、二分化に加えて英国連合分裂の危機もぶり返す様相だ。

 EU内でもスペイン、イタリア、ギリシャなどからはEU脱退への連鎖も懸念されて、政治、経済、社会、平和連合体の壮大な実験場としてのEU構想は拡大発展の道ではなくて縮小崩壊の危機を迎えたといえそうだ。

 (3)早速金融市場はポンド下落に世界同時株安、円高が加速(一時99円台)して国際経済金融社会へのリスク要因となっている。
 今後EUを離脱する英国とEU関係は当分はギクシャクはするだろが、ともに政治、経済、社会、平和では持ちつ持たれつの欧州圏にはなくてはならない重要な関係だけに、これは時間の経過にともない良好な協力関係に戻る、模索せざるを得ないことは間違いはない。

 (4)むしろ英国からのスコットランド、北アイルランドの独立問題や日本企業のほとんどが欧州経済拠点を置く英国での経済不利益にどう対処するのか英国内の問題として浮かび上がってくる。

 英国内でのキャメロン首相辞任表明を受けての政治的不安定を迎えて、国内は政治、経済、社会で流動的に混乱が加速することが考えられる。国論を二分した対立感情の解消も課題だ。
 本ブログでも「51対49」(今回の国民投票は52対48であったが)の民主主義の本来的欠陥を書いたが、英国の国民を二分したEU離脱、残留問題は議会制民主主義発祥国に重い課題、試練を与えたことになる。

 (5)伝統と歴史とフロンティアの英国がこれらにどう向き合い解決策を講じていくのか、一時的な経済の混乱が世界に波及するであろう中で世界が注目するところだ。
 EUにとっても支えるドイツ、フランスとともに英国の存在は大きく、頼りとするところでもあっただけに、政治、経済、社会、平和の壮大な実験場としてのEU連合体の柱にヒビが入ったことは複雑で深刻だ。

 今回のEUからの英国の離脱確定は政治、経済、平和の対立ではなく、EUがテーゼ(these)とする人の移動自由の基本理念に対する反発が発端原因なだけに、理念の理想ジレンマ(dilemma)の中で英国が離脱したEUを強固にまとめることはかなりむずかしいのではないのか。

 (6)EUの緊縮財政押しつけ主導に反目するスペイン、イタリア、ギリシャと金融財政破たん、不安定国を抱えて、また中東、アフリカからの難民流入問題を抱えてEUの理念団結は極めて困難な事態を迎えている。

 英国とEUとりわけドイツ、フランスとの政治、経済、平和の関係は切っても切れないものだけに、EUとしてもその使命、役割の後退により理念、機構の再編(reorganization)にも迫られることが考えられる。

 (7)欧州ではEUとロシアの緊張関係も続いており、英国が離脱したままのEUではロシアと対峙することは足元を見られてままならないだろう。平和でいうなら米国を加えたNATOの役割が大きくなることが考えられる。

 (8)まずはスコットランド、北アイルランドの英国からの独立問題の再燃(スペインでも同様の独立問題を抱える)にEU内の離脱連鎖と世界は直面する経済金融不安定に向き合わなければならない。

 (9)英国内の政治不安定も国民段差、二分化で深刻さを増すだろう。日本としては世界同時株安、円高加速による経済景気リスクが、株価操作の実体のない経済効果頼りの安倍政権にどう影響するのか、こんな時だからかえってこれまでのように安定した支持が集まるのか失望をもたらすのか、参院選その後の政局が注目される。

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